第37話 放課後ショッピング!
こんにちは!
今度は久々に学校が舞台です!
それと新キャラも出てきます!
ドタバタしながらもなんだかんだで大学二年になって2ヶ月を迎えた。季節は6月の半ばを過ぎ、生徒や職員も夏物の服に衣替えした人も増えている。無論、俺もだけど。そんな俺は、本日最後の授業、自由科目の英会話Ⅲの授業を受けに行くところだ。
「ういーっす!」
「おお、モリタク殿!」
教室に入って挨拶をすると、すでに幹夫が座っていた。俺もすぐに幹夫の隣に座る。
「ほれ、幹夫。最新刊持ってきたぞ。」
「おお、誠にかたじけない!流石はモリタク殿でござる!」
「どういたしまして。」
俺が幹夫に貸したのは、『ヴィーナス大戦』と言うSF漫画だ。これは、人が住めるようになった金星と地球の間で戦争になるが、そんな中地球兵士の主人公と金星のお姫様が恋に落ち、その狭間でお互い葛藤するというハードなストーリが売りの漫画だ。幹夫は嬉しそうに漫画を受け取って鞄にしまうと、寶藍とステイシーが教室に入ってきた。
「やっほー、タクちゃん!」
「ハロータクト!」
「おっす、寶藍、ステイシー!」
「ボラム殿、ステイシー殿!お元気そうでござるな。」
相変わらず明るい笑顔で寶藍とステイシーは俺達に挨拶する。俺達の列はすでに埋まっていたので、二人共俺達の真ん前の空いてる席に座った。
「タクちゃん、今日このあと暇?」
「別に予定はないけど。」
今日はバイトもないし、特にやる事もなかったので、俺は寶藍にそう答える。
「じゃあ、新宿行こ!買いたい物あるからちょっとタクちゃんに見てもらいたくて!」
「おう、別にいいぜ。」
「やったー!」
寶藍は余程嬉しかったのか、まるで子供のようにはしゃいでいた。するとその隣でステイシーが不機嫌そうな顔で話に入ってきた。
「じゃあ、私もついて行くわ。」
「は、なんでよ?」
露骨に嫌そうな顔をする寶藍。一体とうしたんだろう?
「私もそろそろ新しい服や化粧品買おうと思ってたの。それに、あんたたち二人だけにしたら、どうなるか分からないから私が監視してあげる。」
「上から目線に何よ!幼馴染の大切な時間邪魔しないでよ!」
不敵な笑みを浮かべるステイシーに対し、まるでゆでダコの如く顔を真っ赤にして噛み付く寶藍。やれやれ、また訳のわからん口論が始まったよ。これは止めないとな。
「まぁまぁ、二人共。その辺にしとけよ。それに買い物ならみんなで行ったほうが楽しいだろ。」
俺がそう言うと、二人共途端におとなしくなり、難しい表情を浮かべながらも…
「タクちゃんがそう言うなら。」
「私もタクトがそう言うなら。」
と素直に納得してくれた。やれやれ。
「幹夫も行こう!」
俺はせっかくだし幹夫も誘ってみたのだが…。
「誠にすまぬ、モリタク殿。某は今日アルバイトがあるので行けぬでござる。申し訳ない。」
そうか、あのホームセンターのアルバイト今日だったか。残念。
「そうかぁ。また今度な。じゃあ三人で行くか。」
「オッケー。」
「うん、分かったよタクちゃん。」
二人が納得したところでドアが開き、先生が入ってきた。
「Hello!Everyone!」
入ってきた先生は、一年の時から俺の英会話の授業を担当しているスティーブン・ジョンソン先生。オーストラリアのキャンベラ出身の中年の白人男性の先生で、明るくて陽気な性格の上、授業も分かりやすいので、うちの生徒からは人気である。
「Oh,モリタ君!今日もモテモテですね、クールガイ!」
「い、いや…そんなんじゃないですよ先生。それに、何度も言いますけど俺、モリタじゃなくて森ですから!」
笑いに包まれて恥ずかしい空気の中、俺は必死で弁明した。それとこの先生、俺のことを必ずモリタ君と呼ぶ。
「Why?みんなだってそう呼んでるじゃないですか。」
「いや、それは俺がモリタクって呼ばれてるので、モリタではないです。」
ジョンソン先生は俺が友達から「モリタク」って呼ばれているのを「モリタ君」と聞き間違えたらしく、一年の時からずっと俺は先生から「モリタ君」と呼ばれている。先生の中ではすっかり俺は「モリタ君」として定着しちゃったようだ。
「オーライ。それじゃ授業始めますよ!Are you ready,everyone?」
「YES!Mr.Johnson!」
こうして、ジョンソン先生の愉快な英会話の授業が始まった。
「今日は皆さんの好きな場所について説明してもらいます。それでは、まず、モリタ君から!」
「ええっ、俺からですか?」
再びモリタ君と言われたのはさておいて、俺は渋々立ち上がる。
「OK、Mr.Morita.What Are you favorite place?」
好きな場所か。うーん、いっぱいあるけど悩むな。どうしよう…よし、これでいこう。
「My favorite place is school and my home!」
「Why?」
「Because,I like my friends and family!」
俺がそう言うと、教室内から「おお」という声が響いた。そして…。
「モリタク、それを言う相手が目の前にいんじゃん!」
「大胆な告白だな!流石だぜ、イケメン!」
「うるせえんだよ、黙っとけ!」
橋本と隣のクラスの大沢が俺に冷やかしの言葉を投げてきた。まったくもう!
