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第60話 学園祭最終日

こんにちわ!

学園祭編、ついにクライマックスです!

様々な困難が立ちはだかったが、何とかそれらを打ち砕き学園祭を迎えた俺達サブカルチャー研究会。そんな学園祭もいよいよ今日が最終日だ。

「いらっしゃいませー!ホットドッグと焼きそばいかがですかー!」

今日も来てくれた沢山のお客さん達に元気よく声掛けをする俺。いくら2日間の調子が良くても最後まで気を抜いてはイケないからな。

「今日も絶好調でござるな。」

「ああ、何とかここまでこれて良かったぜ。」

学園祭前は弱気だった幹夫もすっかり元気を取り戻し、今ではご機嫌に仕込みを手伝っている。

「ルンルンルル〜♫楽しい楽しいランランラン〜♪」

そして相変わらずノリノリで鼻歌を歌いながら春菜ちゃんは楽しそうに調理をしている。サブカルチャー研究会の学園祭は今日も平和だ。

「みんな!今日で最終日だ!最後まで頑張っていこう!」

「「「はい!!!」」」

気合一杯の健介先輩に俺達は元気よく返事をした。今日は一昨日、昨日ほどではないが、あまりお客さんが途切れることはなく安定しているのは変わらなかった。そんな列を捌いていた時…。

