番外編 ファーストコンタクトinシカゴ
前回はキリがいいところで終わったので、再び番外編です。
今回はステイシーの話です!
私、ステイシー・バーネットはアメリカのシカゴから日本にある西東京国際大学に留学中だ。元々日本のマンガとかアニメが好きで日本語の勉強も始めたし、以前から一度日本に行ってみたいと思っていたので、その願いが無事に叶った。でも、もっと嬉しいことがあった。それは、モリ・タクトとの再会である。正直予想外過ぎてびっくりしたけど、前に会ったときよりもずっとカッコよくなっていて会えたときはとても嬉しかった。ずっと連絡は取ってなかったけど、日本に来たらもしかしたら会えるかもしれない。そう思ってたけど、まさか同じ学校だとは思わなったわ。そんな私とタクトとの出会いは、高校一年のときだった。
−5年前、7月上旬、米国シカゴ近郊−
「ただいまー!」
その時、私は中学を卒業したばかりで、高校入学前の夏休みを過ごしていた。ちょうど友達と出かけていて、帰ってきたとき、お父さんとお母さんがリビングに私を呼んだ。
「あら、おかえりステイシー!」
「お前が帰ってくるのを待っていたんだ。」
お父さんとお母さんは何やら紙を持ってリビングのテーブルに座っており、3歳年下の弟もなぜか嬉しそうな顔でそこにいた。
「どうしたのみんな?なんかあったの?」
私が聞くと、お父さんが笑顔で話し始めた。
「実はうち、留学生のホストファミリーになろうと思ってね。なんか募集してたから応募したんだ。」
「へぇ、良かったじゃん。」
私がそう言うと、今度はお母さんが話し始めた。
「あんたも9月から高校通うし、色々な経験をした方がいいと思ったから立候補したんだけど、あんたはどう?」
「私は大歓迎よ。別に断る理由はないし。」
「なら良かった。」
私がそう言うと、父がそう言った。そして、今度は弟が横で言った。
「姉ちゃん、相手が男でも手を出すなよ。ハマると抜けられないのは俺がよく知ってるから。」
「う、うるさい!そんなこと無いわよ!ちょっとこっち来なさい!」
「わーい、怒った怒ったー!」
からかった弟を追い掛け回しながら、私は心の中でこう思っていた。
(ホストファミリーか。どんな子が来るんだろう?)
期待に胸を込めながら時間は過ぎていき、その二週間後にその答えが分かった。
「おーい、うちに来る子が決まったぞー!」
お父さんが大声でそう言いながら私達をリビングに呼んだ。
「あら、どんな子かしら?」
「日本人の男の子だそうだ。」
お母さんにお父さんがそう答える。そして弟が横から言った。
「やったじゃん。アニメ好きな姉ちゃんの話し相手にはもってこいかもな!ってゆうか父さん、写真見せてよ!」
するとお父さんがその子のプロフィールを見せてくれた。
「あら、中々可愛らしい子じゃない。」
「おお、漫画の主人公みたいだな!」
お母さんと弟は嬉しそうにそう言っていた。そしてお父さんが付け加えるように言った。
「この子の名前はタクト・モリ。歳はステイシー、お前と同い年で同じ高校に通う予定だ。だから学校で困っていたらお前がサポートしてあげなさい。」
「うん、わかったわ!任せて!」
私はそう言いながらもう一度写真を見た。東洋人独特の童顔さはあったが、非常に整った顔立ちをしていた。知り合いにアジア系の人は何人かいたけれど、その人たちと比べたらずっとカッコよかった。
(素敵な子だなぁ。早く会いたいなぁ。)
何か、胸の奥から熱いものが込み上げてくるように感じながら、私は心の中でそう呟いた。今まで誰かを好きになったり、ボーイフレンドができたことは無かったけど、この子が最初のボーイフレンドだったらいいかなと恥ずかしながら妄想してしまった。そして時は流れ、ついに彼がうちに来る日がやって来た。
「じゃあ、行ってくるね!」
「行ってらっしゃーい!」
この日は両親が空港までその子を迎えに行き、私と弟が家の片付け等の準備をしていた。準備をしながら私は…
(早く来ないかなぁ。あー、でもどうしよう?変な子だと思われないか心配だわ!どうしよう、ドキドキしちゃうじゃない!)
