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第36話 本音はどうなの?

こんにちわ!

前回は更新をサボってごめんなさい!

先輩チームとの椿が丘高校野球部OB戦は俺達拓人チーム(健太郎が勝手にチーム名を付けた)の勝利で幕を閉じた。とても楽しかったし、久々に野球ができてこっちも嬉しかったな。そして試合後、俺達はある場所に集まっていた。

「よーしみんな!せっかく集まったんだ!野球もいいが、やっぱりうまいもん食うのが一番だよな!」

と、ごきげんな様子で言ったのは省吾さんだ。俺達は今、グラウンドから少し歩いたところにある焼肉店にいた。よく20人以上も入れたなと思ったが、田宮先輩が事前に予約を入れてくれたらしく、あっさり入店できた(俺の応援に来た女子4人も追加して予約が取れた)。焼肉かぁ、久々だな。

「じゃあ、みんなお疲れ様!今日は集まってくれて本当にありがとう!またいつかみんなで野球できたらと思うので、そのときはよろしくな!じゃあ、乾杯!」

「「乾杯!!!」」

田宮先輩が乾杯の音頭を取って、ようやく肉にありつける。そして次々と肉が運ばれてきて、俺はトングで網の上に乗せていく。いい匂いだな。ますます俺の食欲がそそられるぜ。すると、隣の席の健太郎が話しかけてきた。

「しかし、モリタクのホームランすごかったな。」

「大したことないって。」

「そうか?国体の準決勝の時のサヨナラホームラン並だと思ったけどな!」

「いやぁ、あれはヤケクソで大振りしたらスタンドインしただけだって。あん時マジで俺緊張したんだから!」

なんてことを話していると段々昔の事を思い出してきた。キツイことも楽しいこともあったが、どちらも今になれば大切な思い出だ。

「ところでステイシーちゃんだっけ?」

「What?」

健太郎が斜め向かい側の席に座っているステイシーに話しかける。

「モリタクのホストファミリーだっけ?改めまして俺はモリタクの同級生で一緒にシカゴにも行った佐々木健太郎だ!」

「あら、そうなの?よろしく!」

「ステイシーちゃん。こいつ、ステイシーちゃんの家にいたときどうだった?」

「超良かったわ!楽しかったし、今でも家族同然よ!みんなタクトに会いたがっていたわ!」

「だってさ、モリタク!良かったな!」

「あぁ。そう思ってくれて俺も嬉しいよ。」

そういえばお義父さん達元気かな?今度手紙でも送ろうかな。

「タクト、よかったらまたシカゴに来て!家族にタクトと大学で一緒になったこと話したらとても喜んでたし、また家に来てほしいって!」

「おお、そうか!みんな元気そうで何よりだな。まぁ、今は難しいけどいずれシカゴでみんなに会いたいな。」

夏休みか冬休み利用して行きたいけど、まだ貯金が足りないかな。バイト頑張ろ!ステイシーとそんな話をしていると、いきなり木島が後ろから現れた。

「何だよぉ、いい感じじゃねぇかモリタク!」

「いきなりどうしたんだよ?!」

「ホストファミリーだって?こんな美人な子が一緒と一緒に暮らしてたなんて羨ましすぎるぜ!なぁ、どこまでいったんだ?」

「なんもないから!」

「何だよつまんねぇな。なぁステイシーちゃん!日本人の彼氏とか旦那は欲しいかい?」

木島がなんとも切り込んだ質問をしてきたが、ステイシーは満面の笑顔で…

「タクトだったら許す!」

と返した。くそう、不覚にもメッチャ可愛く見えてしまった。

「ほら見ろ、ステイシーちゃんだってこう言ってんだぜ!まったく、美人な外国人の女の子と親しくなれるなんて羨ましすぎるぜ!俺も国際科行けば良かったなぁ!」

「お前彼女いんだろ!」

「まぁ、いるよ!でも俺はイケメンで頭いいお前がモテないことが不憫なんだよ!だから応援するぜ!」

「その、まぁ。ありがとう。」

俺は木島に礼をいい、木島は元の席に戻った。木島は普通科の優等生で、そこそこモテた。今は大学の同じクラスの子と付き合っているらしい。

「しかし、日本の焼肉って牛肉ばかりね。それにこのタレ味が濃くない?あと、ごま油とケーニップ(エゴマの葉っぱ)が無いじゃない!あれは焼肉に欠かせないものよ!まぁ、美味しいから許すけど。」

ぶつくさ文句言っているのは焼肉の本場、韓国出身の寶藍だった。

「タクちゃん!」

「ん、どうした寶藍?」

「早く韓国おいでよ!本場の焼肉ってものを教えてあげるから!」

「そんなに違うのか?」

「そうよ!韓国の焼肉は豚肉中心で、ごま油と塩コショウで食べるの。だから肉本来の旨味が楽しめるのよ!それにサンチュとケーニップも欠かせないわ!あ、そうだ!今度実家から取り寄せた時にタクちゃんからおすそ分けしてあげるから、おじさんやおばさんと一緒に食べて!」

と、いつになく熱心に焼肉論を話す寶藍。そういえば、キムチ以外にも寶藍のお母さんはサンチュだのケーニップだのをどっさりおすそ分けしてくれたっけ?

