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第34話 父と息子の時間

こんにちわ!

最近ますます暑くなってキツイです…!

季節も6月になり、ますます暑くなる天気。今日も天気は快晴で、眩しい日差しが街を照らしている。そんな中、俺はもっと熱い場所にいた。

「よっしゃー!続け続けー!」

って叫んでいるのは俺じゃなくて俺の親父、森義和である。今、俺と親父は西武ドームにて絶賛野球観戦中だ。丁度セ・パ交流戦真っ只中で、今日は親父が大好きな西武ライオンズと中日ドラゴンズの試合を見に来ている。親父は昔から根っからのライオンズファンで、俺も小さい頃からよく西武ドームまでライオンズ戦に連れてってもらっていた。今日は親父も仕事が休みだし、俺も予定がなかったので、二人で行くことにした。お袋にも声を掛けたんだが、クライアントから頼まれた絵の仕上げをしたいと言っていたので、来ていない。因みに今の状況は、先頭バッターの秋山がツーベースヒットで出塁したところだった。

「相手は大野だし、ここは手堅く送って確実に一点を取ったほうがいいんじゃない?相手も調子悪くないみたいだし。」

「何を言ってるんだタク!だからこそ攻めていかなければだめなんだ。ライオンズはいいバッターが多いから得意な攻め技で行ったほうがいいぞ!」

「そんなに上手くいくのかなぁ…。」

俺が思ったことを言うと、親父は独自の理論でそう言い放った。そして俺の予想は的中した。浅村のヒットで一塁三塁にしたまでは良かったが、続くメヒアと中村はあっけなく三振。山川もショートゴロに討ち取られて結局2者残塁無得点に終わった。

「ああっ!そんなバカなぁ!」

「だから言ったじゃん!俺だって伊達にキャッチャーやってなかったからこれ位の戦術思いつくわ!」

悔しがる親父。まぁ、これで無得点は悲しすぎるからな。俺達が座っていた内野指定席は溜息に包まれていた。

「だがまだ試合は始まったばかりだ。次のチャンスを逃さなければいい。」

「そうだよ親父。だからそんなに凹むなって!」

と俺が言った直後に悲劇が…。

「あ…。」

「な、何ぃ!」

ドラゴンズのバッター平田が初球をホームランにし、あっさりと先制されてしまった。親父が鳩が豆鉄砲を食らったような顔で呆けている。

「十亀ぇ、何やってんだぁ!」

「落ち着けって親父、まだ一点だろ!」

そしてマウンドに向かって野次る親父を静止する俺。結局、この回はその一点で終わり、その後両チームに点は入らなかった。そしてそのまま8回裏まで来てしまったが…。

「ここで一発出ればいいんだけどなぁ。」

親父が切実にそう呟く。たしかにそうだが、そう都合よく行くのだろうか?

「うーん。どうだろう。確かにここで逆転できれば次抑えて終わりだもんね。」

俺は親父にそうとしか言えなかった。因みに今の状況は、ツーアウトから浅村がフォアボールで出塁して、打席にはメヒアが立っている状況だ。

「大丈夫だ!チャンスある限り、それをものにするのがプロ野球なんだぞ、タク!」

親父は目を血走らせながらそう言った。これで凡退したらショックで血管キレそうで心配だよ。そう思ったその直後…。カキーン!

「お、これは!」

「そのまま行けぇ!」

打球はどんどんレフトへ伸びていき…そのままスタンドインした。

「おおっ、入った!」

「よっしゃあ!逆転だぁ!よくやったぞメヒアァー!」

親父のテンションは最高潮に達した。とりあえず、逆転したのは良かったけど、これじゃあさっき俺が思ってたのと違う意味で血管キレそうで少し心配だわ。その後、9回は牧田が危なげなく抑えて、2-1でライオンズが勝利した。

「ワッハッハ!どうだ言っただろう?勝負は最後まで分からないと!」

「はいはい。でも、あそこで逆転できて良かったね。」

ヒーローインタビューを聞き終えて、親父は上機嫌で俺の隣を歩いている。ライオンズは勝ったけど、ドラゴンズは負けたな。日本では中日ファンの寶藍は今頃多分悲しんでるな。因みに俺の応援しているヤクルトスワローズは、4-1で千葉ロッテマリーンズに勝った。良かった!

