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第4話 開幕、新学期!

お待たせいたしました!

いよいよ新学期編です!

長いようで意外と短かった俺の春休みが終わり、ついに4月の新学期を迎えた。

俺はいつも通り朝起きて、朝食を済ませ、着替えて家を出る。

しかし、初登校の朝というのはどうしてこうも気分が乗らないのだろう?多分殆どの人がそうだと思う。

春休み中、交換留学生達は春期講習を受けていたのだが、授業がない日は鎌倉、浅草、多摩テックへと観光に行った。

因みに、俺は何故だかすべての日に強制参加させられた。

それでも家で暇を持て余しているよりはマシだし、色々な国の子達と観光名所を回るというのは新鮮で面白いと思った。

だが、面倒なことも多々あった。

鎌倉では俺に逆ナンしてきたギャルグループに寶藍がブチ切れて相手と口論になり、近くにいた警察が駆けつける騒ぎになったし(俺が必死で説明してその場は丸く収まった)、浅草ではステイシーが迷子になり、みんなで探しまくった(提灯に夢中になっている時に俺らとはぐれて、見つけた時はその場でうずくまって泣いていた)。

多摩テックの帰りにはベトナム人留学生のグエン君が駅前でキャッチセールスに捕まり、危うくお金を騙し取られそうになった(俺は販売員に罵声を浴びせられながらグエン君の手を引いて逃走した)。

俺の心臓に悪いこともあったが、なんだかんだで春休みを満喫したと思う。

だからこの休みが終わってしまい、虚しく感じているのだろう。

そうこうしているうちにいつもの様に電車、バスを乗り継いで大学に到着。桜吹雪と春の日差しがいい景色を作り出していた。

「おはようでござる、モリタク殿!」

校門に着くと、俺の友達である安西幹夫がいつもの様に侍言葉で話をかけてきた。

「おはよ、幹夫。」

「元気か無いようでござるが、大丈夫なのか?」

「なんか、春休みドタバタしすぎてな…」

「そうでござるか。某は名古屋行われたSKEのライブに行って、春休みを満喫させてもらったでござる。」

そういえば、そうだったな。俺も今度機会あったら行きたいな。

そんな他愛もない話をしながら校舎に入ろうとした時だった…

「タ〜ク〜ちゃ〜ん!」

「ん?おわっ!」

背後から聞き覚えのある声がしたと思ったら、俺の右腕に誰かが飛びついてきた。

横を見ると、LGツインズのキャップを被り、モデル体型でジャケット、スキニージーンズを着た色白で切れ長の美少女がいた。

そう、韓国からの交換留学生で、俺の幼馴染でもある尹寶藍ユンボラムだ。

「おはよう、タクちゃん!新学期だね!一緒に勉強頑張ろう!」

「お、おう。ってゆうかくっつき過ぎだろ。みんな見てるぞ!」

「いいじゃん別に!昔はよくやってたのに!」

「そ、それは…」

幼稚園の頃はこいつと家が近く、よく一緒に帰ったり遊んだりしてたのだが、何故かこいつは俺を見ると腕にしがみついてくる癖があった。再び歩き出そうとしたその時!

