第33話 さぁ、打ち上げの時間だ!
こんにちわ!
前回、見事な漫才を繰り広げた3人!
八王子祭もいよいよフィナーレです!
ぽかぽかと暖かくなり始めた6月上旬の快晴の空の下、八王子祭りは大いに盛り上がりを見せ、今年も無事に終了した。その夜…。
「今日はみんなありがとうな!さぁ、待ちに待った打ち上げの時間だ!とことん楽しもう!」
箱根のコスプレイベントとの時と同様に、健介先輩がピールの入ったジョッキを片手にやけにハイテンションで仕切っている。そう、ここは八王子駅前にあるとある居酒屋だ。何をしているかというと、勿論今日の八王子祭りの打ち上げだ。
「みんなのお陰で屋台の方も無事メニューが売れたし、ステージパフォーマンスも見事だった。本当にありがとう!」
健介先輩は更に上機嫌になってみんなに感謝の言葉を述べた。そう、俺達の屋台のクレープと大判焼きは祭りの終了時間の二時間前にはすでに完売し、ステージパフォーマンスでの漫才もかなり受けて、周りの人から「面白かったよ、ありがとう!」等の褒め言葉を沢山頂いた。やっぱりどんなことでもうまく行くのは嬉しいよな。
「それでは、今日特に頑張ってくれた春菜ちゃんから一言お願いします!」
「あ、はい!」
健介先輩に言われて、春菜ちゃんが飲み物を持った状態で立ち上がった。
「皆さん、本日は本当にお疲れ様でした。最初は屋台メニューをみんな買ってくれるかすごく不安でした。ですけど、こうして無事完売し、最後まで楽しくできて大変嬉しく思います!ありがとうございました!」
「よし、ありがとう!じゃあ、次はモリタク!」
「ええっ?!俺ですか?!」
春菜ちゃんが言い終わった直後に、健介先輩が俺に振ってきた。そ、そんなぁ。いきなり言われても困るのに…。そう思いつつ、何か言おうと思った俺は椅子から立ち上がり、口を開いた。
「え~。本日は皆様お疲れ様でした!屋台もステージも両方頑張れたので良かったです!寶藍、ステイシー、ありがとうな!」
「うん!」
「どういたしまして!」
寶藍とステイシーも嬉しそうに俺に微笑んだ。俺が話し終わると、再び健介先輩が話し始める。
「よし!長くなっちゃったけど、改めてお疲れ様!打ち上げもゆっくり楽しもうな!かんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
乾杯の合図と共に、俺達は一斉に飲んだり食べたりし始める。うん、どれも中々美味いぞ!因みに俺達2年生と1年生はみんな未成年だからソフトドリンクだけどな。
「タクちゃーん!お疲れ様!楽しかったわ!」
俺の隣に座っていた寶藍が俺の腕にしがみつきながら言ってくる。
「おう!こっちもありがとうな!中々ナイスボケだったぞ!」
「当然よ!幼馴染なんだし、こういう時の息はピッタリよね、あたし達!」
「ハハハ、そうだな。」
俺達が話していると隣から「ゴホン!」と咳払いする声が聞こえた。ステイシーだった。
「タクト!私はどうだった?」
「ああ、お前も面白かったぞ!」
「ホント?サンキュー!」
「にしても、自分で言うのもあれだけど、あんなくっだらねーネタよく思いついたなぁ。」
「タクトはユーモアあるからね。かっこよくて面白い男はモテるわよ!」
「そうか、ありがとうな!」
「じゃあ、ご褒美に…。」
「ん?」
「ギューッ!」
「オワッ!」
ステイシーがここぞとばかりに俺に抱きついてきた。しかも結構力が強い。いてぇ…。そして横にいた寶藍は…。
「な、何やってんのよアンタは!」
「いいじゃない、別に!」
「もう、あんたはそ~やって隙見ては抱きついてばかり!本当に油断できないわね!」
「それはあなたも同じよボラム!なによ、タクトの隣に座れたからって顔赤くしてデレデレしちゃって!」
「あ、赤くなってないしデレてもいないし!」
「バレバレよ!」
「うっさいわね!」
あーあ、せっかく漫才を通して仲良く慣れたと思ったのにまた喧嘩してるよ、こいつら。まぁ、いいや。怪我人出るレベルの乱闘までいくことはないし、放っておこう。
「モリタク殿!ここでもネタを披露してくれてありがとうでござる!」
「ネタじゃねぇし!」
幹夫がジンジャーエールを片手に変なこと言ってきたぞ!
「お主たちのやり取りはやはり漫才でござる!」
「変なこと言うなよ幹夫!」
「でも、ネタが受けてて良かったじゃない。見てて本当に等身大のみんなを出し切ってて面白かったわ!周りの人お客さんも大笑いしてたし。」
「ま、まぁ…そうですね。」
夏美先輩に褒められて少し照れる俺。でもまぁ…そうだよな。滑って周りの空気を凍りつかせなくて本当に良かったと思う。
「「それにしてもモリタク先輩。あのネタ先輩が書いたって言ってましたけど、どういう風に思いながら作ったんですか?」」
下川優太・蒼太の双子がコーラを飲みながらユニゾンで聞いてきた。息ぴったりすぎだろ。
「ああ、あれは俺とあいつらの普段のやり取りに外国人がよく間違える日本のことを織り交ぜて作っただけだから大したことはしてないぞ。まさか、あそこまでウケるとは俺もビックリしたわ!」
「「へぇ。でも面白かったです!ありがとうございました!」」
双子が再びユニゾンで俺のネタを褒め、礼を言う。しかし、今思い出しても本当によくウケたな。今まで八王子祭りのステージイベントで漫才をする人は何人かいた。でも、トリオ漫才、しかも日本人男性一人と外国人女性二人というメンバー構成は多分前例が無かったと思う。しかもこの二人は超が付くほどの美人。そんなのが真顔でボケをかます場面はかなりシュールだったと思う。
「おーい!お前らー。料理が覚めるぞ!どんどん飲みながら食え!それと本当にみんなご苦労様!大学最後の年に八王子祭りを全力でできて俺は嬉しいぞ!」
そう言ったのは健介先輩だ。そうだ。4年の健介先輩は来年卒業だ。ちょっと寂しくなるかもな。
「ところで、健介先輩は卒業後の進路とかって決まっているんですか?」
俺が健介先輩にそう質問すると、健介先輩はなぜか急に汗をかきながら気まずそうに答えた。
「う…。そ、そうだな。色々受けてはいるんだが、まだ内定は出ていない…。でも大丈夫…だと思う。」
酒が入っているのに顔を青くしながら答えた健介先輩。う~ん。景気があんま良くないとは言え、やはり内定を取るってことは簡単なことじゃないんだな。俺も気をつけよう。
「因みに、今何社くらい受けているでござるか?」
「い、今25社位だ!だが安心しろ!一社最終選考まで残ってるのがあるから次こそは見てろ!」
健介先輩は立ち上がり、拳を握って決意を新たにした。是非頑張って欲しい。その後も俺達は打ち上げを楽しみ、最高の時間を過ごしたのだった。
こんにちわ!
八王子祭りが終わりました!
書いているうちに作者までお祭りに行きたくなってしまいましたが(笑)
にしても暑い!
夏バテしそうです!
夏バテで次回を書けなくなるなんてことが無いように気をつけます!
それではまた次回!




