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第57話 間もなく学園祭!

こんにちわ!

さあ、学園祭本番を控えた拓人君達!

どうなるのでしょうか?

10月半ばの肌寒いうちの大学のキャンパス内。しかし、今日はその寒さを凌ぐような独特な雰囲気を醸し出していた。

「それこっちに運んどいて!」

「急がないと明日までに間に合わないよ!」

「えーっと、資材の受け取りはどこでやるんだっけ?」

なんて声がちらほら聞こえてきており、普段とは違う光景となっている。そう、明日はいよいよ待ちに待った学園祭本番。激動の三日間の初日なのだ。そう言うことなので、俺達サブカルチャー研究会のメンバー達も例外なく大忙しで準備を進めていた。俺は今、展示を行う5階の大教室の中でセッティングの仕事をしている。

「まずは入口から…ここにあいさつ用のレジュメを張り付けてっと。」

今回割と広い教室教室が取れたので貼りつけるスペースがなくなる心配はないと思うが、あんまり詰め過ぎると空間が余ってしまうので、適宜調整する必要があった。俺は順番にセッティング用のボードを置き、そこからレジュメを張り付けていたのだが…。

「森君!」

「どうしました先輩?」

離れた場所にいた夏美先輩に急に呼ばれた。

「入口のレジュメ、もう少し前に出せない?」

「うーん、出せないことはないと思いますが…。どうしてです?このままでも違和感ないと思いますが。」

「あんまり離れた所にあるとスルーされる可能性があるわ。だからできるだけ近くにした方がいいの。」

「そうですか?そこまで遠くないともいますが…。」

「とにかくもう少し前に出して頂戴!第一印象は大事よ!こういうところから細かくやって行かないとダメなの!」

「は、はぁ…。」

「大丈夫!私の感覚を信じなさい!何となくとか当てずっぽうじゃなくてしっかり考えながら行動してるんだから!」

「わ、分かりました…。」

夏美先輩に説得され、俺は言われた通り最初のあいさつ用のレジュメを入口のドアよりに動かした。

「うん、いいわね。」

「これでよかったんですか?」

「バッチグーよ。じゃあ、作業を続けましょう!」

そう言って夏美先輩は自分の作業に戻り、俺も引き続きセッティングを続けた。

「タクト、これでどうかしら?」

「某も張り付けたが、これでよいでござるか?」

一緒に作業していたステイシーと幹夫が俺を呼んだ。俺は二人の元に行き、どんな感じで張り付けたのか見てみる。

「なるほど…いいんじゃないか。」

「ヤッター!」

「ふう、よかった。そろそろ休憩したいでござる。」

「これでいいですよね?夏美先輩?」

「うん、いいと思うわ。霧がいいところまでやったら少し休憩しようか。」

「「「やったー!」」」

その言葉に励まされ、俺達は作業を続けたのだった。明日は本番だし、今日の夜までに完成させないとな。そう思いながら気合を入れて手を急がせ、何とかレジュメを張る作業は終了した。

