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第35話 勝利の女神は誰?

こんばんわ!

昨日、今日と天気が悪いですが、悪天候に負けずに書きます!

時は授業終わりのとある夕方。6月になり、日の入りが伸びた空を赤い夕焼けが綺麗に照らしている。そんな中、俺は家でもバイト先でもなく、ある場所にいた。

「さぁ、しまっていこうぜ!」

「この回でドカンと一発かましてやるぜ!」

なんて声が聞こえてくる場所。そう、今いる場所は大学近くの運動公園内にある野球グラウンドだ。俺はそこで野球の試合に出ている真っ最中である。

「モリタク、俺はお前のリードを信じているぞ!」

「ありがとう。俺もお前のピッチングを信じてる。だから、全力で投げてくれ!」

マウンド上で、俺と話しているのは俺の高校時代クラスメートで俺とバッテリーを組んでいた鈴木健太郎だ。言葉を交わし、マスクをしっかりと装着した俺はキャッチャーのポジションに付き、しっかりと構えた。

「プレイ!」

球審の声が響き、一回裏の攻撃が始まる。そして打席に立ったのは…。

「モリタク、俺達はさっきのお前達みたいに三者凡退とはいかないからな。試合も恋も、俺達が先にリードしてやるぜ!」

「合コンは上手く行ったみたいですね、省吾さん。でも、今日の試合は負けませんよ!」

俺がサクラとして参加した合コンで、見事彼女をゲットできた川本省吾先輩である。今の状況を詳しく説明すると、都立椿が丘高校の野球部OB同士で試合をしているのだ。元々は俺達の一個上の田宮先輩という人がいるのだか、その人がせっかくだし同窓会も兼ねて試合をしたいと言い出し、集まったのがこの試合である。本当は休日の昼に試合をしたかったのだが予約が埋まっていて取れず、平日の夕方になった。それでもなんだかんだでみんな来てくれて、人数的にも試合が出来るまで揃っている。ちなみに今回は先輩チームと俺達の代のチームの対戦である。そして、内角低めを要求した俺に投じた健太郎の第一球。

「ストライク!」

要求通りに健太郎は投げてくれた。その後もしっかりと追い込み、ワンボールツーストライクからの第四球。

「ストライク、バッターアウト!」

フルスイングした省吾さんのバットは空を切り、三振。ワンアウトだ。

「やるな健太郎!」

「いえいえ、どうも。」

省吾さんがマウンド上の健太郎を褒める。

「モリタク、お前も相変わらず姑息なリードしてくるな。褒めてやる。」

「ありがとうございます!」

「女の子はリードできないけどな。」

「それだけ余計ですよ!」

省吾さんにツッコミを入れた後、俺達は気を取り直して次のバッターに挑む。その後も健太郎は続く二人もしっかりと打ち取り、先輩チームも一回の攻撃は三人で終わった。

「ナイスピッチング、健太郎!」

「モリタクのリードのおかげだよ!」

チェンジになり、俺と健太郎はベンチに下がりながらそんなことを話していた。そして迎えた俺達の攻撃。この回の先頭バッターは、なぜか四番を任せれた俺だった。

「よし、行くぞ!」

俺がバットを持ってベンチからでると、次のバッターの木島が俺の肩に手を置き、耳打ちしてきた。

「モリタク、可愛い娘たちがお前を応援しに来てんだぞ。ホームラン打ってこいよ、イケメン!」

「う、うるせぇ!誰が来てようと打席に立てば打つだけだ!とにかく行ってくる!」

木島に言われて少し恥ずかしさを抑えながら、俺は打席に立つ。マウンドには当時のエースで、初回の俺達の攻撃を三者三振に抑えた佐竹先輩が立っている。ベンチ方向を見ると、寶藍、ステイシー、そしてなぜか有希子先輩とバイト先の秋本も見に来ていた。


