第63話 家族ぐるみは高尾山で!
おはようございます!
2週間ぶりの投稿です!
11月末、俺の幼馴染で現在韓国からうちの大学に交換留学中の尹寶藍の家族が来日中だ。そして昨晩はその一家を出迎えて我が家で盛大にホームパーティーと開いたのだった。そして楽しんだ翌日、双方の両親たちがどうするかを勝手に決めてしまい、どういうわけかみんなで高尾山に行くことになったのだった。そして、俺達は今朝の高尾山口駅におり、寶藍の家族を待っている。鍾浩さん達は八王子市内のホテルに滞在することになったのだが、久々に家族と過ごせるということで、寶藍も家族が滞在中は寮に帰らずに同行しているそうだ。
「ふあぁぁ~眠い。」
「まったく、タクはだらしないなぁ。」
親父は大あくびをした俺の横でそう言った。
「何で親父たちは平気なんだよ。あんだけ馬鹿騒ぎして。」
「大人になるといろいろ忍耐強くなるんだ。なぁ、京子?」
「そうよ、タク。夜中に帰って朝出かけるなんて大人になったらよくあることよ。これくらいで文句言わないの!」
お袋はそう言うが、そんなのが当たり前になっている日本企業もどうかと思う。卒業したら公務員にでもなろうかな、俺?
「あ、タクちゃん達いた!おーい!」
寶藍が両親と姉とともに現れ、手を振りながらご機嫌な様子でこちらに向かってきた。
「おはよう寶藍。」
「おはよう、タクちゃん!今日は楽しく行こうね!」
寶藍は俺の腕に自分の腕を絡ませながら笑顔でそう言う。それを横で見ていた惠琳さんも笑顔で俺達に話しかける。
「何?ラブラブねぇ、あんた達。我が妹ながらうっとりしちゃうかも♡」
「へ、惠琳さん?」
「お姉ちゃん?」
「拓人ちゃん、やっぱりボラムにはあなたしかいないと思うわ!あ、ハネムーンの予定が出来たら教えて!うちの航空会社を使ってくれれば家族割で安く済ませられるわ!」
「い、いや。気持ちはありがたいんですけど、気が早すぎませんか?」
「もう、お姉ちゃんたら!こんな所でなんてこと言うのよ!」
「あらあら、二人とも赤くなっちゃって可愛いわねぇ♡」
朝っぱらから駅の改札口でなんて会話をしてるんだと思った。そして、双方の両親もあいさつを交わしながら楽しそうに話している。
「昨日はありがとうございました!」
「いやいやこちらこそ来てくれてありがとう!」
鍾浩さんと親父は相変わらず中がいい。そして、東順さんとお袋も…。
「今日は誘ってくれてありがとうございます!」
「あなた達が来てくれるのならこれくらいのもてなしは当然です!」
楽しそうに話をしていた。こうして全員そろった所で俺達は高尾山へと向かったのだった。
「はあ、はぁ…」
「ふぅ、ふぅ…。」
「何だよ親父、お袋。駅であんなこと言ってたくせにだらしねぇなぁ。」
俺はばてながら高尾山の山道を登る二人にそう言った。俺にはだらしないって言ってたくせに。
「と、年には勝てない。」
「私も・・・登山なんて久しぶりすぎて。」
親父とお袋は何とかついてはいけてるが、ペースが遅れ気味だった。そして、寶藍の所も同様だった。
「早くしないと先に行くわよ!」
「もう、パパとママ遅い!」
惠琳さんと寶藍の姉妹が早くもばて始めている鍾浩さんと東順さんに目をとがらせながらそう言っていた。
「ま、待つんだ二人とも…。」
「速すぎるわよ…。」
やれやれ、親父たちよりも年上の人たちがすいすい上っているのにだらしないな。それでも、山道を彩っている紅葉の中を歩くのは自然と癒された。
「それにしても、日本の紅葉ってきれいね。」
