第49話 お盆だよ、全員集合!
こんにちわ!
合宿が終わり、日野に帰ってきた拓人くん。
残りの夏休みをどう過ごすのでしょうか?
サブカルチャー研究会の館山合宿を無事に終え、俺は日野に帰ってきた。結構疲れたけど楽しかったし、学園祭のテーマもしっかり決められたから万々歳って感じだな。あれから二日後、結構タイトだが俺はまた家から遠い場所へと向かっていた。お盆の帰省ラッシュ真っ只中、親父が運転する車は目的地へと向かって走っていく。途中高速で渋滞に巻き込まれたりもしたが特に問題もなく車は目的地へと到着した。
「拓人、京子、ついたぞ!」
親父は車を駐車スペースへと止め、俺とお袋は車を降りる。降りた先にあるのは木造の平屋一戸建てだ。
「あぁ〜やっと着いた。」
「にしても暑いわねぇ。早く中に入ろう。皆待ってるから。」
お袋がそう言い、俺達はその家へ近づいてドアのインターホンを鳴らす。そして出てきたのは…。
「はーい。あら、京子じゃない。拓人も義和さんもよく来たわね。暑かったでしょう?さぁ、入って入って。」
「お母さん久しぶり!元気そうね!」
白髪混じりの年輩の女性。この人こそ、お袋の母親、つまり俺の母方の祖母である松山とも子である。
「はーい。」
「お邪魔します。」
俺達はばあちゃんに言われて中に入り、居間へと向かった。
「ただいまー、お父さん!」
「おう、京子!よく来たな!拓人も義和くんもしばらくだな!」
そう言って迎えてくれたのは俺の祖父、松山仙蔵である。ばあちゃんもそうだが二人共今年73歳になるけど、病気一つせずとても元気だった。更に…。
「やっほー、タク兄!」
「お姉ちゃん久しぶり!拓人もまたカッコよくなったんじゃない?」
「どーもお久しぶりです!今年も良い夏を!」
従妹である春香とその両親、つまり俺の叔母と叔父に当たる栗原礼子と栗原敦がいた。三人は俺達に挨拶し、俺達も挨拶を返して荷物を置き、畳の上に座った。そう、今日はお盆と言うこともあって、母親の実家である茨城県の土浦へと来ているのだ。幸い親戚の皆が集まれるということもあって、全員で墓参りに行くことになった。
「皆よく来たわね。揃ったからまずはお昼にしましょう!」
ばあちゃんはそう言うと、既に作ってあった大量のそうめんを台所から持ってきた。やっぱり夏と言えばそうめんだよな。
「頂きます!」
俺達はそうめんが出されるやいなやまるで飼育場のうさぎのごとく飛びつき、麺を啜っていった。うん、やっぱり美味い!すると、礼子叔母さんが俺に声を掛けてきた。
「拓人、この間は春香を案内してくれてありがとうね!ほら、春香!拓人にお礼言いなさい!」
「タク兄本当にありがとう!私、あれから考えたんだけど、やっぱり西東京国際の教育学部を第一志望に決めたわ!」
「お、マジで?興味持ってくれてありがとう!頑張れよ!」
春香の決意に俺は激励の言葉を送る。そして、今度は親父が口を開いた。
「そっかあ、春香ちゃん来年受験だもんね。勉強は頑張っているのかい?」
「いえいえ、もう部活ばっかりで心配なんですよ。もう少しちゃんと勉強してもらいたいもんです。」
親父にそう答えたのは敦叔父さんだった。うちの両親も中々の美男美女夫婦だが、栗原夫妻も中々だと思う。礼子叔母さんはお袋の4歳年下だが、流石はお袋の妹。結構な美人だし、姉妹揃ってとても40超えているとは思えない。敦叔父さんは野性的な男前の親父とは正反対に、爽やかな叔父様といった感じだ。そんな二人の間に生まれた春香は二人の良いところを受け継いだのか、贔屓目に見ても結構な美少女だと俺は思う。そう考えていると、爺ちゃんが俺に話しかけてきた。
「拓人、学校の方はどうなんだ?」
「楽しいよ!この前サークルの合宿で館山行ってきたんだ!」
