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第51話 今年の秋は恋の秋?

こんばんわ!

夏休みも終わり、いよいよ9月最初の投稿です!

宜しくお願い致します。

長かった夏休みも終わり、とうとう9月を迎えた。そう、大学の後期の授業の幕開けである。大学の夏休みは長い上にかなり自由だから遊び過ぎてしまうといざ学校行くときに元気がなくなること、いわゆる9月病を発症する人も少なくないんだとか。まぁ、俺は遊んだけど本屋のバイト以外に単発のバイトしたり、夏のオープンキャンパスの運営スタッフやったりといろいろな経験もした。きつい部分もあったけど楽しかったし、今後の人生もこういう小さい経験が何かの役に立つと思った。そんな俺はいつも通り起床し、着替えて荷物を準備してリビングに向かう。

「親父お袋、おはよう!」

「あら、タク。おはよう!」

「おはよう、タク!」

親父とお袋は先に起きて朝食を取っている最中だった。朝のニュースを見ながら3人でモーニングタイム。普段と変わらず森家の朝は平和だ。

「タク、今日から学校か?」

「うん、4限目までだから今日は少し遅くなるかも。」

親父が聞いてきたので俺は答える。新学期早々帰りが遅くなるのは少し萎えるけど、みんなに会えるしまあいっか。俺は朝食を食べ終えて足早に家を出る。

「行ってきまーす!」

「行ってらっしゃーい!気をつけてね!」

お袋に手を振りながら俺はいつもの道を歩き、駅へと向かう。しかし、涼しいな。今まであんなに暑かったのがうそのようだ。急な気温の変化は体調を崩す原因になるらしいから気をつけないと。そう考えているうちに駅に到着。込んでいる中央線に乗り、ぎゅうぎゅう詰めになりながらも何とか大学の最寄り駅に到着し、改札を出てバスに乗り特に事故もないまま俺は無事に大学へ到着した。

「おはよう!」

いつも通り教室に入る。早くみんなに会いたい一心で早めに来てしまったがまだだいぶ時間があるので人はあんまりいなかった。

「ちょっと早すぎたかな。」

俺はそう言って教室を見回しながら自分が普段座っている席に着いた。今周りにいるのはしゃべったことない人達ばかりなのでどうしようか迷った。幹夫もまだ来ていないし。

「ふう…本でも読も!」

そう言って俺はこの間買った小説を取り出し、続きから読み始めた。すると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「おう、モリタクおはよう!」

「おはよう久しぶり!」

翔太が入ってきた。しかし、隣にはなぜか見知らぬ女の子が一緒にいた。誰だこの子?うちの学科じゃ見かけない顔だけど…。

「翔太、その子は誰?」

「ん?ああ、紹介が遅れたな。この子は俺のこれだ。」

俺が聞くと翔太はそう言って小指を出してきた。ああ、そう言うことか。

「初めまして。私、翔ちゃんと付き合ってる歴史学科2年の深田安奈(ふかだあんな)です。よろしく。」

「深田さんだね。よろしく。俺は翔太のクラスメートの森拓人です。以後お見知りおきを。」

俺と翔太の彼女=深田さんはお互いにあいさつと自己紹介を済ませた。翔太の彼女が別の学科にいるのは知ってたけど歴史学科の子だったか。セミショートの黒髪に血色のいい肌、優しそうな眼鼻立ちに薄緑のシャツとジーパンという服装の深田さん。一体翔太の彼女がどんな子かと思ってたが、真面目そうで雰囲気がよかったので少し安心した俺だった。

「ごめんなモリタク。ホントはもっと早く紹介したかったんだけど。」

「いいよいいよ。こういうのはタイミングの問題だし。」

謝る翔太に俺はフォローを入れる。すると深田さんは俺に話しかけてきた。

「あなたが森くんね。翔ちゃんから時々話聞いてるけど、ホント芸能人みたいだね。」

「だろ、安奈?しかもコイツ外見だけじゃなくて頭いいしスポーツ万能だし俺からしても自慢の友達だよ。」

「おいおい、そう言われると照れる。」

嬉しいけど少し恥ずかしくなった俺は二人にそう返した。今度は俺から質問する。

「二人っていつから付き合ってんの?」

ずっと気になってたので俺は思い切って聞いた。少なくとも彼女いるのを知ったのが今年の年明けだったからもう付き合って8ヶ月目ってことかな?