「そうだろ。高尾山の紅葉は全国でも指折りのスポットだからな!」
関心する寶藍に俺はそう言った。高尾山は毎年11月頃から紅葉が色づき始めるが、その美しさから日本国内外から多くの観光客が集まるようになり、今ではすっかり秋の名所になっている。そしてそんな景色に囲まれて俺達は上り続け、ついに山頂へと辿り着いた。
「ついたー!」
俺は思わず大声で叫んでしまったのだが、ゴールにたどり着くのって何か達成感があっていいよな。
「わぁ、綺麗!インスタ映えするかも!写真いっぱい撮ろう!」
寶藍はスマホを取り出して駆けだそうとしたが、双方の両親の制止が入った。
「ちょ…」
「ちょっと待って…」
「その前に…」
「お昼食べよう…」
4人はへろへろになりながら俺達にそう言った。時間を見ると既に正午になっていたので俺達はここで昼ごはんにすることにした。そう言うわけで、高尾山名物「とろろそば」の店に入る。ここに来たらやっぱりこれでしょ。みんな席に着き、注文も終えたので談笑しながら待つことにした。
「しかし、あの拓人君がこんなにカッコよくなるなんて、いつ見てもびっくりだなぁ。」
「いやぁ、カッコいいだなんてそんな…。」
鍾浩さんが感心しながら俺にそう言った。俺はちょっと恥ずかしかったが。そして今度は東順さんが俺に質問する。
「拓人君、ボラム学校じゃどう?この子すぐ怒って子供っぽい所あるからちょっと心配で。」
「もう、ママったら!」
寶藍が東順さんに対し、目を吊り上げながら突っ込む。まあ、全部は否定できないけどフォローはしておこう。
「こいつなら大丈夫ですよ。学部生や他の国からの留学生とも上手くいってますし。ほら、これ9月にこいつの誕生日会を留学生寮でやったんですけどこんなに多くの人たちが来てくれたんですよ。」
俺はスマホで撮った寶藍の誕生会の時の写真を見せた。あのときは俺や幹夫、ステイシーと言ったサブカル研究会の面々は勿論、親衛隊(自称)の大沢や橋本、仲がいい川口、寮の留学生が大勢参加して凄いにぎやかだった。
「良かった。父さんお前が住んだことがある国とは言え上手くやっていけているか本当に心配だったんだ。」
「母さんも少し心配だったわ。でも、あんたから拓人君と同じ大学って聞いた時はとても嬉しかったわ。」
「もう、二人とも心配し過ぎ!」
寶藍の両親は安堵の表情を浮かべた。そして、鍾浩さんは笑顔で言った。
「やはり拓人君がいるのといないのとでは全然違うな。これからも娘をよろしく頼むよ!拓人君!」
「は、はい。」
そんな話をしているうちにみんなが頼んでいたそばがぞろぞろと運ばれてきた。よし、伸びないうちに食べないと。
「「「頂きます!」」」
みんなでそばを食べ始める。うん、美味い!新鮮なそばの香りが漂って食欲を余計に促す。あっという間に箸が進むな。
「上手い、そばと言えば高尾山だな!」
「ほんとよねぇ、美味しいわ!」
親父とお袋は感心しながら食べていた。そして寶藍一家も…。
「何これ!美味しい!学食のそばよりも100倍美味いじゃない!」
「そばなんて最近は空港のフードコートぐらいでしか食べてなかったけど、本格的な所はやっぱりおいしいわね!」
「美味い!日本支局駐在時はよく食べていたけれど、こうして今食べると懐かしさで余計美味しく感じる!」
「冷麺もいいけど日本そばもいいわね。お土産に買ってこうかしら。」
結構好評だった。こうして楽しい時間を過ごしているうちに昼休憩は終わった。
「ああ~食後に山の空気を吸うっていいな!気分爽快だわ!」
