第62話 久々の、おもてなし!
こんばんわ!
さあ、ついに感動の対面です!
11月の頭、肌寒くなってきた季節のある日の夕方。俺、というかうちの家族はある方々を出迎えてホームパーティをすることになった。その一家とは…。
「おじさん、おばさん。お久しぶりです!拓人ちゃんもカッコよくなったね!」
「いやぁ、どうもお久しぶりです!お招きいただきありがとうございます!」
「またこの町に来れるなんて思ってもいませんでした。今日は宜しくお願い致します!」
寶藍のお姉さん、お父さん、お母さんたちだ。今回、寶藍の家族が日本旅行にくることになったのだが、その際是非俺達に一目会いたいと言っていたのでこの機会を利用して会うことになったのだ。はじめは韓国料理屋で食事会をやる計画だったが、なんだかんだでうちでやることに決定していた。
「どうもお久しぶりです!皆さんお元気で!」
「さ、さあ上がってください!遠かったでしょう、ゆっくりしていってください!」
親父とお袋も挨拶をして寶藍の家族をうちのリビングに招き入れた。テーブルにはお袋が腕によりをかけて作ったたくさんの豪華な料理が並んでいる。みんなそれぞれ荷物を置き、席に着き、お袋が全員分の飲み物を注いだところでホームパーティ開幕。
「タク、乾杯の音頭を頼む!」
「え、俺がやんの?」
親父が俺に無茶ぶりをする。なんてこった、想定外だよこんなの。何も考えてなかったし。でも、せっかく来てくれたんだしここは一肌脱ごうと俺は立ち上がって口を開く。
「ゴホン…えーっと、今日は遠路はるばる韓国から起こし頂きありがとうございます。そしてお久しぶりです!14年ぶりにこうした家族ぐるみの交流が出来てとても嬉しいです!では、皆さんの再会を祝って乾杯!」
「「乾杯!」」
ちょっと愚だ具駄々ったかもしれないが、俺の音頭でみんなが乾杯をし、いよいよお楽しみタイムだ。
「いやあ、おいしい!義和さんとまた盃を交わせるなんて!」
「いやいや、僕も鍾浩さんとまた乾杯できて嬉しいですよ!今日は飲みましょう!」
親父と寶藍のお父さんの鍾浩さんはビールで乾杯しながら楽しそうに話している。そしてお袋と寶藍のお母さん、東順さんも再会を喜んでいる。
「お久しぶりです!でもあの拓人君がこんなに大きくなって、私の中じゃあの小さかった幼稚園児の拓人君で止まってますから。」
「いえいえ。私も最初ボラムちゃんが留学しに来て家に遊びに来たときはびっくりしました!こんなに綺麗になっちゃうんですもん!」
何だろう。14年ぶりなのにお互いの両親のこのやり取りを見ていると当時の記憶がまるで昨日のことのように蘇ってきた。そんな様子に見とれて少し呆けていた俺に寶藍の肘鉄が入る。
「うげっ、何だよ?」
「何ぼーっとしてんのよ!料理が冷めるじゃない!」
「ごめんごめん。何か懐かしくなって見とれちまった。じゃ、いただきまーす!」
俺はそう言って寶藍と一緒に食べ始めた。そんな様子をこいつのお姉さんの惠琳さんが笑いながら突っ込んだ。
「あんた達愛変わらず仲がいいわね。」
「まあ、そうっすね!」
「当然じゃない、お姉ちゃん。」
しかし、惠琳さんは寶藍の姉と言うだけあってやっぱり良く似てるな。でも寶藍よりも大人びていて落ち着いた顔立ちの美人といった感じだ。妹がK-POPアイドルなら、姉は韓国ドラマの女優さんと言ったところだな。惠琳さんはさらに笑顔で俺に聞いてくる。
「しかし、拓人ちゃんはやっぱりイケメンね!どう、学校じゃあモテモテでしょ?」
「いやあ、そんなことないです。全然モテナイっすよ!」
「ええ~意外!じゃあ彼女もいないの?」
「はい…。」
「マジか!」
そう驚いた惠琳さんは、今度は寶藍の方を向いて言った。
