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第5話  Date with Bolam 前編

今回はデート回です。

拓人君、無事に一日を過ごせるのか?

「俺達、遂にここまで来ちまったか…」

「でもいいの!相手がタクちゃんなら…」

少し薄暗い部屋の中で、俺は寶藍とベッドの中で横たわっていた。どうしてこうなったかよくわからないが、気持ちが昂ぶった俺達はお互い生まれたままの姿になり、体を重ねた。そして、今さっき事が終わり、布団の中で抱き合っている。

「寶藍、すごく良かったよ。それに…今のお前最高に綺麗だよ。」

「私もすごく良かった!えへへ、タクちゃんカッコいい!大好き♡」

寶藍が俺の体に顔を埋め、それを俺が抱きしめる。こいつの肌が物凄くキレイなこともあってか、行為の時と引けを取らない気持ちよさがあった。そんな余韻に浸っている時だった。

バァン!とものすごい勢いでドアが開く!その方向を見ると…

「ス、ステイシー!」

ステイシーが鬼の形相で俺たちを睨でいた!しかも何故かレポーターらしき男性とテレビカメラまで来ていた。な、何だこれは?

「ちょっと、タクト!どういうこと!アタシとはまだしてないのにボラムとそういう事やってたなんて酷いわ!」

「い、いや…これは…」

「ボラム!アタシのタクトを誘惑するなんて許せないわ!」

「うるさい!アンタよりあたしの方が魅力があるんだから当然でしょ!」

二人が言い合っている時に、俺はレポーターらしき男性に話しかけられた。

「浮気調査番組、ヒーターズのジョンソンです。森拓人さんですね?」

「そうですが…」

「ステイシーさんから番組に依頼がありまして貴方の一週間を調査させてもらいました。」

「は、はあ。」

「貴方はステイシーさんとデートしながらこちらの女性ともデートしていましたね。」

「はい、しました…」

「ステイシーさんは貴方を本気で愛していたのに、その気持ちを貴方は踏みにじったのですよ!」

「う…」

レポーターに説教されて、俺は何も言い返せなくなった。その横で…

「もう許さないわ!」

ステイシーがどこからかわからないが、いきなり金属バットを取り出した。

「二人を殺して私も死ぬ!う、うわァァァン!」

ステイシーは涙を流しながら俺と寶藍に金属バットで殴り掛かる。ちょ、ちょっと待て!

ガシャン、バキッ、バリバリ!

俺は寶藍を抱き寄せながら、あちらに逃げ、こちらに逃げたりしたが、とうとう一番奥の窓まで追い詰められた。

「覚悟しなさい!二人共!」

「ま、待て!話せばわかる!」

そう言ったがステイシーの勢いは止まらない。思わず窓に寄りかかると…

パタン…え?

突然窓が開き、俺と寶藍は裸のまま外に投げ出されていた。

「うわァァァ!」

「きゃァァァァ!」

俺達は叫びを上げながら猛スピードで地面に向けて落ちていった。


「うわぁっ!」

俺は悲鳴を上げながら飛び起きていた!あれ…夢?

周りを見てみるとたしかに俺の部屋だ。良かった。ふと気が付くと、ベッドから落ち、床の上にいた。だから最後あんなオチになったのか。時計を見てみると、まだ午前2時だった。

「何なんだよ、あの夢…」

今まで見た夢の中で最高に変な夢だったと思う。

「もしかして、アレのせいか?」

前に『世界モロ見えTV』と言う人気番組で、アメリカの浮気調査番組の特集をやっていたのを見たのだが、多分それのせいだと思う。夢の中とは言え、自分がターゲットにされるとは思わなかった。まぁいいや。寝よ!まだ時間はあるし…


