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第6話  Date with Bolam 後編

拓人と寶藍の野球観戦デート、後半戦に突入です!

俺の始球式で盛大に始まった今日のスワローズVSカープの試合。

スワローズ石川、カープ野村の両エース対決は見事なまでの投手戦になり七回まで両チーム全く点が入る気配がなかった。

このまま9回でサヨナラ勝ちでもしてくれたら嬉しいと思ったのだが、悲劇が起こった。

8回に石川が先頭バッターのエルドレッドにホームランを打たれてしまい、結局それが決勝点となった。スワローズは1−0で完封負け。最終回三者三振は駄目でしょ。

「残念だったわね。」

「ああ、でもいい試合だった。まだ開幕したばかりだし、巻き返しは効くさ。」

「ツインズも今年こそ優勝目指さなきゃね!」

「去年ビリから2番目だったからな。」

「今年は強いの!」

なんて話をしながら俺達は球場を出た。13時プレイボールだったのだが、両投手がスイスイ投げて試合の進行がめっちゃ早かった。試合時間は2時間10分。つまり今15:10と結構時間が余った。

「バッティングセンター行く?」

「いいわよ!」

俺達は球場のすぐ近くにあるバッティングセンターに入った。俺は早速空いているところに入り…

「見てろ寶藍!高校時代正捕手でキャプテンだった俺の実力を!」

130kmの球を打ちまくった。ホームランは出なかったが、クリーンヒットは半分以上あり、中々の手応えだった。

「すごい、さすがタクちゃん!」

「まぁな。」

寶藍はもう少し遅いゲージで打ったのだが、いい当たりが多く、スイングも鋭かった。意外と運動神経いいな。

その後俺達は時間があったので外苑をブラブラした。まだ小春日和の並木道は結構絵になっており、目の保養になる。因みに、寶藍はその間もずっと俺の手を握って離さなかった。

「何か、こうして二人で歩いていると昔を思い出すな。」

「そうね。ずっと手繋いで帰ったりしてたもんね。」

うっすらだけど覚えている。二人で遊んだり、一緒に行き帰りした時のことを。しばらく散歩した後、戻ることになったのだが。

「寶藍、よかったら家に来るか?」

「ええっ?いいの?」

「ああ、うちの親も喜ぶぞ!」

そういうことで、俺の家に寶藍を連れて行くことになった。おそらく会うのは14年ぶりくらいだろう。

信濃町の駅から電車で40分かけて俺の家の最寄り駅まで向かう。到着すると…

「懐かしい、あんまり変わらないわね。」

と寶藍が言った。確かにこの辺ってあんまり変化ないな。俺達は家に向かって歩き出すが、寶藍はやっぱり俺の手をギュッと握ったまま離そうとしない。

ふと俺は、ここでずっと感じていた疑問を投げかけた。

「にしても寶藍。お前、よく俺のこと覚えてたな。14年ぶりなのに。」

「当たり前でしょう!忘れるわけ無いじゃない。」

「済まない、俺は一目見てお前だって分からなかったよ。あんまりキレイになりすぎてて…」

俺がそう言うと、寶藍は顔を真っ赤にしながら返した。

「あたしはすぐにあんただって分かったわよ。面影というか、雰囲気というか…そういう所は変わってないもの。」

「そうか?」

「でも、あんたかっこよくなりすぎよ!あんなに逆ナンされて…あたしの許可なくそれ以上カッコよくなったら許さないから!」

「無茶苦茶すぎんだろ、おい!」

昔からよくかっこいいとか言われてたけど、肯定も否定もせずに流してきた俺だったが、こうも面と向かって言われると恥ずかしいな。そうこう話しているうちに、俺の家についた。