「ふう、こんなもんか。」

「我ながらグレートね!」

「ご飯が食べたいでござる。」

「お疲れ様。ジュースでも買いに行きましょう!」

夏美先輩にそう言われ、1階にある自販機まで行こうと皆で歩き始めたのだが…。

「キャア!」

床に落ちていたガムテープのロールをステイシーが気付かずに踏んでけてしまい、前のめりにこけそうになった。

「ステイシー!」

俺は慌ててステイシーを抱き寄せ、何とか負傷することを回避することが出来た。

「大丈夫か?」

「うん、Thank you,タクト!」

俺に礼を言うステイシー。しかし、俺の手には変な感覚があった。妙に柔らかく丸いものをつかんでいる。ゴム毬にも似ているが何かが違う。恐る恐る自分の手を見てみると…。

「あ…。」

思いっきりステイシーの豊満なバストをつかんでいた。不可抗力でやむを得ないとはいえ、何つーことをしてしまったんだ、俺は。

「す、すまん!」

俺は怒られると思い慌てて手を離して謝ったが、何故かステイシーはニヤけていた。

「もう、タクトったら!触りたいならいくらでも触らせてあげるから謝らなくてもいいのに。」

「いや、そう言うわけじゃ…。」

「恥ずかしがらないで!いいの、さすがにここじゃまずいから後で言ってくれればご自由に!」

「お前こそ羞恥心持てよ。」

「ウフフ…タクトとイチャイチャ、タクトとイチャイチャ…。」

なんか、聞いてはいけないようなことを聞いてしまったような…。ステイシーは顔を少し赤くしながら頬に手を当て、先に教室の外に出てしまったのだった。

「フフフ…これぞラッキースケベでござる。」

「森君って本当に期待を裏切らないわね。」

「いや、違うんだって!あれは事故だ!ワザとじゃないんだって!」

ニヤニヤしながら幹夫と夏美先輩は俺にそう言い、先に教室を出た。俺は恥ずかしく思いながら、二人を追いかけるように教室を出たのだった。


何とか教室での展示ブースのセッティングを終えた俺達は、屋台の準備をしている健介先輩や寶藍、春菜ちゃん、双子達の手伝いをしようと部活棟まで向かっていた。

「みんなどうしてるかな?」

「ハルナがいるし、上手くやっているんじゃない?」

確かにステイシーの言うとおりかもしれない。相変わらず春菜ちゃんは気合いっぱいで屋台担当を引き受け、準備を始める時もメッチャうきうきしていた。健介先輩もいるし、多分大丈夫だろうと俺も思っていた。すると、横から声が聞こえてきた。

「うんしょ、うんしょ…。」

ふと横を見ると、女の子が一人重そうな段ボール箱を抱えて部活棟の方向へ歩いていた。しかもよく見ると…。

「寶藍じゃないか!」

「あ、タクちゃん。みんな。やっほー!」

軽い返事だったが、寶藍の額はすでに汗でぬれていた。

「何だよお前、そんな思い荷物抱えて。」

「これはホットドック用のソーセージよ。さっき届いたの。」

「いや、それは分かるが何でお前ひとりなんだ?健介先輩や双子の男性陣がやればいいのに。」

「私はそんなに非力じゃないわよ!それに健介先輩はここんところ買い出しで忙しかったし、双子はあてにならないし。だから私が運ぶって言ったの。」

まあ、健介先輩はともかくあの双子は言っちゃ悪いけどパワー無いからな。でも俺は重い箱を一人で運んでいる寶藍が少し可哀想になり…。

「俺が持つよ。」

持ってあげることにした。

「大丈夫よタクちゃん!」

「いや、いくらお前が力あっても女の子がこんな重いものを一人で持つのはきついだろ。お前汗めっちゃかいてるし。」

「でも…」

「遠慮すんなって。ほら!」

俺は寶藍を説得し、箱を持ってあげた。しかし、なかなか重いな。寶藍だから大丈夫だったと思うが、普通の女の子がこれをここまで運ぶのはきついだろうと思った。

「あ、ありがとう。タクちゃん。」

寶藍は顔を少し赤くして俯きながらそう言った。

「やっぱりモリタク殿は男前でござる。」

「なんだかんだでレディーファースト出来てるわよね。」

「もっとそう言うところをオープンにしてれば学校中の女子からモテモテでござる!」

「そうなのよねぇ!」

「「それじゃ困るのよ!幹夫、夏美先輩!」」

そんなこと言う幹夫と夏美先輩に寶藍とステイシーがユニゾンですごい剣幕で詰め寄っていた。な、なんだ?