と思っていた。
「姉ちゃん。出かけるわけじゃないのに今日の服気合入ってるね。やっぱりイケメンが来るから?」
「ち、違うわよ!これは…その…第一印象を悪くしないためのマナーよ!これから家で一緒に過ごすんだからこれくらいは普通よ!」
「ふーん。」
弟に言われて焦る私。でも半分は当たっていた。日本の男はおしゃれな女性が好きだと聞いたことがあるし、少しでも彼からの印象をよくしたいと思ってた私だった。そして2時間後…。
「ただいまー!」
「連れてきたわよー!」
両親が空港から帰ってきた。玄関に来てみると両親と共にその子はいた。
「彼が今日から家で過ごすモリ・タクト君だ。タクト、この二人は私達の娘と息子だ。」
お父さんがその子に私達を紹介すると、その子は少し緊張気味で話し始めた。
「初めまして!日本の東京から来ました森拓人です!今日からみんなと仲良くしたいのでよろしくお願いします!」
「初めまして!私はステイシー・バーネットよ!よろしくね!」
私と彼=森拓人は玄関で握手を交わした。そして私は彼を見た瞬間思った。
(カッコイイ…。)
今まで日本人男性は小柄で童顔、ちんちくりんなイメージしかなかったけど、タクトはまるでファッションモデルのように背が高くスタイル抜群な美男子だった。写真でみた時から素敵だと思ってたけど、実際会ってみて完全に私の心は打ち抜かれていた。所謂、一目惚れだった。
「姉ちゃん、顔赤いよ。」
「うるさいわね!気のせいよ!」
弟に一喝した私そして、両親はタクトを家に招き入れ、荷物を部屋に置いて整理したあと、そのままディナータイムになった。
「わぁ、美味しい!こんなにごちそうしてもらってありがとうございます!」
「硬いよタクト!今日から私達は家族なんだからもっと気楽になさい!」
お母さんがまだ緊張しながらも美味しそうにご飯を食べるタクトに優しく話しかけた。そして私も話しかけた。
「ねえ、タクト!あんた日本人ならアニメとか漫画とか詳しい?」
「うん、ステイシーだっけ?大好きだよ!エヴァンゲリオンとか犬夜叉とか!」
「ホント?私も大好き!」
「マジで!?良かった!ホストファミリーに自分と同じ趣味のこんなキレイな娘がいて!」
「そう?ウフフ…!私、日本のアニメ好きで高校から日本語の勉強始めようと思っているから色々教えて!」
「おお、いいぜ!俺にも英語とかアメリカでの生活とかいっぱい教えてくれよ!」
「もちろんよ!」
その後、夕飯を食べ終えて5人でリビングでたくさん談笑し、タクトはすっかり家に馴染んでいた。そして、寝る直前、私はタクトを自分の部屋に招き入れた。
「どうしたの?」
「いいから入って!」
私はそう言い、タクトは私の部屋に恐る恐る入ってきた。
「何緊張してんのよ?」
「いやぁ、女の子の部屋に入るの久しぶりで…。」
「そうなの?かっこいいからそういうのに慣れていると思ったわ!」
「全然違うよ。ってゆうかすごいグッズの量だね。」
タクトは私の部屋にある大量のコミックやフィギュア、コスプレ用衣装に目を輝かせていた。
「もっと良いものがあるわ!」
「え、何?」
タクトは不思議そうな顔でそう聞いた。そして私は…。
「ギューッ!」
「え、ちょっと!何?」
日本にはこういう習慣が無いのか、ハグされたタクトは少し恥ずかしそうに戸惑っていた。
「ようこそアメリカへ!そしてようこそ我が家へ!これからよろしくね、タクト!このハグはうちに来てくれたご褒美よ!」
「そ、そうかありがとう!あ、ステイシー確か9月から俺と同じ高校通うんだよな?色々頼りにしてるぜ!」
「もちろんよ!なんでも聞いてね!」
その後、タクトと遅くまでアニメや日本について語り合い、お互い部屋に戻って就寝したのは日付を回ってからだった。これが私とタクトととの素敵なファーストコンタクトである。一生忘れることはないだろう。
おはようございます!
寶藍の番外編も書いたので、ステイシーのも書きたいと思っておりました。
ホームステイは家族との相性が大切でトラブルもあるみたいですけど、拓人君は馴染めたみたいですね!
風邪引いちゃいました。気をつけてたのにどうしてでしょう?
早く治して仕事や執筆に全力を出したいです!
次回は本編です!
お楽しみに!