「タクー!」

「来たわよー!」

誰かと思ったら俺の親父とお袋が来てくれた。

「親父、お袋!仕事は?」

「休みだから来たんだぞ。」

「そうよ。あなたが頑張っているのを見ないわけにはいかないでしょう?」

「そうか、ありがとな!」

去年も二人はうちの学園祭に来てくれた。そんな親父とお袋に俺は礼を言う。

「じゃあ、焼きそばとホットドッグを2つずつ貰おうか。」

「おう、毎度あり!」

俺は二人の分の焼きそばとホットドッグを用意し、手渡した。

「ありがとなタク!頑張るんだぞ!」

「ああ。」

「そう言えば、ボラムちゃんとステイシーちゃんはどこだ?」

「あいつらは今展示の所にいるぞ。」

「そうなの。それじゃあ後で展示のところに行くから宜しくね♡」

「オッケー!でもあんまり人前でイチャつくなよ!」

「「はいはい!」」

俺はそれだけ注意し、二人は焼きそばとホットドッグをも持って休憩スペースの方へ向かっていった。

「相変わらず仲がいいでござるな。」

「まぁ、うちの場合は仲良すぎるって感じだな。」

「不仲よりは良いではないか。」

「そうだな。」

幹夫と笑いながらそんな話をする俺。その後も屋台メニューは順調に売れていった。


一方こちらは展示ブース。

「そりゃあ!これでどうだ!」

「うわっ、やべえ!」

「どうです?僕達結構強いんですよ!」

「優太、大丈夫だ!トラップカード発動!」

「「何だとぉ!?」」

この日もカード対戦ブースには挑戦者が訪れており、現在タッグバトルで双子の下川兄弟とカードゲームの達人(自称)の男子高校生が対戦していた。

「しかし、強いわねぇあの二人。」

「このまま負けなし行くかもしれないわ。」

寶藍とステイシーは横でその様子を見ながら話していた。展示ブースは屋台に比べると全体的にこじんまりとしており、お客さんも疎らだった。

「今日はお客さん少ないわね。」

「最終日なんてこんなもんでしょ?」

「あんたのレジュメ誰も読んでないけどね。」

「あなたのだってダラダラ書いているだけだらか読んでて疲れちゃうわ。」

「何よ!適当に短くまとめただけのあんたにだけは言われたくないわよ!」

「無理してしっかり書こうとした結果ギリギリになったくせに!」

「「「そこ、うるさい!」」」

「「すみません…。」」

同じく展示ブースを担当していた夏美と双子に注意され、しょんぼりする二人。

「それにしても、タクちゃん達大丈夫かなぁ。」

「さっきもお客さん一杯来てたし、ノープロブレムよ。」

なんだかんだで拓人の事を気にかけていた二人だった。そんな時…。

「あら、ここじゃない?」

「おお、ホントだ!入ろう!」

寶藍とステイシーには聞き覚えがある男女の声が聞こえた。

「あら、ボラムちゃんにステイシーちゃん!」

「やぁ、元気でやっているみたいだね!二人共!」

「お、おじさんにおばさん!」

「来てくれたんですか?」

入って来たのは二人が思いを寄せている森拓人の両親、森義和と森京子だった。

「もちろんだ!タクを含め皆が頑張っているところを見たくてな!」

「あなた達も頑張っているみたいね!良かったわ!」

森夫妻は寶藍とステイシーを見るなり笑顔で挨拶した。

「ありがとうございますおじさん、おばさん!屋台行きましたか?」

「おお、行ったよ!拓人が頑張って接客しているのを見れて嬉しいぞ!」

「さすが私達の息子ね!尊敬しちゃう♡」

「タクトは本当に学園祭に力を入れてました。そういう真面目で一生懸命な所が…その…好きっていうか…。」

ステイシーは顔を赤くしながらそう話した。そして、京子が微笑みながら口を開く。

「あら嬉しい♡うちの息子を好きになってくれるなんて♡」

「君に好きになってもらえてタクトも嬉しいと思うぞ!」

「だといいんですけど…はぁ。」

ステイシーは中々拓人が自分のアプローチに答えてくれないことに少ししょんぼりしながらそう答えた。そして、その横で寶藍が目を釣り上げて咳払いをしながら前に拓人と話していたあの話題を切り出す。

「おじさん、おばさん!タクちゃんから何か聞きました?」

「えっと…ああ!ボラムちゃんの家族が日本に来るって話?」

「はい、そうです!」

京子がそう聞くと、寶藍も目を輝かせながら答えた。そして義和も嬉しそうに話し始めた。

「うむ!君のお父さんと久々に一杯やれるとなると嬉しいぞ!その時は是非、皆で楽しませてくれ!」

「はい、勿論です!」

寶藍は満面の笑顔でそう答え、その後も二人は展示ブースを案内した。

「ありがとうね二人共!また遊びにおいでね!」

「正直君達とタクが一緒に学園生活を送っているのが羨ましい!二人共タクの嫁に来てほしいくらいだ!」

「義和さんったらもう…♡」

森夫妻のこのやり取りに顔を赤らめながらモジモジする二人。そして、森夫妻はごきげんな様子で展示ブースを去っていった。

「手が早いわね、寶藍。」

「そっちこそいつの間にか打ち解けて。」

「負けないわ!」

「私もよ!」

二人は睨み合いつつ、交代が来るまで展示の仕事をこなしたのだった。


「ヘックション!」

「どうしたでござるか?」

「いや、何でもない。」

急にくしゃみが出た俺を幹夫が心配する。一体何なんだ?すると春菜ちゃんが俺たちに言う。

「皆さん!ホットドッグがあと1食分です!これを売れば完売ですよ!」

「そうか!よし皆!何としても売るぞ!」

健介先輩も気合を入れて呼び込みを始めた。焼きそばは既に昼過ぎで完売していたので、ここ30分はホットドッグのみを売っていた。あと一つか。早く売りたいな。

「Oh,モリタ君!」

「先生!」

そんなことを考えていたら、まさかのジョンソン先生登場。昨日一昨日はいなかったのに。

「先生、いらっしゃいませ!」

「モリタ君!頑張ってますね!あ、そうだうちの家内と娘もいるんだ!ジェニー、マリア。うちの生徒たちだ!この子がモリタ君でこの子が安西君だよ。」

先生の言う通り、後ろには落ち着いた大人の雰囲気の白人女性と小学生位の女の子がいた。

「初めまして。主人がお世話になってます。ジョンソンの妻、ジェニーです。」

「マリア…7歳です。」

先生の奥さんは礼儀正しく尚且つ流暢な日本語で答え、娘さんも恥ずかしそうにしてたけど挨拶してくれた。

「ジョンソン先生!今うちにあるのはこのホットドッグが最後でござる!」

「そうだよ先生、よかったら買ってよ!」

幹夫に続き、俺も先生ご一家にホットドッグを勧めた。時間的にもうお腹いっぱいかなと思ったが。

「勿論デース!君たちに頼まれたら断れません!頂きましょう!」

先生はあっさり承諾してくれて、俺は先生にホットドッグを渡し、先生ご一家は娘さんに少し分け与えながら休憩スペースの方へ移動していった。

「よっしゃー!完売だぁ!」

「頑張ってこれて良かったでござる!」

「やりましたね!先輩方!」

「最後の学園祭で最高の思い出を残せた!ありがとう皆!」

色んなことがありつつもそれぞれの頑張りで乗り越えてきた今年の学園祭。それも今日で終わりだが、この最高の思い出も、後輩である俺達の来年への目標も消えることなく心に残り続けるのだ。

こんにちわ!

学園祭編終了です!

3日連続投稿でビックリしたかもしれませんが、書けて良かったです!

さあ、もうすぐ11月です!

今年も残り少ない中、拓人君達はどう過ごすのか?

これからも乞うご期待です!

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