一方こちらは、拓人チームのベンチサイド。

「タクト、ファイトよー!」

ステイシーはスカイブルーと白を基調としたチアガールの服装で拓人に声援を送っていた。

「ステイシー、応援しに来たとはいえ、ちょっと気合入れ過ぎじゃない?」

寶藍がそう言うと、ステイシーも言い返す。

「ボラムだって、プロ野球チームのレプリカユニフォーム着てるじゃない。しかも普段履かないくせにショートパンツまで履いちゃって。それでタクトが集中出来なくて凡退したらどうするの?」

「これが韓国流の応援スタイルなの!コレのお陰で、韓国野球は盛り上がってるんだから!」

一方の寶藍は、LGツインズのユニフォームに白いショートパンツというスタイルで応援しに来ていた。それぞれの国の応援スタイルを身にまといながら、相変わらず痴話喧嘩をしている寶藍とステイシー。するとそこに割って入ってきたのは有希子だった。

「あんた達、声が小さいわよ!もっと元気にドカーンと応援しなさいよ!」

「ちょっと、酒飲みながら野次るとかプロ野球の応援じゃないんですから。」

まだ夕方なのに缶のハイボールを片手に顔を赤らめながら野次る有希子を冷静に止める秋本。なぜ彼女達がここにいるのかと言うと、拓人が試合があることを学校で話している時に、三人が見に行きたいと言い出したので、拓人が連れてきたからだった。秋本も同様で、バイト先で拓人が試合の事を話すと、「キャッチャーマスクをつけた森くんを見たい」との理由でここに来た。声援を送る寶藍、ステイシー、有希子の三人を見ながら、秋本はふと呟いた。

「まったく、森くんも罪な男よね。散々モテないとか言っておきながら、こんな美人3人から思いを寄せられるなんて。」

そのつぶやきにまず食いついたのは寶藍だった。

「そこらの非常識な女はみんなタクちゃんの悪い所ばかり見て勝手に残念イケメンのレッテルを貼ってるけど、幼馴染の私はいい所いっぱい知ってるの!」

今度はステイシーが反応する。

「タクトはすごくかっこよくて優しいし、何もかもがパーフェクトよ!だからずっと一緒にいたいと思えるの。」

ニコニコ笑顔のステイシーに続き、酔った有希子が秋本に絡む。

「何よぉ、あんたも森くんに気があるワケ?私は一回振られたけど、まだ諦めたわけじゃないから!」

「いえ、そういうわけじゃ…ハァ。」

呆れた表情で溜息をつく秋本。そして声援を送る寶藍、ステイシー、有希子を尻目に、拓人の打順が回ってきたのだった。


二回表の攻撃に入り、バッターボックスには俺が立っている。しかし佐竹先輩の球に初球は空振り。二球目も低めいっぱいに入り、ツーストライクと追い込まれてしまった。こりゃぁ、ヤバイな。

「タクちゃん打てぇ!」

「食らいつくのよ、タクト!」

「森くぅん、私のために打ってぇ!」

「ちょっとピンチね。」

背後からはチームメイトに混じって寶藍、ステイシー、有希子先輩、秋本の声が聞こえてくる。そして、マウンド上の佐竹先輩が言った。

「モリタク、俺はお前にルックスや学力で勝てないかもしれない。だが、野球では勝ってやる!勝利の女神は俺のもんだ!」

闘志剥き出しの佐竹先輩は、そう言うと気合いっぱいの表情で俺に渾身の一球を投げてきた。

「俺だって負けてたまるかぁ!」

俺も先輩が投げてきた外角低めの球を思い切り振り抜いた。キィンという金属バットの音が響き、白球はレフト方向へとどんどん伸びていって…。

「よっしゃぁ、入ったぁ!」

フェンスを超えて先制ホームランを打ち、俺は思わず雄叫びをあげた。ホームに帰るとチームメイト達が出迎えてくれて…。

「ナイスホームラン!」

「よくやった!」

「さすがモリタク!」

「イケメンはやることが違うねぇ!」

等と、祝福の言葉を掛けてくれた。そして応援に来ていた女性陣も…。

「タクト!ナイスよ!ジーターみたいだったわ!」

「もしくは李承燁みたいよ!右だけど。」

「森くーん!ラブ!」

「やるわね。」

と、言う感じで褒めてくれた。とりあえず打てて良かったな。二回表はこのホームランの一点で俺達の攻撃は終わってしまったが、その後俺達は結構いい試合をした。逆転し、逆転されのシーソーゲームで、どっちが勝ってもおかしくない中、意外にも八回に木島の勝ち越しタイムリーで5-4と俺達がリードした。そして、九回裏に入った頃にはすっかり日が暮れていた。