「実は…去年の今頃なんだ。」

「うん…。今月でちょうど1年目。」

「マジで?」

驚きのあまり俺は思わず声を出して立ち上がってしまった。うそでしょ?だって去年の秋とか普通に休みの日一緒に遊んでたじゃん。全然気づかなかったわ。

「すまんモリタク。なかなか言えなくて。」

「気にすんなって。」

別に俺は根掘り葉掘り聞くようなことはしない。プライベートは大事だしな。俺が再びフォローを入れると深田さんはクスクス笑いながら言った。

「フフフ…森くんって優しいんだね。見た目も性格もいいんじゃモテるんじゃない?」

「いいやモテないよ。浮いた話とか全然ないし。」

俺は謙遜しながらそう言う。夏休みも結局何にも無かったし。すると翔太が口を開いた。

「ホント、背高くてイケメンで成績良くて優しいのにこいつ全然女っ気ないのが不思議なんだよ。俺はいつかできると思ってんだけどな。」

「まぁ、今は別にいいし。これからサークルとかで忙しくなるから。」

そろそろ学園祭の準備しないとな。また帰りが遅くなる日が続きそうだぜ。

「じゃあ、私もそろそろ行かなきゃ。」

「うん、じゃあね安奈。」

「今度のデートどうする?」

「原宿でも行こうか。」

「分かったわ。じゃあね翔ちゃん!」

そう言って深田さんは出て行った。

「何か悪かったな。ホントはもっと二人でいろいろ話したかっただろうに。」

「いいのいいの。話はいつでもできるし。それよりお前、本当にまだ彼女いらないのか?」

「これからめっちゃ忙しくなるんだよ。デートしてる時間なんかないし。」

「そう言うなって。もっと自信持った方がいいぞ。折角かっこいいんだし。」

「その、まぁ…ありがとう。」

翔太に礼を言う俺。すると幹夫が登校してきた。しかもなぜか汗だくである。

「おはようでござる!はぁはぁ…寝坊したが何とか間に合ってよかったでござる。」

「よお、幹夫。やけに遅いと思ったら何寝坊してんだよ。」

俺が聞くと幹夫は息をきらせながら答えた。

「昨日幕張メッセでやってたアイドルフェスティバルに行ってたら帰りが遅くなって…そして帰った後ゲームしてたら夜の3時になってたでござる。はぁはぁ…。」

なんだよ、そんなことか。幹夫らしいな。まぁ、いつもどおりってことは俺の周りは新学期も平和そうだな。そして幹夫が付け加えるように言った。

「それはそうと、我がクラスに留学生が来るとの噂がござるが。」

「留学生、どこの?」

「いや、細かくは知らぬが。」

翔太が聞いたが幹夫は詳しくは知らないらしい。まぁ、うちの学科からも何人か留学行った人いるし、それと入れ違いで来た子だろう。うちの大学の交換留学プログラムには2種類ある。一つは4月入学の第1期。これは寶藍とステイシーが利用しているもので、春休み中に現地に着くもの。もうひとつが9月入学の第2期だ。これは夏休み期間中に移動し、9月の初めに現地での授業が始まる。有希子先輩がこの第2期を利用して現在イギリスに留学中だ。にしてもそのうわさは真実なのだろうか?

「まぁ、どこの子だろうといい子なら俺は歓迎だけどな。」

「モリタク殿に同じく。」

俺の発言に幹夫も同意してくれた。そしてクラスメートたちがぞろぞろと集まり始め、先生も入ってきて授業が始まる。

「みんなおはよう。今日から新学期だけど、気を抜かないように。頑張って授業に臨もう。」

先生はそう言った後にもうひとつ付け加えて言った。

「それと、第2期の交換留学生がこの授業を受けることになったから紹介する。二人とも、入ってきて。」

そう言って入ってきたのは白人の男女二人だった。男の子の方は背が高く、スラリとした体格。こげ茶色の短髪に緑色の目でオシャレをばっちり決め込んでいる。なんというか男性誌からそのまま出てきたような感じだった。女の子の方は明るい茶色のセミロングの髪の毛、グレーの瞳にややおとなしめだが大人びた服装だった。どこの国の子だろう?