「引っ越したのね。」

「ああ、小学校の時にな。」

俺は玄関のドアを開けて、中に入る。

「おかえり!タクー…ってあら!なんて綺麗な娘でしょう!まさか彼女?」

「違うってお袋!忘れたのか?」

「おばさん久しぶり!尹寶藍です!」

寶藍がそう言うとお袋は必死に思い出そうと腕組みした…そして…

「もしかしてボラムちゃん?」

「はい、そうです!」

「あらまぁ!久しぶり!こんなに美人になっちゃって!義和さぁん!懐かしい子が来たわよぉ!」

ハイテンションのお袋の後を追い、俺達はリビングに入った。入るやいなや親父がびっくりした顔でこっちを見ていた。

「ほ、本当にボラムちゃんなのか?」

「はい、おじさんも久しぶり!」

「おお、なんて綺麗になったんだ!うちのイケメン息子と並ぶとそんじょそこらの絵画よりも美しい!さ、さ。座って!」

俺達はそのままリビングの椅子に腰掛けた。

「いやぁ、あまりにも綺麗になってたから分からなかったわ。ボラムちゃん、どうして日本に?」

「交換留学です!」

「って言うと、韓国の大学に籍をおいているのかい?」

「はい、韓国ではソウルの女子大に通ってます!」

うちの両親も14年ぶり、しかもあのあどけなかった寶藍がこんなに綺麗になって戻ってきたとなれば嬉しいだろう。その後も雑談に花を咲かせ、みんなで夕飯を食べた!

「美味しい!やっぱりおばさんの春巻き最高です!」

「本当に?懐かしいでしょう?」

寶藍は俺のお袋が作る春巻きが大好きで、幼稚園の頃はよく食べに来ていた。何か…あの頃に戻ったみたいである。するとお袋が…

「寶藍ちゃん、今日泊まってく?」

「いいんですか?」

「勿論よ、ねぇ和義さん!」

「ああ!久々に来てくれたんだ!ゆっくりしていきな!」

「いいのか?寮の門限とかあるんだろ?」 

「大丈夫!うちの寮門限とかないし!」

マジか。珍しいな。うちの大学の寮は規則が緩いとは聞いていたが、ここまでとは。

そんなこんなで夕飯後も皆でTVを見ながら楽しく談笑し、俺は風呂に入ることにした。

「はぁ…疲れたけど楽しかった。」

湯船に浸かりながら俺はそんなことを考えていた。野球も見れて、幼馴染といっぱい話せて満足な休日だった。風呂から上がり、寝間着に着替えてあとは寝るだけだ。電気を消しベッドに寝転がったとき…

「タクちゃん…」

「どうした寶藍?」

「そ、その…一緒に寝ない?」

おい!年頃の男女が同じベッドで寝るとかダメだろ!

「アホ、お前は理性や羞恥心という言葉を知らないのか?」

「アタシと寝るのが不満だっていうの?」

「いや、そういうわけじゃ…ただ若い男女が同じベッドで寝るっていうのはちょっと…」

「今更恥ずかしがってどうすんのよ!幼馴染でしょうが!」

「そこまで言うなら…別にいいぜ。」

はぁ、こういう押しに弱いところが駄目だよな、俺。寶藍は俺のベッドの中に入り、丁度二人が並んだ感じで寝ている。ヤバイどうしよう!あの時の夢を思い出しちまう。

すると廊下から両親の会話が聞こえてきた。

「ボラムちゃんがタクのお嫁さんになってくれたら嬉しいな!」

「私もそう思うわ!3年間一緒に育ってきたようなもんだし、ピッタリよ!」

「結婚したらきっと可愛い孫が出来るぞ!」

「ウフフ、楽しみだわぁ!」

おい、仕込んだのはお前らだな両親!二人もあんまり理性とかは感じないんだよなぁ。

「タクちゃん。」

「どうした寶藍?」

「私が韓国帰ったとき寂しかった?」

「そりゃ、寂しかったけど。」

「私も寂しかった。あの時は離れるのが嫌ですごい駄々こねて…ずっと大泣きしてたわ。」

知らなかった。ここまで日本での生活に思い入れがあったとは…

「ごめん、そこまで考えていたなんて気づきもしなかった!」

「いいの。だってまたこうやって一緒になれたんだし。」

そうだ。これからまたいっぱい話す機会はあるし、楽しい思い出だっていくらでも残せるじゃないか!すると寶藍は俺にしがみついてきて言った。

「あたし、韓国に帰ってからも一度もあんたのことを忘れたことないわ…だって、あの時からずっとあんたのことが…」

「ん?どうした、なんだって?」

「スヤスヤ…」

言いたいことを最後まで言う前に寶藍は寝てしまった。何を伝えたかったのだろう?

俺も今日の疲れが一気に噴き出してきたのか、寶藍にしがみつかれたまま、ぐっすりと寝てしまった。

無事デートを終えた二人。

しかし、寶藍ちゃんが拓人君の事を大好きだっていうのが伝わってくる回でしたね!

今後進展はあるのか?

次回はステイシーの出番をもう少し増やしていきたいと思います!

それではまた今度!

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