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番外編 休憩時間

こんばんわ。

今日の番外編は拓人が休憩時に屋台巡りをした時のお話です。

時期的には学園祭二日目です。

俺達は何とか忙しくも盛り上がっている学園祭の屋台や展示を頑張っていた。初日は心臓に悪いこともあったが、何とか乗り切ることが出来た。そして、二日目の朝を迎えた。

「よし、今日も頑張るぞ!」

調理器具を屋台においた俺は、かいた汗を手でぬぐいながら次の準備に取り掛かろうとしていた。

「ねぇ、タクちゃん!休憩時間一緒に屋台回ろう!」

「お、いいね。行くか!」

寶藍が一緒に回ろうと誘ってきた。昨日はドタバタして疲れていたこともあって、あんまりゆっくり回る暇もなかったし、いい息抜きになりそうだな。すると…。

「ちょっとボラム、抜け駆けは卑怯よ!タクト、私と回るわよ!」

ステイシーが目を吊り上げながら寄ってきた。何だ何だ?

「何よステイシー、先に言ったのは私でしょ!だから私と回るの!」

「そんな自分勝手が通用すると思ってんの?家族なんだから私と一緒に回る権利もあるはずよ!」

「お、おい。朝からなんで揉めてんだよ…?」

俺はわけが分からないままとりあえず仲裁に入る。すると横から幹夫がご機嫌な様子で言ってきた。

「まぁまぁ、仲よくするでござる!3人で回れば良いではないか!もし不安なら、某もお供するでござ…。」

「「キイッ!!!」」

「…すみません。某は休憩かぶってないです。」

二人は幹夫を凄い目で睨みつけた。ええ~、みんなで回れば面白いと思うんだけどな。そう思っていると、夏美先輩が横から口を挟む。

「馬鹿ねえ。じゃんけんで決めればいいじゃない。それなら公平でしょ。」

「そ、そうね。」

「先輩がそう言うなら。」

二人はすぐに大人しくなり、じゃんけんの準備を始めた。

「じゃあ行くわよ。ステイシー!」

「勝った方が先よ。文句ないわね?」

「ええ。」

「「じゃんけん…ポン!」」

その瞬間、ステイシーは満面の笑顔になり、逆に寶藍の顔が真っ青になる。

「あ…。」

「Great!じゃあ、私が先ね。」

ということで、1回目の休憩はステイシー、2回目の休憩は寶藍と回ることに決定した。


「じゃあ、休憩入ります!」

「おう、ゆっくり回って来い!」

健介先輩にそう言われて、俺とステイシーは二人で休憩に入る。1回の休憩は30分間なので、それだけあれば色々回れるだろう。

「どこ行こうか?何か食べたいか、ステイシー?!」

「仲いい友達が屋台やってるからそこ行きたい。」

「じゃあそうするか!」

そうしてその屋台に行くことになった俺達。そして俺の腕に自分の腕を絡めてきた。

「な、何だよ?」

「いいじゃない!何今更恥ずかしがってんのよ?」

「いやなんと言うか…何だろう?」

ちょっと周りの視線が気になったが、俺達はその屋台の前に着いた。

「なんだ。英会話愛好会か。」

「そう。何人か友達いるわ!」

まあ、こいつはアメリカ人だし英会話愛好会は英語学科の生徒が多いからな。ちなみに屋台のメニューはパンケーキだった。しかも蜂蜜ではなくメープルシロップを使っていることもあり、若い女性を中心に結構な列が出来ている。数分並んでようやく俺達の番が回ってきたが、そこには見たことある顔がいた。

「いらっしゃいませ!」

「ヤッホー!サワムラ!」

「ステイシー、来てくれたんだ!ありがとう!森君もようこそ!」

英語科の沢村だった。そう言えば英会話愛好会だったな。

「じゃあ二つください。」

「はい!少々お待ちを!」

俺は自分とステイシーの分を頼み、代金を支払う。しばらくすると、沢村は俺達のパンケーキを作り上げて持って来てくれた。

「毎度あり!!」

「ありがとう!」

「Thank you!」

俺とステイシーはメープルシロップが掛かったパンケーキを受け取った。うん、甘いいい香りだな。すると、俺達はあることに気付いた。

「ねえタクト、これ…。」

「ん?」

良く見ると、紙皿の上に乗っかっているパンケーキにはメープルシロップがハート型になるよう掛けられていた。前のお客さんのはそういう風じゃなかったし、俺達だけなのか?