「それと、パパもママもお姉ちゃんもタクちゃんに会いたがってたからソウルに来てよ。日本から一番行きやすいでしょ?」

「まぁ、そうだな。」

そういえば、寶藍の家族も今頃どうしているのかな?こいつの話を聞く限りでは元気そうだと思うが。そんなことを話していると…。

「ワオ、ラブラブぅ!」

「モリタクはこの子と幼馴染だって?」

「羨ましーぞー!」

「そのポジション俺と替われ!」

酒を飲んで酔い始めている先輩たちのやじが飛んできた。は、恥ずかしい。そしてここにももう一人やばい人が…。

「お兄さ~ん、ハイボールおかわり!ジョッキでね!」

そう、夕方からずっと飲んで野次を飛ばしていた有希子先輩だ。

「有希子先輩、飲み過ぎですよ!」

「何よぉ、森君!アタシに興味が湧いてきたわけ?」

「ち、違いますから!」

そう返すものの、泥酔して半ば暴走状態の有希子先輩の服装は乱れまくってた。上着はズレ、紫のタンクトップからそれなりに膨らんだ胸の谷間が見えてしまい、目のやり場に困る。そして、それを見ていた寶藍とステイシーの突き刺さるような視線が痛い。そして、有希子先輩は店員のお兄さんからハイボールを受け取り、グイッと飲み干した。そして俺の方を向いて言った。

「森君、私を慰めて!」

「どうすればいいんですか!」

「ギューして!」

「何言ってんですか!」

「えーっ。じゃあチューして!」

「「絶対にダメです!」」

最後にツッコミを入れたのは寶藍とステイシーだった。泥酔している有希子先輩は多分気付いてないが、今の寶藍とステイシーは完全に人を殺す目をしていた。ヤバイな、どうしよう?すると周りからも…。

「やべえ、修羅場ってる。」

「美人留学生2人と本仮屋ユイカにクリソツな先輩がモリタクを取り合ってるぞ。」

「贅沢だな!」

「今までモテ期が無かっただけで、あんなイケメンをみんな放っておく訳がないか!」

「流石はモリタク!」

なんて声が聴こえてきた。どうしよう。なんか変な方向に勘違いされているような気がする。すると今度は…。

「森君。」

「何?」

今まで食うことに集中してきた秋本が口を開いた。

「トイレどこ?」

「ん、そこまっすぐ行って右だけど。」

「ごめん、私方向音痴だから一緒に来て。」

「ったく、しゃーねーな。」

俺と秋本は立ち上がり、一緒にトイレに行く。

「ここだぞ!」

「ありがとう。」

秋本はそのままトイレ入るのかと思いきや、俺の方を向き直り、真面目な表情で聞いてきた。

「ねぇ、森君。」

「何だよ。」

「本当の所、どうなの?」

「いや、話が見えないんだけど。」

俺が正直にそう言うと、秋本は「はぁ…」と溜息を付きながら言った。

「アプローチされるのは嫌なのか聞いてんの。」

「いや、なんだろ?俺、人見知りだし…あんまりグイグイ来られるのは少し苦手かな…。」

元々恥ずかしがりやだし、女性から積極的に話しかけられた経験もほとんど無いから、いざアプローチされてもちょっとたじろぐな、俺。そして秋本は別の質問をする。

「嬉しくないわけじゃないんでしょ?」

「そりゃぁ、まぁ。こんな俺でも仲良くしてくれる女性がいるのは嬉しいけどさ。」

そう返した俺に対し、秋本は再び溜息をつく。

「ふぅ…森君。そんなネガティブに考えてると、人生損するわよ。」

「そ、そうか。気をつけるよ。」

「それともう一つ。」

秋本が付け加えて話し始める。

「森君は寶藍ちゃんやステイシーちゃんとずっと今の関係を続けるつもりなの?」

「ま、まぁ。二人共大切な俺の友達だし。」

「そう。友達…ね。」

秋本は複雑な表情そう呟く。そして、その表情を変えずに俺に言った。

「森君。あんまり鈍感すぎると、みんな傷つける事になるわよ。だから、誰も傷つけたくなかったら、ハッキリすることが大切って自覚しないとね。」

「えっ?それってどう言う…?」

「じゃあ、私トイレ行くから。先戻ってていいわ。」

秋本はそれだけ言って女子トイレに入っていった。傷つける?誰をだ?俺は一体何をしているんだ?俺は秋本の言葉の意味をよく理解出来ないまま席に戻り、再び食べ始める。でもこれだけは思っていた。こんな素敵な人間関係が壊れないように、大切にしたいという事を。

こんにちわ!

二週間ぶりの更新です!

6月最初の投稿ですが、いよいよ季節は梅雨ですね!

僕の頭も梅雨入りにならなければいいのですが(笑)

でも、梅雨にも負けず執筆頑張ります!

それではまた次回!

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