第53話 イケてる?! ミラノ男児
こんにちわ!
台風が心配です!
でも負けずに書きます!
9月も半ばを過ぎ、自然が多いうちの大学のキャンパスも段々と秋らしい風景に近づいてきた。それと並行して大学も学園祭の準備で忙しくなる人も増えている。言うまでもなく俺もその一人だ。出典に必要な書類を作成したり、材料の準備や予算の調整など、やる事は山積みで正直言うと忙しくなっている。そんな状況だが、授業は勿論通常通り行われる。
「オッケー、モリタ君!その通りです。サスガですね!」
今俺たちはジョンソン先生の授業の真っ最中だ。丁度俺が先生から質問され、答え終わったところでチャイムが鳴った。
「今日はここまでです!それでは皆さんまた来週、SEE YOU、NEXT TIME!」
授業が終わり、俺は荷物を片付けて帰ろうとした。今日はこれで終わりだし、サークルもバイトもないし、帰って録画したアニメでも見よう。
「モリタク殿、帰るでござる。」
「よし、帰ろうか。翔太も行こうぜ。」
「すまん、モリタク、幹夫!この後彼女とちょっと約束あるからごめん!」
「マジか。分かった!じゃあまた明日な!」
そう言って翔太は彼女の所に向かい、俺と幹夫は教室を出て帰ろうとした。そんな時だった。
「ちょっと待ってくれ!」
そう声をかけられて振り向くと、短く切られた淡い髪の毛をバッチリと整え、明るい色を貴重とした爽やかファッションに身を包んだ白人の美青年がいた。
「アントニオか…。」
そう、その美青年とは先日うちに第二期交換留学生として来日したミラノ出身のアントニオ・ベリッシモだ。
「森拓人、安西幹夫。二人はこの後時間があるかい?」
「う~ん、特に予定は無いけど。」
「某も別に忙しくないでござる。」
アントニオは俺達にこのあとの予定を聞いてきたので、そう答えた。するとアントニオは笑顔になって言った。
「それなら良かった。実はこの後付き合って欲しい所がある。是非二人に来て欲しい。」
「うん。いいよ。後、俺のことは拓人でいいから。」
「某も幹夫と呼んでくだされ。」
まだ来日してそんなに経ってないから色々見て回りたいんだろう。それならいつでも協力してあげないとな。
「良かったよ。誘っておいてあれだが、この辺りで一番大きな服屋に連れて行って欲しいんだ。」
「「服屋?」」
俺と幹夫が声を揃えてそう言った。買いたい服でもあるのかな?
「どこか良い所はないでござるか?モリタク殿。」
「そうだな。あそこにするか。」
そう言って俺達はアントニオを連れてある場所へと向かったのだった。
「うん!これはいい!郊外だがこんな立派な所もあったのか!」
嬉しそうに言うアントニオ。俺達が連れてきたのは八王子駅前にある東急スクエアだ。ここなら洋服だけでなく様々なものが買えるし、彼にも喜んでもらえたなら嬉しい。
「さあ行こう。二人共。」
そう言ってアントニオは俺達の手を引いてエスカレーターを登り、男性服売り場へと着いた。
「うん、中々の品揃えだ。こいつは…う~んどうしよう?」
まるで物品を見定める商人の如く、店内を物色するアントニオ。そして、紺色のジャケットを見つけた途端、俺の方を振り向いて笑顔で話しかけてきた。
「拓人!こいつを着てみてくれ!」
「えっ?俺が!アントニオが買うんじゃないのか?」
驚いた俺はついつい声を裏返らせてしまった。何せアントニオが生活必需品の補充の一つとして服を買うんだとばかり思っていたからだ。
「これは僕よりも君の方が似合うさ。さあ、着てみてくれ!サイズは問題ないはずだ。」
なんてことを言うアントニオ。にしてもどうして俺なんだ?その後もアントニオはジーンズやシャツ等の色々なものを物色し、俺だけでなく幹夫の分まで見繕ってくれた。
「さあ二人共。試着して僕に見せてくれよ!」
「わ、分かったよ。」
「某、こういう服は初めて着るでござる。」
ノリノリのアントニオに対し、俺と幹夫は少々戸惑いながら試着した。俺が渡されたのはさっきの紺のジャケットと白いVネック。それとグレーのチノパンだ。幹夫はパンクロック風の黒いシャツにダメージ加工のジーンズ。それと帽子を渡された。着替え終わり、カーテンを開くとアントニオがハイテンションで言った。
「素晴らしい!やはり僕の勘は間違ってなかった。」
俺は割りとスタイリッシュな秋っぽい服装。幹夫はなぜかラッパーみたいな服装になった。まぁ、似合ってるけど。
「教えてくれよアントニオ。どうして俺達の服を選んでくれたんだ?」
「某もそろそろ知りたいでござる。」
俺と幹夫がそう聞くとアントニオは笑顔で教えてくれた。
「僕の両親は出版社でファッション紙の編集仕事をしていてね。僕も将来その道に行こうと思っているんだ。」
「そうなのか。じゃあ何で日本に来たのかと、俺達に服を選んでくれたのか教えてくれよ。」
ただファッションの仕事をするなら何も日本に来なくてもできるはず。それに、俺達のコーディネートをする関係性がよく分からない。
「二人共、ファッションの魅力を知らせるのに一番必要なものはなんだと思う?」
なんか簡単そうで意外と難しい質問だな。何だろう?