「あ、二人とも!お似合いだからサービスしといたからね!」

沢村が屋台の内側からそう言ってきた。そしてこう付け加える。

「いい恋しなよ!二人とも!」

元気いっぱいにそう言われた俺達二人。ステイシーも顔を赤くしている。

「えへへ、タクト!これって運命かも!」

「何のだよ…。」

「もう、鈍感なんだから!とにかく食べましょう!美味しいわよ!」

「そうだな。頂きます!」

二人で食べたパンケーキはめっちゃ甘くて美味かったのだった。


そして、2回目の休憩。

「じゃあ行こう!タクちゃん!」

「よし、行くか!」

寶藍は俺の手を引いて、校舎の中へと入って行った。

「お腹はもう一杯だから展示見よう!」

「そうだな。俺も食べ物はしばらくいいや。」

そう言って階段を上り、三階に着いた時だった。

「タクちゃん、これ!」

「どうした?何かいいのがあったのか?」

「あなたの似顔絵描きますだって!面白そうじゃない!」

「へぇ、美術部はこんなのやってるんだ!行くか!」

やはりただ展示するよりも、来てくれた人も一緒に楽しめる企画の方がいいよな。俺はそう思いながら寶藍に手を引かれて美術部の展示教室に入って行った。

「ご来場ありがとうございます!ってあら…?」

ここでも見覚えがある顔に出会った。

「サブカルチャー研究会の森君じゃない!」

「おお、安村さん!その節はどうも!」

会議の時屋台の場所を好感してほしいと頼んできた安村さんだった。その後も何度か二人でラインで相談したこともあって打ち解けた。

「あの時はありがとうね。迷惑掛けたかも。」

「いやぁ、そんなことないですよ!あ、昨日屋台のチョコバナナ頂きました!めっちゃおいしかったです!」

「ホント?!ありがとう!あ、私も昨日君達の焼きそばとホットドッグ頂いたわ!ありがとう、美味しかったわ!」

話が弾んでいたが、寶藍は少しいぶかしげな感じで俺に聞いてくる。

「タクちゃん、知り合いなの?」

「うん、会議の時知り合って仲良くなった。」

「あ、カウガールの子だ!へぇ、素の状態でもメッチャかわいいんだね!」

「そう、えへへ。私は尹寶藍。韓国からの留学生です!」

「私は美術部書記で経済学部3年の安村美咲よ。よろしくね!」

みんなが打ち解けムードになった所で、安村さんはある提案をした。

「あ、そうだ!折角だし、二人の似顔絵描いてあげようか!」

「いいんですか?」

俺が聞くと、安村さんは快く頷いた。

「もちろんよ!二人とも美男美女だし、いい絵になるわ!さぁ、こちらへ!」

俺達はそのまま部屋の隅の方へ案内され、椅子に座った所で安村さんが準備を始める。そして絵に必要なインクや筆を取り出してスケッチスタート。

「じゃあ、ボラムちゃんから!」

「はい、お願いします!」

そう言うと、安村さんはスラスラと描き始める。

「それにしても、二人ってずいぶん仲がいいのね!」

「幼馴染ですから!」

「え、そうなの?!」

安村先輩は驚いた表情で俺達を見る。

「そうなんですよ。こいつが日本に住んでた時、俺と同じ幼稚園通ってて知り合ったんです!」

「すごいわね!外国人の幼馴染と、大学で再会するなんてドラマでも見たことないわ!」

感心しつつ、手を止めない安村さん。そして、寶藍の絵が出来上がった。

「はい、出来たわよ!」

「ありがとうございます!わぁ、凄い似てる!」

寶藍は満面の笑顔で完成した絵を喜んでいた。しかし、似てるな。お見事と言うべきだ。

「じゃあ次は森君ね!」

「お願いします!」

そう言うと、安村さんは再びサラサラと筆を動かし、あっという間に俺の似顔絵を描き上げた。

「はい、どうぞ!」

「おお、すげぇ!ありがとうございました!」

俺達は安村さんにお礼を言い、少し展示の画を見てから教室を後にした。そして、教室を出る時…。

「二人ともー!お似合いだよー!!!頑張んなさーい!!!」

大声で安村さんがそう言うもんだからちょっと恥ずかしかった。

「ま、まぁ。楽しかったな!」

「うん!サイコー!」

「俺達も頑張んないとな!」

「そうよ!頑張りましょう!」

そんな話をしているうちに休憩時間が終わり、再び俺達は自分の出し物を頑張ったのだった。

こんばんわ!

短くするつもりが長くなっちゃいました。

さあ、10月も終わりです。

本格的に冬に近づいてくるので皆さんも体調気を付けてください!

それではまた次回!

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