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番外編 栗原春香の夏休み

こんばんわ!

久々の番外編です!

時系列的には拓人が館山合宿に言ってる間の話です。

私、栗原春香は東京の亀戸に住む高校三年生。今は受験のことや部活のことで頭がいっぱいで地味にバタバタした日々を送っている。三年生の夏と言えば受験などの進路のこと、部活の最後の大会の事などいろいろ力を入れなければいけないことが盛りだくさんだ。遊ぶ時間がないわけではないが、遊び過ぎてはいけないということである。そんな私は今日も夏休み期間なのに早起きだ。何故かというと、所属している吹奏楽部の最後の大会が日々近づいているので練習しに行くからだ。ベッドから起き、着替えて身だしなみを整え、リビングへと向かう。

「おはよー!」

「おはよう春香。ごはんで来てるから食べちゃいなさい!」

「はーい!」

先に起きていたお母さんに言われ、私は朝ごはんをかき込む。部活の日の朝はしっかりと食べるのが私のモットーだ。すると、向かいの席にいたお父さんが新聞を読みながら話しかけてきた。

「春香、お盆休みはちゃんと土浦のおじいちゃん家に一緒に行けるんだろうな?」

「大丈夫!その日は練習も無いし、予定も入れてないから!」

「ならいいんだ。おじいちゃんとおばあちゃんもお前に会いたがっている。それに拓人君や京子伯母さん、義和伯父さんも来るからな。」

「そっか、タク兄も来るんだ!楽しみ!」

従兄であるタク兄にはこの間大学を案内してもらったばかりだ。家が遠いのであの日以降一度も会っていないが、またいろいろ話してみたいので良かった。

「あんた、いきなり押しかけて拓人に大学案内してもらったんでしょ?ちゃんとお礼言ったの?」

「言ったわよ!」

「それに、部活頑張るのもいいけど進路はどうするの?いい加減第一志望決めないと困るのはあんたなんだからね!」

「わかってるわよお母さん!行ってきまーす!」

私は朝ごはんを食べ終えて家を出る。そしていつも通り最寄りの亀戸駅へと向かい、いつも使ってる総武線に乗り込んだ。今は夏休み期間中なので、この時間の特に千葉方面はすいている。クーラーが効いた車内で座りながら通学できるのは幸せだとやっぱり思った。その後、学校の最寄り駅の本八幡駅に到着し、バスに乗って学校へと向かう。

『次は、北総学院高校前。北総学院高校前。お出口は右側です。』

バスは何事もなく私の通う北総学院高校に到着した。千葉県市川市にあるこの北総学院高校は学力、部活動共に普通の共学私立高校だが、私の吹奏楽部は珍しく県大会を突破。関東大会に足を進めた。だからこの時期でも三年生である私たちも参加しているのだ。そんなこんなで私が校門が目の前にあるバス停に降り立つと、見慣れた顔が自転車に乗ってやってきた。

「春香~おはよう!」

「おはよう秀子(ひでこ)!」

吹奏楽部員で同じクラスの山村秀子が登校してきた。二人で話しながら校門をくぐり、昇降口に入って上履きに履き替え、練習場所である音楽室へと向かった。一度荷物を置き、そのあと隣の準備室に入って自分の楽器を取りに行く。私は棚からトロンボーンを取り出し、再び音楽室に入って席に着く。その後も部員たちがぞろぞろと登校し、最後に顧問の井上先生が入ってきた。

「皆おはよう。関東大会までだんだんと迫ってきました。今日は休み前最後の練習ですが、気を抜かないようにお願いします。それでは今日も頑張っていきましょう!」

先生がそう言って練習が始まった。吹奏楽部は文化部だが、結構体力が必要なハードな部活だ。特に私のような金管楽器担当は肺活量をかなり使うので、練習が終わるとへろへろになることも多い。今日もそんなハードな練習をこなし、気がつくと正午になっていた。

「では、午前中の練習はここまで。お昼休憩を1時間とります。また後ほど。」

念願の昼休憩の時間だ。朝から頑張ったのですっかり腹ペコである。

「春香、お昼御飯食べよう!」

「うん、行こうか!」

秀子が私を誘ってくれた。それと、同級生部員の岩崎結衣(いわさきゆい)江森奈緒(えもりなお)も一緒にいる。私達四人は休憩用として開けてもらっている教室に入り、お弁当を食べることにした。弁当を食べながらいろいろと話に花を咲かせる私達。明日から休みということもあり、雑談の話題としてやっぱり出てくるのは…。