「おお、良かったな!サメに食われなくて何よりだ!」
「怖えよ!そんな所で海水浴出来るか!」
「まぁ、仮にサメが出たとしても俺が釣り上げてやるだけよ!ハッハッハ!」
「やめとけ爺ちゃん。餌にされるだけだぞ。」
ジョークを飛ばしながら高笑いする爺ちゃん。爺ちゃんは釣りが趣味で、今でも暇さえあればどこにでも釣りに出かけている。俺も小さい頃はよく爺ちゃんと一緒に霞ヶ浦へ連れてってもらってたな。すると今度は婆ちゃんが話しかけてきた。
「それにしても拓人、いい男になったわね〜。どう、モテモテでしょ?彼女出来たの?」
「いやぁ、全然だよ。どうも俺は恋愛というものに縁が無いみたいだよ。」
「またまた、そんな謙遜しちゃって!」
「悲しいけど、これが現実なんだよねぇ。」
「でも、あたしの孫だからねぇ。すぐに出来るはずよ。」
「どうなんだろうねぇ?」
婆ちゃんとそんな話をしていると、春香が食いついてきた。
「ねぇタク兄!館山の合宿にボラムさんとステイシーさん一緒に行ったんでしょ?どっちかと何か進展とか無かったの?」
「ねぇよ。あいつ等とはそんな関係じゃない。」
春香にそう答えると、親父とお袋が溜息をつきながら口を開いた。
「まったく…。タク!お前というやつはなんて情けないんだ。男ならもっと攻めろ!それでも俺の息子か!」
「そうよ!海とか夏の夜を一緒に過ごせるっていう絶好のチャンスだったのに、あなたはそれを棒に振ったのよ!」
なんか知んないけど両親に怒られてしまった。いや、手出してあらぬ事態になる方が問題だと思うんだが。
「春香、どういう事だ?」
「ボラムさんとステイシーさんて誰なの?」
叔父さんと叔母さんが興味津々な様子で食いついてきた。すると春香が嬉しそうに話し始める。
「タク兄の大学にいる留学生の女の子なんだけど、二人共すごい美人だし、タク兄と仲良くてお似合いなの!究極の選択だけど、絶対タク兄あの二人のどっちかと付き合った方がいいって!」
「お、おい。何勝手なこと言ってんだよ春香。」
楽しそうにベラベラと話す春香。そして、その話に爺ちゃんとばあちゃんはが食いつかないはずが無かった。
「何、外国人の女の子を両手に花だと!?流石は俺の孫だ!」
「あらぁ、いいじゃない!今度は是非紹介してもらいたいものだねぇ。」
「い、いや…二人共。別に特別な関係とかじゃなくて普通の友達だから。」
恥ずかしくなった俺は慌てて二人にそう説明した。すると、お袋がスマホの写真を表示し、みんなに見せてきた。
「この子達よ!どう?キレイな子達でしょ?」
その写真は二人が以前うちに遊びに来たときに撮ったものだった。皆が写真を覗き込むと、目を見開きながらそれぞれ口を開いた。
「あら!二人共すごい美人じゃない!」
「これはすごい!ハリウッド女優とK-POPアイドルみたいだ!」
叔母さんと叔父さんが嬉しそうにそう言う。そして、爺ちゃんと婆ちゃんも…。
「おお、流石は外国の子!次元が違うわい!」
「素敵ねぇ!拓人、絶対に逃しちゃ駄目よ!」
「いや…だから…はぁ。」
みんな目をキラキラさせながら俺にそう言ってくる。う~ん、困った。返答の言葉が思いつかず、溜息が漏れる俺。そんなこんなで楽しいそうめんランチタイムは終了した。その後、みんなで家から少し離れたところのお墓まで車を飛ばし、墓掃除とお参りを済ます。終わって帰った後も皆で話に花を咲かせ、夜まで楽しい時間を過ごすことが出来たのだった。
こんにちわ!
母方だけでしたが、今回で初めて拓人君の祖父母及び春香の両親が登場しました。
もうすぐ夏休みも終わり、俺アプでも夏休み編が終わりに近づいて来てます。
今後、拓人君がどのように活躍するのか只今模索中です!
それではまた次回!
皆さん、良い夏休みを!