「この秋から内に交換留学2期で来た二人だ。自己紹介してください。」

先生がそう言うと二人は自己紹介を始めた。まずは男の子から。

「初めまして。イタリアのミラノから来たアントニオ・ベリッシモです。ファッションやおいしい食べ物をつくるのが好きです。宜しくお願いします。」

ベリッシモと名乗ったそのイタリア人の男の子の自己紹介が終わり拍手の後、今度は女の子の自己紹介が始まった。

「皆さんこんにちわ。ウクライナから来たイリナ・ロマンです。日本の文化は全体的に好きです。仲良くなりたいのでよろしくお願いします。」

二人の自己紹介が終わり、再び拍手が起こる。

「よし、ベリッシモクンはあそこの席、ロマンさんはこの席に座ってくれ。」

そう言ってイタリアの子は中央にある橋本の隣の席、そしてウクライナの子はどういうわけか俺の真後ろに来た。

「私イリナ。宜しく!」

「俺は森拓人。こちらこそ宜しく。」

「かっこいいですね。」

「そんなことないですよ。」

何か知らんがウクライナの子に褒められた。ウクライナは綺麗な子が多いって言うけどこの子もなかなか綺麗だな。そんなこんなで新たに来た留学生を交えて新学期が始まったのだった。


その昼。

「ヤッホータクちゃん!お腹すいたぁ!」

「Hello,タクト!ランチタイムにしましょう!」

ここは学食。寶藍とステイシーと食べる約束をしていたので幹夫、翔太とともに待ち合わせ、5人で場所を取る。

「お前ら、ちゃんと授業受けてるか?」

「もちろんよ!」

「私が授業をサボるわけないでしょ!」

俺が聞くと二人ともそう答えた。まぁ、夏休み終わって気が抜けてるんじゃないかと思ったが心配なさそうだな。窓側の席が結構空いていたのでそこの場所を確保し、注文を終えて戻ってきた時だった。

「タクト君。」

誰かに声をかけられたので振り返るとウクライナ人留学生のロマンさんがパスタを持った状態で立っていた。

「ここ、いい?」

「別にいいけど。」

あと一人分空いていたのでそこに座らせた。すると、寶藍が言った。

「イリナじゃない。どうしたのよ?」

「なんだ?お前ら知り合いなのか?」

俺が聞くとステイシーが答えた。

「この間第2期留学生の歓迎パーティを寮でやったのよ。そんときに知り合ったの。」

「へぇ、そうなんだ。」

そんなイベントがあったのか。知らなかったわ。

「で、なんでタクちゃんとイリナが知り合いなの?」

「いやぁ、うちの比較文化学の授業を受けることになってその縁でね。」

寶藍の質問に俺は正直にそう言った。幹夫も付け加えて説明する。

「あと、イタリア人の男の子がきたでござる。」

「ああ、アントニオね。あいつ、クラスの子ナンパしたりしてない?」

聞いてきたのはステイシーだった。なんだ、あの子とも知り合いだったのか。

「そう言えば、女子にいっぱい話しかけていたでござる。」

「やっぱりね。」

幹夫の話にステイシーは呆れた表情でそう答えた。ナンパするあたりさすがイタリア人だと思った。

「ところで、ボラムとステイシーはタクト君と知り合いなの?」

ロマンさんが二人に聞くと、二人胸を張りながら答えた。

「エッヘン!そうよ!私とタクちゃんは幼馴染よ!いいでしょ!」

「私とタクトは高校の時に一緒に棲んでたことがあるの!ファミリーよ!私達は!」

二人がそう言うと、ロマンさんは少し俯いて何か言った。

「羨ましい…。」

そんな風に聞こえたが、まあいいや。これから仲良くしていこう。

「なぁなぁモリタク。」

「何だよ翔太?」

翔太が耳元で何か言ってきた。

「もしかしたらお前、脈ありなんじゃね?」

「は、なんで?」

「分からんけど間違いなくフラグ立ってるぞ。」

「考えすぎだろ。」

「まぁ、頑張れ!今年の秋は恋愛の秋にしな。モリタク。」

「は、はぁ…。」

何かわからんがそう言われた。すると幹夫が声をかける。

「お二人とも。飯が冷めてしまうでござる。」

「あ、悪ぃ。いただきます。」

そう言って俺達はお昼ご飯を食べ始めた。今年の秋ははたしてどうなるのかな。楽しい日を過ごせるよう胸を膨らませつつ、俺達はランチタイムを堪能した。

こんばんわ。

いよいよ新学期スタートです!

新たなキャラも増えてにぎやかになりそうですね。

さぁ、物語もいよいよ後半です。

皆さん、ここまで読んでくれて本当にありがとうございます。

いかがですか?

感想、ご指摘、ご質問などがございましたら遠慮せずにどんどん書き込んでください!

p返事は必ず書きますので!

それではまた次回宜しくお願いします!

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