「ところでタク!」

「何?」

「お前、もうどっちにするか決めたのか?」

「だから何?」

親父がよくわからない質問をしてきた。一体何のことだ?

「決まってるじゃないか。ボラムちゃんとステイシーちゃん、どっちをお嫁さんにするかだぞ!」

「いきなり何だよ!」

お、親父!何かと思えばそんな訳のわからん質問してくるなんて…。

「なんだ、決めてなかったのか。」

「そう言う問題じゃねぇ!なんでいきなり結婚話になってんだよ!」

俺がそう言うと、親父は溜息を付きながら言った。

「まったく、お前は勿体無いことをしてるんだぞ、タク。お前と仲良くしてくれているあんなキレイな女の子が二人もいるっていうのにチャンスを棒に振るなんて。」

「そういうことじゃないって。あいつらは普通の腐れ縁っていうか…親友だって。」

寶藍とステイシーがどう思っているかなんて俺には完璧には分からない。確かにあいつらは美人で勉強もできていいやつで魅力的なのは付き合いが長い俺にはよくわかる。でも、俺があいつらに相応しい男かというのは疑問だ。現にあの二人は学園内でもアイドルとか女神的な扱いを受けているし、あいつらを好きになった男も多いだろう。俺があいつらと普段仲良くしていることを羨ましがっているやつも多いし、中にはそれをよく思っていないやつもいるかもしれない。

「またそんなこと言って。父さんに比べればお前の学園生活なんて羨ましすぎる限りだ。」

「そうか?」

「当たり前だ。父さんもな、学生のうちにドラマみたいな恋愛してみたかったさ。でも男子校の工業高校だったし、職場も男ばかりで出会いなんてなかった。まぁ、そんな中母さんに出会えたから良かったけど、出会いが欲しいのに機会がない人間から見ると、お前は相当恵まれているんだぞ。」

親父がそう熱弁した。確かにそうかもしれないけど、仲が良い女友達がいるからってそれが恋愛や結婚に結び付くとは限らないと思うけどな。

「でもまぁ、もしあいつらに好きなやつが出来たら俺は親友として応援できるぞ。俺は信頼してるし、あいつらが付き合った人にケチつけるほど幼稚じゃないからな。」

誰が誰を好きになろうと、本人同士が良ければそれでいいと思う。いちいちそれに文句を言うのは、自分が恋愛できないのを棚に上げて嫉妬しているみたいで俺は好きじゃない。

「そうか。タクがそれでよければ父さんもそれでいい。お前の幸せはお前自身のものだからな。だけどタク、これだけは言わせてくれ。」

「何だよ。」

親父が久々に真面目な顔を見せて話し始めた。

「父さんはどんな形であってもタクが幸せになってくれれば嬉しいさ。だけどな、後悔するようなことだけはしてほしくないんだ。あの時いしていればよかったとか。親友のことを思えるのはいいことだけど、もう少し自分に自信を持って、自分に素直に生きろ。」

「自分に素直…か。」

確かにそれは大事だよな。俺はアニメ好きのせいで残念イケメンだとかマイナスイメージばかり持たれているような気がするけど、でも自分が好きなものは好き、それは譲れないと考えている。だから、今後もその考えは変わらないだろう。

「さぁ、帰ろう!母さんが待っているぞ!」

「おう、そうだな!」

なんだかんだで親父と充実した時間を過ごせた俺は、そのまま帰りの電車に乗り、日が沈みかけた所沢の地を後にしたのだった。

こんにちわ!

この間西武ドームで野球観戦してきたので、義和がライオンズファンであるとの設定をこの回で活かして見たいと思い、今回のお話ができました。

次回以降からまだ活かしきれていない設定を盛り込んで行きたいと思います!

それではまたお楽しみに!

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