「良かったじゃないボラム。拓人ちゃん彼女いないってさ!」
「な、何がいいのよ?!」
「付き合うチャンスがあるって言ってるじゃない!」
「「ブフォッ!!!」」
俺と寶藍は驚きのあまり飲んでたコーラを思いっきり吹き出してしまった。ゲホゲホ…。
「な、何を言うんですかいきなり?」
「おおおおお、お姉ちゃん!?」
俺は勿論寶藍まで顔を真っ赤にしながら動揺していた。そして惠琳さんはさらに笑いながら付け加えた。
「もしかしてもう付き合ってるとか?」
「い、いえ。そんなことは。」
俺は否定したが、寶藍は何故か今度は顔を赤くしたまま黙り込み、そして頬を膨らませながらこっちを睨んでいる。
「どうした?」
「別に。」
寶藍はぷいっとそっぽを向いてしまった。わけのわからん奴だな。
「そう言うお姉ちゃんはどうなのよ?」
「私は彼氏いるわよ!」
「うっそ!マジ?どのくらい付き合ってんのよ?」
「大学の時からだから…3年くらいかな!」
「全然そんなこと言ってなかったじゃない!」
「ごめん、今まで内緒にしてたの!パパとママには先週話したけど、あんたにはまだだったわね!えへへ。」
「えへへじゃないわよもう!」
俺は隣でそんな姉妹のやり取りを聞いていた。そうか、惠琳さん彼氏いたのか。まあ、これだけ美人じゃモテるだろうな。そして再び俺の方に向き直った。
「ねえ、拓人ちゃん。」
「はい。」
「ボラムの事、お願いしてもいいかしら?」
「それはどういう…?」
「決まってるじゃない、彼氏になってあげてってこと!」
「い、いきなりなんですか?」
どうしたんだ惠琳さん?もしかして酔っているのか?
「だってぇ、あんた達どう見てもお似合いだし!それにカッコいい弟が出来るのは私も嬉しいわよ!」
「いや、何か…話が飛び過ぎているような。」
「そうかしら?何なら今チューしてあげたら?姉である私が許す!」
「そういう問題ですか?」
寶藍は反論するのかと思いきや、顔を赤くしたままもじもじと大人しくなっていた。おい、寶藍!いつもの威勢はどうした?そして、両親たちはそんな話を聴き逃すわけがなかった。
「おいタク!いい加減正式に付き合ってあげたらどうなんだ?鍾浩さん、うちの息子とボラムちゃん、どうですか?」
「もちろん大歓迎です!拓人君が寶藍と結婚してくれたらどれだけ嬉しいことか!」
「あなたならそう言ってくれると思いました!じゃあ、これをどうぞ!」
「おお、日本酒!日本に来たらまずはこれですな!」
「前に家に来た時飲んでたのと同じ銘柄ですよ!」
「素晴らしい!娘の結婚祝いにはもってこいだ!」
「じゃあ、タクの結婚を祝って!」
「寶藍の結婚を祝って!」
「「乾杯!」」
泥酔した二人の父親は俺達が婚約したと勘違いしてすっかりお祝いムードになりながら日本酒を飲み始めた。そして、母親達も。
「私もタクがボラムちゃんと付き合うことには賛成ですよ!」
「私もです!惠琳には彼氏がいるけどこの子はまだみたいだったし、是非拓人君にお任せしたいな!」
「ずっと一緒に育ってきましたもんね!」
「そうですよ!ちょっと短気で子供っぽい所ありますけど、娘を宜しくお願いします!」
「いえいえこちらこそ!」
母親達も勝手に盛り上がっていた。そして、寶藍の方はというと相変わらず顔を赤くしたまま大人しく座っていた。そして惠琳さんはそんな俺達をニヤニヤしながら見ている。
「はぁ、どうすんの?この状況…。」
凄いことになっちゃったが、まあいいか。俺もそうだが14年ぶりに会えてみんな嬉しいんだろう。酒も入ってるし。そんなこんなで俺達はホームパーティを時間を忘れて夜まで楽しんだのだった。
こんばんわ!
お互いの家族がついに対面しました!
まだまだ続きますんで、宜しくお願いします!
それではまた次回!