「Good morning!タクト!新学期になったわね!楽しく過ごしましょう!」

ステイシーがまるで絹糸みたいな金髪をなびかせて俺らの所に駆け寄ってきたのだが…

「ムッ、ボラム。」

「おはよう、ステイシー!」

あからさまに不満そうな顔で寶藍を睨み、寶藍は満面の笑顔でステイシーに挨拶した。

「なんでタクトとベタベタしてるの?」

「いけない?」

「当たり前でしょ!見苦しいからさっさと離れてよ!」

「あんただってタクちゃんに会うたびにハグしてるじゃない!そっちのがむさ苦しく見えるんですけど?」

「何よ!」

「違わない?」

なんか言い合いを始めたぞ。はぁ、仲良くしろよ。

「モリタク殿。この麗しきお二方はどなたでござるか?」

「あ、ああ。こいつは韓国出身の留学生で俺と幼稚園一緒だった尹寶藍。で、こっちはアメリカ出身で俺のかつてのホストファミリーだったステイシー・バーネットだ。」

何が起こったか分からない幹夫が俺に聞いてきた。俺の幼馴染とホストファミリーが訳のわからん状況を作ってしまい、済まないな。

「タクちゃん!この一昔前のヲタクみたいな男は誰よ!」

「こういう人、フィクションの中にしか出てこないと思ったわ。」

「おい、失礼だろ!こいつは俺の親友、安西幹夫だ!」

「初めましてでござる。某、モリタク殿と仲良くさせてもらっている安西幹夫と申す。ボラム殿、ステイシー殿、宜しくでござる!」

幹夫がカッコよくポーズを決めながら自己紹介した。こいつの挨拶は大体いつもこんなんだ。

「ふーん、初めまして。これからよろしくね。」

「Nice to meet you!」

三人が挨拶を済ませたところで、俺は重大なことに気づいた。

「あ!みんな、そろそろ授業始まるんじゃないか?」

「あ!いけない!」

「急がなきゃ!」

「新学期早々遅刻は嫌でござる!」

俺達は慌ててそれぞれの授業の場所へと向かった。なんか、良くも悪くも賑やかなキャンパスライフになりそうだ。


「今日はここまで!宿題忘れるなよ!」

1、2時間目の授業を無事に終え、お昼の時間になった。

「おーいモリタクー!飯食いに行こうぜ!」

「おう。ちょっと待ってろ。」

俺を呼んだは同じクラスメートである高木翔太たかぎしょうたである。身長、体型、学力、ルックス、どれをとっても普通で特徴がないのが特徴の少年だが、人見知りという言葉を知らないくらい社交的な性格だ。噂によると、違う学科に彼女がいるらしい。

「では、行くでござる。」

俺が荷物をまとめ終えると、幹夫がそう言った。1階にある学食に移動しているときに俺のLINEにメッセージが届いた。

《タクト、お昼食べよう!どこがいい?》

ステイシーからだ。俺はすぐに返信する。

《A校舎の第一食堂に来い。場所は分かるか?》

《オッケー!すぐに行くわ》

返信はやっ!と思いながら俺は一度スマホをポケットにしまい、学食に到着した。うちの学食は安くて美味しいメニューが多く、この時間になるといつも混雑する。だからメニューを頼むよりも先に椅子を取る必要があった。

「あ、そうだ。俺らの他にもう一人留学生の友達が来るからここも取っておくぞ。」

「お、マジで?了解!」

そういった直後に…

「ハーイ、タクト!」

ステイシーがやって来た。

「紹介するよ、翔太。この子はステイシー・バーネットさん。アメリカ出身で俺のかつてのホストファミリーだ。」

「おお、さすが大学一のイケメン!こんな美人な友達がいたとは…宜しく、バーネットさん!」

「宜しく!」

「ステイシー殿。日本の学食を是非ご堪能下され!お主の口にも合うであろう。」

「オーライ!」

席を決め、食券を取りに行こうとしたその時…

「ステイシーィィ!」

誰かと思えば鬼の形相で学食に駆け込んできた寶藍だった。

「ハァ、ハァ…あんたねぇ!いきなりいなくなったと思えば抜け駆け!?調子に乗るのもいい加減にしなさい!」

「ボラム、私はただタクト達とご飯を食べようと思っただけだけど、何が調子に乗ってるのかしら?」

「ちゃっかり隣座ろうとしてるじゃない!」

「家族なんだから別にいいでしょ!」

あ〜あ、また揉めてるよ。なんでこいつらこんなに仲悪いんだ?

「モリタク。この可愛い子は誰?」

「この子は尹寶藍。韓国出身の留学生で俺の幼馴染だ。」

「マジか!こんな可愛い幼馴染がいるとか反則だろ!」

翔太が羨ましそうに叫んだ。お前彼女いるんじゃなかったっけ?

「ボラム殿。落ち着くでござる!」

「うっさい!幹夫は黙ってて!」

「…はい」

寶藍の迫力に幹夫が押し黙ってしまった。こいつ、相変わらず怒ると怖いな。

とりあえず俺達5人はメニューを決め、自分の席に飯を運ぶ。六人がけの席だったが、片方に幹夫と翔太が座り、もう片方では俺が寶藍とステイシーに挟まれる形になった。

「じゃあ、頂きます!」

俺が言うとみんな食べ始めた。俺が頼んだのはカツカレーだ。やっぱり美味い。

「えーっと…バーネットさんと尹さんだっけ?」

「「うん」」

翔太が口を開く。

「二人はモリタクと本当に仲がいいんだね!」

「幼馴染だからね!」

「家族だから当然よ!」

「いやぁ、こいつ超イケメンで勉強もメッチャ出来るのに全然女の子にモテなくてさ。やっと本気でモリタクと仲良くしてるれる女の子が現れて嬉しく思ってね。」

「モリタク殿は確かに女子からの人気はないが、我らが誇る男の中の男でござる!某からも是非今後とも仲良くしてもらう事を願う。」

「うるせぇ、余計なお世話だぞお前ら!」

幹夫と翔太が勝手なことを言う。でも、言われてみれば俺がほんとに仲良くなれた女の子って、この二人だけなんだよね。

俺達はその後も食べながら話に花を咲かせ、食べ終えた後午後の授業に臨んだのであった。

長期休暇後の初登校のときって、やっぱりかったるいって思いますよね。

拓人君、これから大変かも。

今回はどちらかというとステイシー寄りの話だったので、次は寶藍に視点を当てたストーリーにしようと思います。

それでは次回もお楽しみに!

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