第74話 浅草暴走物語
こんばんわ!
森家とバーネット家の発対面です!
「おお、これが浅草というやつか!」
「やはり日本の東京と言えばここを思い浮かべるわね!」
「すげー!でかいランタンがある!」
そうはしゃいでいるのは今回発来日を果たしたバーネット一家である。この日はどうしてもみんなで行きたかったという浅草に来ていた。っていうかジョージよ、雷門の提灯をランタンって…。
「ふふふ、こういう家族ぐるみの付き合いもやはり悪くない!」
「そうよねぇ、婚前交流ってやつかしら?やだぁ~私ったら♡」
「みっともねぇからデレデレするなよ、親父お袋。それと、婚前とか言うな!」
俺は親父とお袋にそう突っ込んだ。そう、寶藍の時もあったが日曜部である今日に俺達はお互いの家族一緒に観光と言う名の交流会をやることになっていたのだ。浅草観光は正直王道過ぎてどうかと思ったけど、喜んでるみたいだしまあいいか!
「タクト、ごめんね巻き込んじゃって。」
「ステイシーが謝ることはないさ。」
「ありがとう、今日は楽しもう!」
「あんまりくっつくなよ。恥ずかしいし。」
「いつもしてるからいいじゃない。」
「はぁ。」
そう言われたらぐうの音も出ない。俺の腕にしがみついているステイシーをうちとステイシーの家族は勿論、他の観光客までじろじろ見ている。まぁ、親父たちは打ち解けたみたいだから別にいいんだけど。
-1時間前、八王子駅前-
「どうも、息子が高校のときにはお世話になりました。私、森拓人の父の義和です!」
「母の京子です!」
浅草に来る前、俺達は八王子駅前で待ち合わせをしていた。そこで初めてお互いの家族が対面したというわけだった。親父とお袋は礼儀正しくステイシーの家族にあいさつをした。
「いえいえ!今では娘が何かと面倒になってるみたいで!ステイシーの父、ランディです!」
「母のクリスティナです!」
「弟のジョージです。宜しくお願い致します!」
普段は陽気なバーネット一家も始めて俺の家族に対面するのは結構緊張したのか、少々硬い感じがした。俺のホームステイ初日でもここまで硬くなかったから珍しい一面だなと思った。
「今日は家族水入らず、ゆっくり楽しく観光しましょう!」
「そうですな!あなた達とはうまくやっていけそうだ!ワッハッハ!」
親父たちは短時間であっという間に仲良くなっていった。まぁ、揉めるよりはずっといいけどな。
そんな感じで森家とバーネット家の浅草観光は順調すぎるくらい友好ムードで進んでいった!
「おお、これはすごい!」
お義父さんが何やら店のショーウィンドウをみて騒いでいる。なんだろう?
「本当だ!本物のジャパニーズソード始めてみたわ!」
「ジョージ、あれは本物そっくりだけど斬れない模造刀だ。」
「何だよ、本物じゃないのかよ!つまんねーな。」
俺が説明するとジョージはつまらなそうにがっくりと肩を下ろした。この店には模造刀のほか、手裏剣や半被など、忍者や侍になりきれるグッズが沢山売っていた。
「でも、あれはうちのインテリアにいいんじゃない?」
「あら、クリスティナさんったらお目が高い!うちは少し狭いですからあれですけど、お宅の広くて素敵なお部屋ならきっと絵になりますよ!」
「もう、京子さんたらお世辞が上手なんだから♡」
母親同士もすっかり仲良くなっている。ちなみにアメリカに行ったことがないうちの母親がなぜステイシーの家が広いか知っているのかというと、帰国後に俺が写真で見せたことがあるからだ。その時お袋が「広くてうらやましい。こんなお家住みたい!」って言ったのを覚えている。お義父さんは相当気に入ったのか、模造刀を一本買いご機嫌な様子で店から出てきた。
「ねえ、タクト!私達も何か買おう!」
「別にいいけど、何にしようか?」
「そうねぇ、これいいんじゃない!」
そう言ってステイシーが手に取ったのは新撰組の法被だった。
「そうだな。こいつは値段もそこまで高くはないし、買うか!」
そう言って二人でレジへ向かい、法被を購入。店を出た瞬間に…。
「タクト、着よう!早く早く!」
「お、おお。」
そう言って二人で背中に「誠」と書かれた水色の法被を着てみた。
「おお、いいねぇ!」
「タクー、ステイシーちゃ!お似合いよぉ!」
うちの両親が大声でそう叫んだ。おい、恥ずかしいからやめろ!そして、お義父さん達も・・・。
「スバラシイ!日本のサムライとはまさにこのことだ!」
「やっぱタクトとステイシーじゃ絵になるわね!」
「ヒューヒュー!ラブラブだぜ、二人とも!」
メッチャはしゃぎまくってた。ジョージ後で覚えてろ。お義父さんに至ってはさっき買った模造刀を鞘から抜き取って決めポーズまで取り始めた。やれやれ…。
「ちょっといいですか?」
俺が呆れていると、お義父さんがいきなり警察官に声をかけられた。
「な、何ですか?」
「こんな所でそんなものを持って何やっているんですか?それはどこで手に入れたんですか?」
「こ、これはそこの店で買った模造刀で、危ないものじゃない!」
お義父さんは警察官に職務質問されて珍しく動揺していた。しばらく続いたが、10分後にようやく解放された。
「とりあえず、分かりました。でも、本物ではないとはいえあんまりそういうものを外に出さないでくださいね。それと、他のお客さんの迷惑になるんであまり騒がないように。」
「はい。」
「すみませんでした。」
お義父さんと俺は警察官に謝り、持っていたお土産をしまって次の場所に向かおうとした。
「災難でしたな。まぁ、そう言うときには美味しいものを食べて気を取り直しましょう!じゃあ、レッツゴー!」
親父はそう言ってみんなをその店へ案内しようとした。ふう、色々ありそうだけど楽しく過ごせるかもしれないな。俺はそう思いつつみんなと一緒に親父について行った。
こんばんわ!
2月初投稿です!
最近、どうすれば面白く書けるか悩みまくってます。
でも、この作品は何が何でも最終話まで描き上げますんで、宜しくお願いします!
それではまた次回!