「タクちゃん、あんまり誰もかもに優しくするとちょっと…。」

「そうよ。さっきの私の時みたいに助けると同時にさりげなくアプローチしてくれればいいのよ!」

「はぁ?!ステイシー、どう言うことよ?タクちゃんも説明して!」

余計な爆弾を落としたステイシーにたじろぎながらも俺は説明をした。

「い、いや。転びかけたステイシーを俺が助けただけだ。」

「そうよ。その時に私の胸をギューッと抱きしめてくれたの。タクトの手、暖かかったわ。」

「話を盛るな!後あれはワザとじゃない!」

慌てて俺は弁明したが、もう遅かった。

「なんですってぇ!!!タクちゃん!」

「は、はい!」

顔を真っ赤にしながら寶藍は目を吊り上げて俺に迫る。

「私のも触ってよ!」

「は?」

何を言いだすんだこの子は?!

「触ったんでしょ!だったら私のも触りなさいよ!」

「馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ!」

「そうよ、あんたの物足りないバストなんか触ってタクトが嬉しいわけないでしょ。」

ステイシーが爆弾どころか今度はミサイルを撃ち込んできた。お、おい!

「うっさい!私は別に小さくないし、形は最高クラスよ!でかいだけのあんたの胸よりマシでしょ!」

「なによ、負け惜しみなら家に帰ってから言ってくれる?」

「黙りなさいよもう!」

あぁ…もう収集つかねぇよ。とにかく個のソーセージを部活棟にある冷蔵庫まで運ばないとな。何とか部活棟に着き、ソーセージを中に入れようとしたが…。

「「拓人せんぱーい!」」

ドアを開けると双子達が泣きそうな顔で俺に飛びついてきた。

「どうしたんだ、蒼太?」

「いえ、僕は優太です!」

「蒼太は僕です…ってそんなことはどうでもいいんです!」

「非常事態なんですよ!」

双子は動揺しながら俺にそう言う。よく見ると健介先輩も険しい表情でどこかに電話をかけ、あんなに元気だった春菜ちゃんもこの世の終わりのような表情で座り込んでいた。

「こ、これは…。」

「一体何でござるか…?」

夏美先輩も幹夫も悪い状態なのを察したのか、顔がこわばってきた。すると健介先輩が電話を切り、こっちへと向き直った。

「おう、皆来たか。実はやばいことになった。」

「一体何があったんですか?」

「教えてください、先輩。」

寶藍とステイシーも健介先輩に状況を聞く。すると、健介先輩よりも先に春菜ちゃんが口を開いた。

「実は…パンを届けてくれる業者が日付を間違えて今日の内に届けられなくなってしまったんです!」

「「「な、なにぃ!」」」

その事実に俺達は動揺せざるを得なかった。パンがなければホットドックを売ることができない。

「どうしましょう!折角ここまでうまくいってたのにこんなt頃で躓くなんて…。」

悲しそうに唇をかみしめる春菜ちゃん。そして今度は健介家先輩が口を開く。

「さっき電話をして一応届けてもらえることにはなった。だが、早くても明日の10:30くらいになりそうなんだ。」

「それじゃぁ…もう学園祭始まってるじゃないですか!」

俺は声を荒げながらそう言う。くそう、ヤべぇじゃねえか。しかし、屋台の販売を中止したり延期したりするわけにもいかない。プログラムにもしっかり載ってるわけだし。少し考えて、俺はみんなに言った。

「とりあえず、時間通りに屋台はやりましょう。焼きそばはできますし。それに、明日届くんならそれを信じて届いたら売ればいいじゃないですか。とにかくやれることをやりましょうよ!」

思い切ってそう言った。ここまで来て、こんなことで諦めてたまるかってんだ!

「そうだな、モリタクの言うとおりだ。」

「まだ駄目になるって決まったわけじゃないしね。」

「とにかく、信じるでござる!」

健介先輩、夏美先輩、幹夫はそう言った。他のみんなも少しずつ笑顔が戻り、俺達は不安に思いながらも残りの作業を続け、明日に備えたのだった。

こんにちわ!

大変なことになってしまいましたね。

果たして、学園祭初日を乗り切ることはできるのか?

次回から学園祭本番ですのでお楽しみに!

それではまた次回!

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