一夜明けて。

俺は普段通り授業を受けていた。そして休憩時にいつも通り幹夫と談笑していたとき…

「幹夫、土曜日暇?よかったらこれ行かない?」

取り出したのはヤクルトスワローズ戦のペアチケットだ。せっかくの土曜日のデーゲームだし、誰かと行こうと思っていたのだが…

「モリタク殿!申し訳ない!誘ってくれたのはありがたいが、某はこの日、従兄の結婚式に行かなければならぬ!次の機会なら…」

「マジか。それなら仕方ないな!楽しんでこい!」

「モリタク殿も!」

うーん、だめか。その後も何人か誘ったがみんな『バイト抜けられない』『デートがある』などの理由で都合が悪い。困ったぞ。チケット一枚無駄にしたくないし。

そう考えながら、次の教室に移動しているとき…

「お、寶藍!」

「やっほータクちゃん!」

トイレから寶藍が出てきた。

「寶藍。お前、土曜日暇か?」

「別に予定はないけど。」

「だったらこれに行かないか?」

俺はペアチケットを取り出した。

「一緒に行く人見つからなくて困ってたんだ。」

「えー!タクちゃんとプロ野球観戦?!行く行く!絶対行く!タクちゃんサイコー!」

メッチャ笑顔で承諾してくれた。本当に韓国の女の子って野球観戦好きだな。こうして一緒に見に行く相手も決まり、俺は次の授業を受けに行った。


土曜日。

俺は自宅の最寄り駅で電車を待っていた。土曜日なので午前中でもそこまで混んではいない。来た電車に乗り込むと…

「おはようタクちゃん!」

「おっす、おはよう!」

寶藍と車内で合流した。どういうことか説明すると、大学の最寄り駅から四駅乗ると俺の地元の駅に着き、そこから更に40分乗ると神宮球場に着く。始めは現地集合にしようと思ったが、寶藍がどうしても一緒に行きたいと言ったので、先に寶藍が電車に乗り込み、何分の電車に乗り、何分に俺の最寄り駅に着くのか、何号車に乗っているかをケータイで連絡しながら合流するという方法を取った。ちょっと無茶苦茶かも。

「タクちゃんと野球かぁ、楽しみ!」

「お、おい。恥ずかしいからあんまりくっつかないで…」

「ウフ♡」

寶藍のとなりに座ると、案の定こいつは嬉しそうに俺にひっついてきた。そんなに触り心地いいか、俺?

すると向かい側の女性グループから…

「ねぇ、見て見て!あの男の子超かっこいいよ!」

「ホントだ、どうしよう?声かけちゃおうかな?」

「でも隣に彼女っぽいのがいるわ。」

「ホントだ、すごい美人!私じゃ無理だ。諦めよう。」

なんて会話が聞こえてきて、俺は顔を赤らめ、寶藍はそいつらに向かって舌を出した。変なの。


所変わって、俺達は神宮球場に到着。土曜日のデーゲームと言うだけあって、結構お客さんは多い。俺達は球場入りし、内野指定席に座った。因みに今日は広島カープとの対戦だ。

「蚕室球場もいいけど、こっちも活気があっていいわね!」

「だろ!やっぱりいつ来ても飽きないよなぁ、ここは。」

俺は小さい頃からヤクルトスワローズが大好きだ。古田選手がきっかけでキャッチャーを始めたくらいだ。

試合開始30分前になり、両チームのスタメンが発表されていく。

「ごめん!ちょっとトイレ行くわ。」

そう言って席を離れたが、実はトイレではなく、バックヤードに向かった。

「あ、森くんだよね!こっちこっち!」

球場のスタッフに連れられて、とある準備を始めたのだった。


そして、いよいよプレイボールの時間。MCの男性がトークで盛り上げている。そして、いよいよ一大イベントである始球式となった。

『それでは始球式をしてくれる方にご入場いただきましょう!どうぞ!』

そう言われて、出てきたのは…俺だ。

実は前に抽選でペアチケットと一緒に始球式の権利まで当ててしまったのだ!

スタンドにいる寶藍を見ると、やっぱり驚いている。

『本日始球式をして頂くのは、東京都日野市にお住まいの大学生、森拓人さんです!』

ウグイス嬢に言われて俺はスタンドに手を振る!

『さあ、始めて頂きましょう、どうぞ!』

MCの男性の言葉を合図に俺は全力でミットめがけて投げた。結果は…ストライクだ。スタンドから拍手が沸き起こる。

『ナイスボール!森さん、ありがとうございました!』

そう言われて、俺はまたスタンドに戻っていった。

「あんた、始球式やることになってたの?言ってよ!」

「ごめん、びっくりさせようと思って。」

「まぁいいわ。タクちゃんカッコよかったし!」

お褒めの言葉を頂いた!

さあ、いよいよ試合開始だ!

頼むぞスワローズ!

どうも。

最初の展開に「何だこれは?」って驚いた人もいるかもしれません。

ちょっと刺激が強かったかもしれないので、ごめんなさい。

次回は拓人と寶藍の過去について少し触れようと思います。

お楽しみに!

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