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第77話 臆病者がっ!

こんにちわ!

更新が遅くなってしまいました!

物語もいよいよ最終章です!

二月もついに後半になり、後2カ月もすれば新学期を迎える。俺もいよいよ3年生だ。健介先輩は今年で卒業なので、サブカル研の今後は現在の持ち上がりで会長が夏美先輩、副会長は俺、書記は幹夫に決まっている。そうだ、そろそろ新入生勧誘のことも考えないとな。そう思いながら俺はただいまバイトに勤しんでいる。授業は無くてもバイトだけはしっかりやらないとな。

「いらっしゃいませ、毎度ありがとうございます!」

いつも通り俺はレジで接客をしている。昼間だったんでお客さんは来たり来なかったりだった。俺が接客を終えると、隣のレジにいた秋本が話しかけてきた。

「そう言えばさ、森君。」

「どうしたんだ、秋本?」

秋本はそのまま続ける。

「ボラムとステイシー達っていつ帰国するんだっけ?」

「えーっと、確か3月25日だ。」

「じゃあもうあと1カ月ちょいか。」

「そうだな。何か、あっという間に過ぎた感じだな。」

そう、寶藍やステイシー達はもうすぐ1年間という交換留学期間を終えて母国へ帰国することになっている。まぁ、ちょいちょいもめたり騒がしかったり俺を悩ませることもあったけど、あと少しでいなくなってしまうとやっぱり寂しい。

「最後に何かやるの?」

「クラスのみんなで送別会やることになっている。最後にみんなでエールを送りたいからな。」

「そう…なのね。」

秋本はそう呟いた。理由は分からないけど今日の秋本の表情はなぜかいつもより暗く思える。

「何だ、元気ないぞ秋本。お前もあいつらに会えなくなるとやっぱり寂しいのか?」

「そりゃあ寂しいわ。それもあるけど、もう一つ重大なことがあるし…。」

「重大なこと?なんだそりゃ?」

俺が不思議そうに聞くと、秋本はため息をつきながらぼやくように言った。

「はぁ。鈍い森君にはゆっくり説明する必要がありそうね。次の休憩時間に言うわ。」

秋本はそれだけ言うと接客に戻った。俺も気を取り直して業務を続けたのだった。


30分後。

「じゃあ、森君に秋本さん。休憩入っていいよ。」

「はい。」

「ありがとうございます!」

店長に言われて俺と秋本は休憩室に入った。

「それじゃあ、さっきの続きを話すわ。森君。」

「お、おう。」

秋本はイスに座り、話し始める。

「森君、今まで女子に告白されたこととかある?」

「いきなり随分突っ込んだこと聞くね。」

「いいから答えて。」

そう言う秋本の口調は少しとげのあるように聞こえた。一体どうしたんだ?

「一応…有希子先輩に告白されたことはある。断ったけど。」

聞かれたので正直にそう答えた。あの時はいきなりすぎて気持ちの整理も出来なかったけど。

「その時は嬉しくなかったの?」

「まぁ、今までモテなかったし。全く嬉しくないって言ったらウソになるけど。」

「でも断ったんだ。有希子さん美人なのに。」

「そうだけどさ…何て言うか、顔だけで選んでいるとか告白されたら即OKして付き合うような軽い男とか言われるのは嫌だし。」

弄られるのはあれだが、別に嫌いだから断ったわけではない。秋本は少し黙り込むと、重そうに口を開いた。

「じゃあさ。森君はよくボラムまたはステイシーと付き合っちゃいなよとか周りに言われているみたいだけど、本当にそうなったらどう思う?」

「い、いきなりそんなこと言われても・・・。」

俺は返答に困った。しかし、秋本の突き刺さるような視線に気圧されて答えざるを得なかった。

「ちょっと、何だろう?今までずっと仲良くやってきたし、それで関係が壊れたりしちゃうのは嫌だな。」

昼ドラでありがちな異性の友達→恋人になる→実はその親友も好きだった→拗れる→喧嘩→事件へ発展…見たいな流れになると、今まで築き上げた人間関係はあっという間に崩壊してしまう。俺は折角久しぶりに再会できてこうして仲よくやれていることを考えるとそれだけは壊したくないと思う。

「それは一理あるわ。でも、単なる綺麗事にすぎないわよ。」

「な…。」

秋本に言われて俺は返す言葉を失った。尚も秋本は棘のある口調で続ける。

「好きになる人間が身近な人って言うのは当たり前よ。今はお見合い結婚よりも恋愛結婚が増えているしね。場合によっては森君が言ったみたいなことになっちゃう時もある。でもね…。」

秋本は少し間を開けてから吐き出すように言った。

「みんなそれを覚悟で告白したり、受け入れたり、恋愛していたりするの。勉強や仕事と同じで上手くいく時もあればいかない時もある。それでも好きになるってことは悪いことじゃないし、そこに理屈や損得なんて無いの。」

「そらぁ、そうかもしれないけどさ。でも、あいつらとそう言う関係になっても…。何て言うか、俺には勿体無いって思うし、あいつらのことが好きだっていう人もいるはずだから…。」

俺がそう言うと、秋本はいきなり立ち上がり机をバァンと叩きながら大声で怒鳴る。

「遠慮なんかすんな臆病者!ウジウジウジウジ…ネガティブすぎんのよ!私は別に付き合えなんて言わない!でも、向こうだって自分の気持ちに正直に向き合ってんのよ!森君にも選択の自由はあるからどうするかは森君次第だけど…もうすぐ帰国するんだから直接言えるうちに森君も全力で自分の気持ち伝えなさいよ!」

普段こんなに声を荒げる秋本は見たことがなく、俺はびっくりしてしまった。そして、もうすぐ休憩が終わることもあり秋本は先に部屋を出て行ったが、俺はぎりぎりまでその場に立ち尽くすしかなかった。

こんにちは。

最終回が近付いていることもあり、結構シリアスな回になりました。

果たして、この恋路の結末はどうなるのか?

お話は残り少ないですが、次回もお楽しみに!

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