「オッケー!いいですねモリタ君!それでは次の人は…。」
そんなこんなで恥ずかしさ感じながら授業は進んでいった。それと、顔は見えなかったが、前の席の寶藍とステイシーが少し恥ずかしそうにしていたのは気のせいだったのだろうか?
そして放課後。
「じゃあいこう、タクちゃん!」
寶藍が俺の手を掴んで進もうとした。
「ズルいわよボラム!タクト、私とも腕組んでよ!」
それに反応したステイシーがすかさず俺と腕を組む。まるで確保された犯人みたいだな、俺。
「あ、ああ。それじゃあな、幹夫!」
「モリタク殿も良い放課後を!」
俺たち三人は幹夫と別れ、約束通りに新宿に向かう。そしてそんな状況を教室内でやったから案の定…。
「ヒューヒュー!モリタク!美女二人とデートなんて羨ましーぞ!」
「うるせえ、橋本!これがデートに見えるか!」
冷やかした橋本に俺がツッコミを入れる。そして大沢も…。
「ボラムちゃん、ステイシーちゃん!頑張ってね!モリタクと上手いことやっちゃっていいから!」
「何言ってんだテメェ!」
訳のわからん冷やかしを浴びせてきて、再びツッコミを入れる俺。やれやれ、上手いことって何だし。そんな冷やかしを背に俺達は学校を出て、電車に乗り、中央特快で新宿駅まで行った。
「じゃあ、アルタでいいか?」
「いいわ!」
「私も構わないわ!」
東口を出て、俺達はアルタに向かい、中にあるブティックへ入る。
「いらっしゃいませー!」
店員さんが笑顔で俺たち三人に挨拶してきた。
「わぁ、いい服いっぱいあるわね!」
「うん、私好みのも揃ってるからどれにするか迷うわ。」
寶藍もステイシーも目を輝かせながら店内を物色する。すると、可愛らしい風貌の女性の店員さんが俺達に話しかけてきた。
「わぁ、お客様すごくお綺麗ですね!男の子の方もすごくイケメンなので見てて惚れ惚れしそうです!」
「そ、そうですか?」
いきなり言われてたじろぐ俺。そして寶藍は店員さんに話しかける。
「あの、私。可愛らしい服に挑戦してみたいんですけど、オススメありますか?」
「もちろんですよ!お客様、可愛くてスタイルいいのでこんなのどうですか?」
そう言って店員さんが持ってきたのは、薄水色のワンピースだった。
「いいですね!ちょっと試着してもいいですか?」
「どうぞ!」
寶藍はそのまま試着室に駆け込んだ。そして店員さんは今度はステイシーの方を向いて言った。
「お客様、外国の方ですよね!わぁ、金髪綺麗だし、スタイルいいし羨ましいです!」
「ありがとう!」
「そんなお客様にはこれがオススメですよ!」
店員さんは、ステイシーに黒いノースリーブと、黄緑色のタイトスカートをも持ってきた。
「グレートね!試着してくるわ!」
そう言って、ステイシーも試着室に入っていった。二人共しばらく出てこなかったが、カーテンが開くと…。
「どう、タクちゃん?」
「タクト、私にこの服似合っている?」
二人がそう聞きながら出てきた。それはその場で感想を言う。
「すげえよ二人共!めっちゃ似合ってんぞ!ファッション誌から飛び出してきたみたいだ!」
薄水色のワンピースを来た寶藍はまるで某国のお姫様の様な透明感あふれる美少女だった。そしてステイシーの方もパリコレモデルと遜色がないくらいスタイリッシュで似合っていた。そして俺の横にいた店員さんも…。
「きゃあ♡素敵です!写真撮って保存しておきたいくらいです!」
とメッチャ興奮してはしゃいでた。二人は褒められて余程嬉しかったのか、そのまま服を購入。その後も他の店で化粧品やその他日用品などを買って、ビルを出ようとしたときだった。
「いやぁ、いい収穫だったわ!ありがとう、タクちゃん!」
「いやいや!俺も楽しかったし!」
「タクト!今度来るときは私がタクトの服選んであげる!」
「お、マジで?ありがとう。」
出口に向かってエスカレーターを降り、1階に到達した所で、目の前にどこかで見たような雰囲気の女性がいた。ロングヘアを明るい茶色に染め、東洋人とも西洋人とも見える堀の深いエキゾチックな顔だが、とても整った顔立ち。スタイルもよく、寶藍やステイシーのほぼ中間位の背の高さで、薄緑色のカーディガンに白いスカートを履いている。
(似てるけど、気のせいかな?)
そう思いながら俺は寶藍、ステイシーと共に出口に向かってあるき出そうとした。しかし…。
「あんた、森拓人?」
ふと名前を呼ばれたので、俺は振り返ってしまった。寶藍とステイシーも俺に釣られて振り返る。
「やっぱり森拓人ね!久しぶり!こんな所で会うなんてね!」
「お、お前は。」
さっきのは気のせいでもそっくりさんでもなく、間違いなく俺の知っているそいつだった。まさか本人だとは思わなかったが、正直俺はこの再会を嬉しく思うことは出来なかった。
こんにちは!
昨日転んで腕と背中が痛いです(泣)
でもゆっくり休めば多分大丈夫なのでご心配なく。
さあ、新キャラも出てきて盛り上がってきました。
拓人に話しかけた謎の美女の正体とは?
次回で明らかになりますのでお楽しみに!