「ねぇ、休みどうするの?」

お盆休みの過ごし方である。ちなみに聞いてきたのは秀子だ。

「私は彼氏と花火見に行ったりお祭り行ったりするつもり。」

と言ったのは奈緒だ。彼氏の一郎君だっけ?上手くいってるみたいだね。すると…。

「このリア充めぇ!死刑だ死刑!」

「ぐあぁぁぁ!」

結衣が半泣きになりながら奈緒にヘッドロックをかける。そう言えばこの中で彼氏がいるのって奈緒だけだったな。

「ま、まあ落ち着いて。結衣は予定あるの?」

私が結衣に聞くと、結衣は奈緒を開放して話し始めた。

「私は家族でプールとか行くつもり。はぁ~。いい加減私も彼氏と行ってみたいなぁ。」

「ま、まぁ。まだ若いんだし頑張ろうよ!ところで秀子は?」

私は秀子に聞いた。すると秀子はため息つきながら話し始めた。

「全然決まってない。E-girlsのライブ行きたかったけど抽選で落ちたしどうしよう?映画でも見に行こうかな。」

そうか。秀子は白紙か。まぁ、何か楽しいことがあるのを祈ろう。

「春香はどうすんのよ?」

結衣が聞いてきた。私は笑顔で答える。

「私は茨城のおじいちゃんの家に行く!お盆だし、従兄に会えるし!」

そう言うと、秀子が聞いてくる。

「従兄って男?」

「うん!」

「へぇ、写真ある?」

「あるわよ!」

私はスマホを起動させ、この間タク兄に案内してもらった帰りに一緒に撮った写真を見せた。

「ヤバ!超かっこいい!」

「ホントに春香の従兄?」

「ひどい!私が大したことないみたいじゃん!」

秀子と奈緒に突っ込みを入れた私。確かに完璧すぎるタク兄に比べれば私が平凡なのは否定できないけど。

「こんなかっこいい従兄がいるなんてうらやましい!」

「ほんとよ!ねぇ、今度紹介してよ!」

結衣め。言うと思ったぜ。私は笑いながらその結衣に言った。

「いいけど多分相手にならないわよ。」

「何よ、それどういう意味?」

「こういうことよ!」

そう言って私が見せたのはステイシーさんと私とのツーショット写真。これもこの間の見学時に撮らせてもらったやつである。

「何よ…この美人?」

「これだけじゃないわ!」

次に見せたのも同じく見学時に撮らせてもらったボラムさんとのツーショット写真だ。

「この人も綺麗!」

「うん、私もそう思う。ってゆうかこの人たち誰?その従兄と何の関係があるの?」

秀子が聞いてきたので私は答えた。

「この二人はタク兄の大学に通う留学生よ!あと、二人ともタク兄の事が好きなの。あの鈍感従兄は全然気づいてないけど。とにかく、タク兄の隣に立つにはこの二人と競うことになるけど。」

そう言うとさっきまでの勢いはどこへやら、結衣と秀子は口をそろえて「敵うわけない…」と呟いて俯いてしまった。にしてもタク兄!いい加減どっちと付き合うか決めてよ!全然進呈しないタク兄に私は少し苛立っていた。まぁ、私が苛ついても何も起こらないけど。そんなことを話しているうちに昼休憩が終了し、私達は午後の練習に励んだのだった。


その日の夕方。

「それでは今日はここまで。みなさんよい休日を。羽目を外しすぎないように。それと宿題もちゃんとやってください。以上!」

休み前最後の練習が終わり、ようやくゆっくりできる。やっと終わった。

「春香、帰ろう!」

「うん!」

後片付けを終えて私達部員はぞろぞろと音楽室から出て行った。秀子に誘われて私は結衣、奈緒達と並んで廊下を歩く。音楽室から昇降口まではちょっと遠いので結構めんどくさい。

「そう言えばさぁ…進路決めた?」

奈緒がそんなことを話す。そうだ、部活終われば受験だもんな。

「私は三郷大学の経済学部にしようかな。」

そう言ったのは結衣だ。ほう、もう志望校決めていたとは。私は志望理由を聞いてみた。

「なんで?」

「近いから。」

「漠然過ぎでしょ!」

思わず結衣に突っ込みを入れてしまった。まぁ、近いのはありがたいけど。

「奈緒は?」

「私は品川大学の看護学部かな?看護師興味あるし。」

「へぇ、秀子は?」

「私は家の美容院継ぎたいから美容の専門学校行くつもり。」

「へぇ、頑張って!」

結衣以外はみんな目標をしっかりと持っており、私は自分も見習うべきだなと思った。

「春香はどうすんの?」

奈緒に聞かれた私は少し考えた。確かに前の二者面談では教員に興味あるって言ったけど、どの大学にするかは正直まだ決めていなかった。学校案内読んだりなどいろいろ調べもしたけれど、自分にとって何がいいんだろう?そう考えていると、ふとこの間タク兄に大学を案内してもらったことを思い出す。自然が多く綺麗なキャンパス、タク兄も含めいい人が多い治安の良さ。それに教育学部もある。…よし。

「私は西東京国際大学の教育学部にする!」

3人にそう宣言した私。するとみんな少し驚いた感じで言った。

「遠くない?」

「あそこ頭いいじゃん。」

「なんでそこなの?」

案の定そう聞かれた。私は思ったことを話し始める。

「まぁ、従兄がいるっていうのも大きいんだけど、この間見学行った時いい人が多くてとても勉強しやすいって思ったの。確かに公立で偏差値高いけど、頑張りたい!」

私の頭で本当に受かるか分からないけど、とにかく頑張るのみだ!すると3人もうんうんと頷き…。

「頑張んな!」

「春香なら大丈夫よ!」

「ファイト!」

激励の言葉をもらった。ありがとうみんな!こうして私達は学校を出て、それぞれの家へと向かったのだ。


帰宅後。

「ただいま!」

「あ、おかえり春香。おやつあるわよ!」

「ありがとうお母さん!」

家に着くとお母さんが出迎えてくれて、私はテレビを点け、テーブルの上のまんじゅうを口に入れる。そして、今日の決意を話した。

「お母さん!」

「どうしたの?」

「私志望校決めた!西東京国際にする!」

「あら、拓人と同じね!頑張んなさい!」

「うん!」

自分の希望もしっかりと決めることが出来た私。上手くいくかどうかまだわからないけど言った以上はしっかりやろう。そう決意した。明日から休みになるけど、いい感じでお盆に入れてよかった。高校最後の夏休みはいい感じで過ごしたい。そう心に決めて私の忙しかった一日は終わったのだった。

こんばんわ。

番外編も3回目ですが、今回は春香の話でした。

今までの番外編はヒロインの過去の話でしたが、今回は初めて本編と同じ年の話です。

ホントはもっと短くまとめるつもりが長くなってしまいました。ごめんなさい。

さぁ、夏休みももうすぐ終わりです。

皆さん残り少ない休日を楽しく過ごしてください!

それではまた次回!

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