「えーっと…キャッチコピー?」
「値段や材質などの詳しい説明でござるか?」
俺と幹夫がそれぞれ答えると、アントニオは説明し始めた。
「確かにどっちも大事だね。でも一番大事なのはモデルだよ。」
「「モデル?」」
俺達はハモってそう言った。アントニオは更に続けた。
「そう。モデルが着ることによって、その服の魅力をわかりやすく、そしてよりインパクト強く伝えることが出来るんだ。そして拓人。特に君のような人はね!」
「え?どういう事?」
よく意味がわからない。俺のような人がモデル?
「初めてあった時から思っていたよ。君はスタイル抜群の美男子だ。こういう何を着ても似合いそうなカッコいい男こそモデルに相応しいんだよ。」
「確かにモリタク殿は実際にモデルにスカウトされていてもおかしくないでござる。」
アントニオに幹夫が賛同した。モデルかぁ。そんな柄じゃないと思ったけどな。
「君を僕の父に紹介したいよ拓人。君さえ良ければ卒業後イタリアに来ないかい?専属モデルになれると思うよ。」
「俺がイタリアでモデル?いやぁ、いきなりそんなこと言われてもな。それに俺に務まるかどうか…。」
イタリアに行くこともモデルになることも考えた事なかったし、どうなんだろ?いいことなのかな?これ。
「君はもっと自信を持ちたまえ。幼い頃から両親の影響でファッションに詳しくなった僕が言っているんだ。」
「あ、ありがとなアントニオ。」
褒めてくれたのでアントニオに礼を言う俺。
「因みに僕が留学先に日本を選んだのは、日本サブカルチャーに興味があったのと、パパが一度家に連れてきた日本人デザイナーの話を聞いて面白そうだと思ったからだよ。」
「そうだったのか。」
日本に来た理由を聞いて理解した所で、すぐ近くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あれ?タクちゃんと幹夫じゃない。」
その声は…間違いなく寶藍だった。更にステイシーと川口、沢村までいた。
「お前らどうしたんだ?買い物か?」
「そうよ。買い出しついでに色々見てこうと思ったの。」
そう答えたのはステイシーだ。あと、なぜか川口が口に手を抑えて笑っている。
「ってゆうか森くんはともかく安西くんのその格好何よ?AK-69でも目指すつもり?」
「ほう、AKみたいになれるのであればそれも悪くない。というより、笑い過ぎではないか?」
「ごめん!あまりにもいつものイメージとかけ離れていたから。」
川口と幹夫がそんな風に話している横で、沢村川口と俺に言った。
「森くん、すごく似合ってるね!」
「そうか?アントニオが選んでくれたんだ。」
「へえ、そうなんだ。ボラムもステイシーもカッコいいと思うでしょ?」
「うん!タクちゃん何着ても似合うもん!もっと色々着ちゃいなよ!」
「今のタクトと一緒にデートしたいわ!このまま海でも行きましょう!」
寶藍とステイシーからも褒められ、少し照れくさくなっている俺の横で、アントニオは笑顔で女性陣に話しかけていた。
「どうだい?僕の服のチョイスは?僕とデートしてくれれば君達カワイコちゃんを僕色に染め上げてあげるよ。」
イタリア男特有のキザな口説き文句が炸裂した。しかし、四人は半分呆れ顔で黙り込み、ステイシーに至ってはため息をつきながらボヤいた。
「全く、そんなキザなセリフ吐けるイタリア人の思考は理解できないわ。」
「女の子を口説ける男は魅力的だよ!」
呆れられてもベリッシモは笑顔でそう答えた。ポジティブな奴だな。
「ま、まぁ。せっかくみんないるんだし、よかったらどこかでお茶しようよ!アントニオの歓迎も込めてさ。」
俺がそう言うとみんな笑顔で賛成した。
「いいわね!さすがタクちゃんは言うことが違う!早く行きましょう!」
「某もそろそろお茶を飲みたいと思っていたでござる!」
寶藍と幹夫も行く気満々だった。
「じゃあ行こう!」
俺はそう言い、幹夫とともに服の会計を済ませ、みんなを連れて近くの喫茶店に行った。そこではイタリアの話やみんなの自己紹介など色々話せて楽しい一時を過ごす事が出来た。とりあえず、ありがとなアントニオ。君が楽しい生活を送れるように俺も協力したくなったよ。
こんにちわ!
寒い!
今までの暑さが嘘のようです!
皆さんは普段ファッションは重視する方ですか?
私普段はあまり気にしない方ですが、今年は秋っぽいオシャレファッションにチャレンジしようかなって思います!
さあ、なんだかんだで10月も近づいてきました!
学園祭も近づき、忙しくなる拓人たち!
これからどんな活躍が待っているのか?
次回もお楽しみにお願いします!