俺は店の外で伸びをしながらそう言った。他の人はトイレに行ったりお土産を見たりしているので、俺はとりあえず景色でも楽しみながら待つことにした。うん、しかし絶景だな。天気が快晴って言うのもあるけど、山々を色とりどりの紅葉が鮮やかに染め上げ、天然の芸術作品とも言うべき光景が広がっていた。朝起きるのは少しきつかったけど、この景色が見れて良かったと思う。
「やっぱいいわね。こういう所!」
後ろから声がしたと思ったら、惠琳さんがいた。そして、付け加えるようにこう質問した。
「ボラムとデートで来たくなった?」
「い、いや。まぁ、あいつとは二人で遊ぶこともありましたけど。」
「もう、恥ずかしがらないの。こういうときは男らしく堂々としていなきゃ!」
そう話していると、俺はいきなり後ろから知らない誰かに話しかけられた。
「ね、お兄さん!」
「写真撮ってくれませんか?」
20代くらいの女性3人組がそう頼んできたので、俺は写真を撮ってあげることにした。写真を撮り、カメラを返した所で一人の女性が俺に質問してきた。
「ねえ、お兄さんいくつ?」
「19です。」
「きゃぁぁ、10代だって!可愛い!」
「ねえ、ねえ!お姉さん達と一緒に遊ぼう!いいでしょ!」
「いや、そう言われましても・・・!」
俺が困っていると、惠琳さんが前に出てきた。しかも、ものすごくどす黒いオーラをまきちらしながら。
「あんたたち、さっきから何なの?その礼儀知らずの態度は?!」
「あなたこそ何なんですか?」
「いい?この子は私の可愛い義弟よ!あんた達みたいな非常識な女に渡すわけないでしょ!」
やべぇ、超怒ってる。ものすごい美人なんだけど怒るとむしろ余計迫力を感じる。3人はその迫力に気おされてそそくさと退散してしまった。
「な、何かすみません。」
「いいのよ。義弟のために義姉が一肌脱いだだけよ!」
「まだ家族じゃないですよ!」
「将来的になるんだからいいじゃない!」
「はぁ。」
「でも、あんた達も大変なのね。」
勝手なことを言いつつ、最後は同情しながら肩をポンと叩いてくれた惠琳さんだった。それからみんな戻ってきて、絶景をバックに記念写真を撮ることにした。鍾浩さんが一眼レフと三脚を持ってきたので早速スタンバイだ。
「みんな集まって!あ、寄りすぎ寄りすぎ!そう、そこそこ!」
鍾浩さんがカメラを構えながらいろいろ調整している。すると、横にいた寶藍が話しかけてきた。
「タクちゃん、表情が硬いじゃない!もっと笑いなよ!」
「写真で笑うの苦手なんだよ!」
「もう、世話が焼けるわね!じゃあ、こうしてあげる!」
そう言うと寶藍は俺の腕をギューッと握ってきた。
「あたしの元気分けてあげるわよ!」
「フフフ、ありがとな!」
「そう、それ!やっぱりタクちゃんは笑ってる時が一番かっこいいわ!」
「何だよそれ!」
そんなことを話しているうちに鍾浩さんがカメラのタイマーを押した。急いで俺達の所に戻る鍾浩さん。そして、ぎりぎり間に合った所でシャッターが切られ、2家族勢揃いの写真を撮ることが出来た。14年ぶりの再会。それは俺達が最初に出会った日野、そして秋の紅葉で彩られた高尾山で素敵な思い出となって実現し、これからもみんなの思い出として残り続けるだろう。
おはようございます!
ここの所疲労がたまりすぎて困ってます。
でも今回が一番長いお話でしたが…。
僕も高尾山に行きたいです!
紅葉今頃きれいなんだろうな。
さあ、11月ももうすぐ終わりです!
1年経つのって本当に速いので、後悔なく過ごしたいですね!
それではまた次回お会いしましょう!