「あと一人だ!最後まで気を抜くなよ、健太郎!」

「分かってるぜ、モリタク!任せな!」

ツーアウトでランナーは一塁。一発出れば逆転サヨナラ負けだ。健太郎はなんとかツーストライクまで追い込んだが、その後粘られてスリーボールまで持ってこられてしまう。

「構うな健太郎!全力で投げろ!」

俺は健太郎にそう言い、健太郎が投じたラストボール。カキン!

「あっ!」

打球はライト方向に伸びていき万事休すかと思ったが、なんとかライトが追いつき、試合終了。俺達が勝った!

「きゃぁぁ♡」

「タクちゃんが勝ったぁ!」

「森くぅん、アイシテルー!」

「お見事。」

チームメイトより先に女性陣の歓声が聞こえてきたのはさて置いて、勝てたのは嬉しい。みんなで集合し、勝利を祝福する。すると後ろから今日の試合を提案した田宮先輩が声を掛けてきた。

「いやぁ、参った。でもお前達ナイスゲームだったぞ!みんなも忙しい中集まってくれてありがとう!楽しかったぜ!」

「いえ、僕達も楽しかったです!」

田宮先輩にそう言い、全員で整列。

「「ありがとうございました!」」

挨拶して、みんながベンチに戻っていく。そして、俺がベンチに帰ってきたとき…。

「タクちゃーん、かっこよかったよー!」

「ナイスホームランだったわタクト!ヤダ…もっと好きになっちゃう♡」

「森くぅん、私だけを見てぇ♡」

寶藍、ステイシー、有希子先輩が俺によってきてそれぞれ褒め言葉を掛けてくれた。そしてその横で秋本が少し笑みを浮かべながら言った。

「幸せ者ね、森君。」

「そうかぁ?」

「はぁ、相変わらず鈍いわね。」

なぜか呆れ顔の秋本。そして、その光景を他の男性陣が見て何も思わないわけがなかった。

「ヒューヒュー!」

「イョッ、イケメンはこうでなくっちゃ!」

「羨ましいぞ、イケメン!」

「あんな美人モリタクにしか似合わないぜ!」

「残念イケメンのモリタクにようやく春が到来か?」

「畜生、一人くらい俺に譲れよ!」

等と言われまくった。は、恥ずかしい。

「い、いや!俺はそういうわけじゃ…!」

俺は場を静めようとしたのだが…。

「何よタクちゃん!あたし達の祝福が気に入らないの?」

「全米大会でチャンピオンになった私のチアのコスに響かないなんて、とんだ鈍感男ね!」

「もう、素直じゃない子はお姉さん嫌いよ!」

寶藍、ステイシー、有希子先輩の三人がぶーぶー文句を言い始めた。どうしよう?

「まったく…森君はホントにもう…。」

秋本が更に呆れた様子で溜息を付きながら俺に言った。はぁ、せっかく勝ったのに、どうすんのこの状況。でも、久々にみんなで集まって楽しく野球できたからまぁ、いっか!そんな日が暮れて星が輝き始めた空の下のグランドは、試合中も試合も最後まで騒がしかったのだった。

こんばんわ!

前回に続き、野球ネタを出してしまいました。

野球がわからない人、ごめんなさい!

でも、しばらく出てなかったキャラを出せたのは嬉しく思います!

今回はかなりねじ込んだ感もありますが(笑)

暑くて力が出ませんが、それにめげずに頑張って書こうと思います。

それではまた次回!

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