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番外編 If-Route STACY-

こんばんわ!

これはステイシーとのIfの世界です。

「はい、OKです!お疲れさまでした!」

室内に男性の声が響き、私はほっと深呼吸をした。ここは都内にある撮影スタジオ。私、ステイシー・バーネットの職場の一つである。

「お疲れ、ステイシー。」

「Thank you。」

スーツを着た女性が私にスポーツドリンクを渡してきた。この人は私のマネージャー。そう、言うとびっくりするかも知れないけど、私は今日本でモデルをしているのだ。きっかけは本当に単純だった。一度日本へ留学しに来た私だったが、帰国後も長期休暇を利用して何度か訪れたことがある。大学4年の冬休みに新宿へ行った時にまさかのスカウト。正直悩んだがが、帰国後家族に相談すると「やるだけやってみな」の言葉に背中を押されて卒業後に再来日。それに何より、好きな人の「頑張ってるお前を近くで見れるのが嬉しい」という言葉が私を決心させ、日本で活動することにしたのだ。何だかんだで今年で来日3年目の25歳。ちなみに今は化粧品のCM撮影を終えた所だった。

「後どの位仕事残ってたっけ?」

「この後MHKの『テレビで英会話』の収録で今日は終わりよ。あと一息頑張りましょう!」

こうして私はマネージャーと一緒に車で局がある渋谷まで移動したのだった。


「皆さんこんばんわ。テレビで英会話、今週も開講です。講師は私、本田和夫がお送り致します。」

「生徒の黒田美香です!今週もよろしくお願いします!」

「Hello,everyone!アシスタントのステイシー・バーネットです!宜しくお願い致します!」

収録が始まった。この番組は長くから続く局の人気番組で、私は去年からレギュラーを務めている。それが効いたのか、最近はTVの仕事が少し増えた。

「今日のテーマは気持ちを伝えること。美香ちゃん、気持ちを伝えたい相手はいますか?」

「いないですけど、もし好きな人が出来たら素直に『大好き』って伝えたいです!」

「なるほど。ステイシーは?」

「私は今、日本人の彼氏がいるんですけど、『I Love you! 』って会う度に言ってますよ!」

「ええ~いいなぁ。」

なんて感じで番組自体のノリは非常に緩い。でも英会話は真面目に勉強する何とも不思議な番組だが、私は大好きだ。因みにさっきの質問で私はその…日本人彼氏のことを思い出し頭から離れなくなってしまった。はぁ、どうしよう。彼のことを考えるだけで胸が熱くなっちゃう。そう思いながら、なんとかその日最後の仕事を無事こなしたのだった。


「お疲れ様、駅まで送るわよ。」

「大丈夫よ。この後寄りたい所あるから。先に帰っていいわ。」

仕事を終えた私はマネージャーと別れて買い物に出かけた。とりあえずおいしそうなお酒や甘いものを中心に買い、会計を済ませて電車に乗り、自宅である三鷹のマンションへ向かう。家のドアノブをひねると既に空いていた。

「お帰り!」

「ただいま、タクト!」

家に帰ると既に仕事を終えた彼氏のタクトが先に帰宅していた。彼は高校の時にホームステイで私の家に滞在し、大学時代も私が留学した時に再会した。卒業後はアメリカ大使館に就職するあたりはさすがだと思ったが、お互い日本におり、こうして一緒にいられるのは嬉しい。

「疲れてる?夕飯作っといたよ。」

「No problem.タクトに会ったら元気になっちゃった!」

「そいつは嬉しいな。とにかくごはん食べよう。」

リビングに行くと、既にテーブルの上にはご飯とみそ汁、そしてカレイの煮つけが用意されていた。美味しそう。

「「頂きます!」」

二人での夕食の時間は私に最高の安らぎを与えてくれる。料理が美味しいのもそうなのだが、何より大好きな人が目の前にいるからだ。

「仕事どう?大変?」

「疲れることもあるけど楽しいわ!」

「良かった。俺もだよ。」

「タクトも無理しちゃだめよ。はい、一杯どう?」

「サンキュー!」

先ほど買ってきた日本酒で乾杯しながら私達は夕食を楽しんだ。その後、片づけて風呂を済ませ、今は二人でくつろいでいる。

「なぁ、ステイシー。」

「What?タクト。」

「俺達ってさ、付き合ってもう1年近く経つよな?」

「そう言えば、そうね。」

昨年、私はタクトと交際を始めた。日本にいたものの忙しくてお互いなかなか会えなかったが、ある日道端でばったり再会。その後色々話し、休みの日には一緒に遊びに行くようになり、ある時タクトが「なぁ、こんな俺でよかったらお前の彼氏にしてくれないか?」とストレートに告白してきた。最初はびっくりしたけど凄く嬉しかった。

「俺、雑誌やテレビでお前見てるとスゲエやって思うんだ。彼氏として誇らしいよ。」

「私は仕事も恋も全力よ。凄いでしょ?」

「でも、もっと誇らしいことがある。」

「何?」

タクトは少し間を開けた後、そっとわたしを抱きしめながら言った。

「目の前に、その…お前がいることだ。画面越しより直で見るお前が一番綺麗だ。大好きだよ、ステイシー。」

そう言われて私は体、主に胸辺りが急激に熱くなった。大好きな人からこんな事を言われてしまった後は、もう何とも言えない気持ちになるだろう。

「タクトのバカ。I love you too♡」

私はタクトの唇にそっとキスをし、その後も平和に一日を終えた。

こんばんわ。

短くまとめるつもりが長くなってしまいました。

次回の特別編は…もう分かりますかな?

お楽しみに!

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