第75話 友好ムード
こんにちわ!
前回の浅草の続きです。
初めての日本、そして浅草に大興奮だったステイシーの家族。まぁ、途中お義父さんが模造刀を抜きとって警察官に職務質問されるというハプニングはあったものの、何とか乗り切ることはできた。そして、今は腹ごしらえのためにみんなでとある和食屋にいた。
「はぁ、腹減った。ようやく御飯だ…。」
俺は思わずそう呟いた。折角日本的な場所に来たんだから和食がいいよな。ステイシー達も喜んでるし。
「うん!やはり日本食は見栄えがいい。」
「アメリカの日本料理店もいいけど、日本の店とはやはり違うわね。」
「早く食いたいよ!腹減って死にそう!」
こんな感じだ。まぁ、気に入ってくれたみたいだし良かったな、親父。みんなそれぞれ好きなものを頼み、そして次々と運ばれてくる。全員分の料理がそろった所で食べ始め、そして再び話に花を咲かせる。
「うん、美味い!ミスター森、いいお店に案内してくれてあるがとうございます!」
「はっはっは!なんのなんのこれ位!折角の両家の交流会なんですから!」
すっかり打ち解けた親父たちはビールを片手に食事と会話を楽しんでいる。とりあえずの見過ぎて調子に乗らないことを祈るしかないか。
「タクト!」
「ん?どうした?」
「はい、あーん!」
「モグッ!」
ステイシーが南蛮漬けを箸に取り、俺に食べさせてきた。あれ、このシチュエーション前にもあったような。寶藍がメッチャ妬き持ち妬いてサブカル研名物の言い争いになったのは覚えている。
「美味しい?!」
「うん、美味いじゃん!」
「わーい!今度タクトに料理作ってあげるわ!いっぱい食べさせてあげる!」
そう言ってステイシーは俺にハグしてきた。痛い何を喜んでいるのかは分からないがとりあえずおいしかった。
「あらあら、ステイシーったら。昔は男の子が声掛けても全然興味示さなかったのに。」
「クリスティナさん。どうですかうちの息子?!」
「うふふ。この子にはタクト君が一番相性がいいのかもしれませんね!」
「やだぁ、もう!もしその時はタクの事を宜しくお願いします!」
お袋達もなんだかんだんで結構盛り上がっている。まぁ、話の内容はあまりにも跳躍し過ぎているが…。
「なぁ、姉ちゃん。タクト。」
ジョージがとんかつを食べながら俺とステイシーに聞いてきた。
「二人って付き合う気あるの?」
「「ブブフォッ!」」
いきなりすぎるストレートな質問に俺もステイシーも思わず吹き出してしまった。
「な、何だよいきなり!」
「ゲホ…、そうよ!むせちゃったじゃない!」
咳き込みながら俺とステイシーはジョージに聞き返した。ジョージは笑顔のまま続ける。
「だって、タクトが家にいた時からお似合いムードだったし俺は付き合うことには反対しないぜ。」
「そりゃぁ、まぁ。タクトと一緒に過ごせて私は嬉しかったけど。」
ステイシーは顔を赤くしながら俯き様にそう呟いた。ホームステイ中に特にステイシーと喧嘩したとかはなかったし、楽しかったのは事実だが。
「じゃぁ、この前の話に戻すぜ。高校時代に自称学校のモテ男、マークのアタックを断った上にぼこぼこにしたことは思い出したよな。姉ちゃんはああいうの嫌いって言ってたけど他の男子だったらOKしてたのか?」
ジョージはステイシーにそう聞いた。ステイシーは美人な上に花型と言われるチアリーダーも務めていたから実際男子からの人気が高かった。ステイシーの事が好きだった男子がいてもおかしくはない。
「いや…その。あの時は私にそう言う気持ちがなかったから…たぶんOKしなかったわ。」
「そうか。じゃあ質問を変える。もしタクトがあの時日系人のカオルと付き合ったら応援できたか?」
「出来る訳ないじゃない!あんなストーカー女と一緒になったらタクトが滅茶苦茶にされちゃうわ!」
今度は即答だった。まぁ、確かにちょっとあの子にはやりすぎな感じも否定できなくはなかったが。
「タクト的にはどうだ?」
「うーん。でもなぁ…3カ月しかいられなかったしちょっとしつこすぎる部分はあったから付き合ってなかったかも。」
俺はそう答えた。するとステイシーは俺の横でほっと胸を撫で下ろした。なんでだ?
「なるほどね。まぁ、今はそれでいいのかもな。でも、いざその時になったら俺は応援するぜ!頑張れ二人とも!」
「そう言うあんたはどうなのよ、ジョージ?」
親指を立てながら俺達に爽やかな笑顔を見せたジョージに対し、今度はステイシーが聞き返した。
「俺はまだガールフレンドはいない。でも同じクラスに好きな子がいるからアメリカに帰ったら誘うつもりだぜ!」
「そう、頑張んなさい。」
ステイシーはそれだけ言って再び食べ始めた。誰かと付き合う…か。そう言う気持ちが全くないわけではないけどなぜか今はそう思うことが出来なかった。まぁ、それは置いといて和食屋でのランチは結構盛り上がった。その後も色々なお店を見たり、スカイツリーに登ったりしたりと俺達は充実した一日を過ごすことが出来た。
「今日は本当にありがとうございました!これで胸を張ってアメリカに帰れます!」
「いえいえ、こちらこそ楽しかったです!ありがとうございました。」
帰り道、お義父さんは親父と握手しながら俺達に感謝を述べた。
「タクト、娘を…ステイシーをこれからもよろしく!」
「こいつなら大丈夫だと思います。俺もこいつから学ぶことがいっぱいあるので!」
お義父さんは俺にそう言ってきた。まぁ、留学生活もあと2カ月弱で終るし、最後までこいつが楽しめるように頑張ろうかな。
「タクト。ステイシーが何かやらかしたら教えてね!きつーく言っておくから。」
「は、はい…。」
「もう、お母さんたらタクトに変なこと吹きこまないで!」
笑いながらそう言うお母さんに怒るステイシー。まぁ、そう言うときは大抵俺が何とかしているからいいや。
「タクト、今日は楽しかったぜ!姉ちゃんとの学園生活頑張りな!」
「ああ。お前も好きな子へのアプローチ頑張れよ、ジョージ!」
ジョージと俺は最後にそう言ってハイタッチを交わした。その後、俺達はステイシーの家族をホテルに送り届け、楽しい家族交流は最高の形で幕を閉じたのだった。
こんばんわ。
浅草編終了です。
どう書こうか迷いましたけど、何とか終わらせられてよかったです。
次回はバレンタイン編の予定です!
どうぞよろしく!




