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第32話 トリオ・ザ・インターナショナル

こんにちわ!

皆さん、連休を楽しんでますか?

現在八王子駅前は、毎年恒例の八王子祭りで大いに盛り上がっている。俺達サブカルチャー研究会が運営しているクレープと大判焼きの屋台も春菜ちゃんの活躍によって出だしから売上好調だ。そんな中、俺、寶藍、ステイシーの三人は一度屋台から離れ、ある準備をしていた。

「寶藍、ステイシー。準備はいいか?」

「タクちゃんが一緒だから大丈夫よ!」

「箱根のお陰でこういう事に免疫ついているから平気よ!」

「そうか、なら良かった!」

どうやら二人共緊張はしていないらしい。まぁ、俺も最近人前に出る機会が増えているからそんなに心配してはいないんだが。そう、八王子祭りの目玉イベントの一つ。ステージイベントの舞台裏に俺たち三人はいた。ステージイベントに出演するのは主に地元の学生や社会人の同好会で、丁度俺達の前の団体がステージ上でパフォーマンスをしていた。因みに、その団体とは地元にある三味線倶楽部で、見事な演奏を繰り広げてお客さんからも大喝采だった。

「あれが三味線ね。」

「初めて見たけどいい音ね!」

寶藍とステイシーも母国では中々見られない見事な三味線の演奏にすっかり釘付けになっていた。だが、俺達だってステージイベントに出る以上、恥を晒すわけにはいかない。

『ありがとうございました!八王子三味線会の皆様、素晴らしい演奏でした。続いては…。おお、西東京国際大学サブカルチャー研究会の皆さんです!どうぞ!』

MCのお姉さんからお呼びがかかった。

「よし、行くぞ二人共!」

「了解!」

「オッケー!」

自信満々で俺達はステージへと上がっていった。


ー5月下旬、最後の会議終了後ー

「「「漫才?!」」」

拓人、寶藍、ステイシーの三人は声を揃えて驚きながらそう言った。

「そうでござる。お主たちのやり取りを漫才にして披露すれば大ウケ間違いなしと見た。」

「安西くんの言う通りよ。だって面白いもん、三人。」

そう言ったのは幹夫と夏美だった。すると寶藍はふと疑問に思い、聞いた。

「でもあれって二人でやるもんじゃないの?」

「いや、別に三人でもできるぞ。」

拓人は寶藍にそう言った。すると今度はステイシーが質問した。

「ネタはどうすんのよ?誰かが書かなきゃいけないでしょ?」

「それはモリタク殿しかいないでござる!」

「ええっ、俺?!」

幹夫の言葉に拓人は驚いた。

「モリタク殿しかおらぬだろう。二人とは昔から付き合いがあるお主なら上手く書けるであろう!」

「そんなもんか?」

「とにかく、これは決定事項でござる!とにかく幸運を祈ろう!」

「分かったよ…。」

こうしてステージイベントはトリオ漫才に決まったのだった。


ー戻って、八王子祭りステージイベントー

「どうもー、トリオ・ザ・インターナショナルです!よろしくお願いしまーす!」

俺はステージに上がるなり、全力で挨拶をした。因みに、トリオ名は国際色豊かだからという理由で適当に俺が付けた。

「俺が日本人の森拓人で…。」

「私が韓国人の尹寶藍で…。」

「私がアメリカ人のステイシーバーネットです!」

うん、お客さんから拍手が聞こえてくるぞ。出だしは大丈夫そうだな。

「ねぇ、タクちゃん!」

「ん、何だ寶藍?」

「この間、韓国から持ってきたキムチが辛すぎるって日本人の友達に、言われたんだけどどうすればいい?」

「そうだな。日本人向けに少し甘くするとかどうだ?」

「そうか。その手があったか!ならいい案があるわ!」

「どんな案だ?」

「簡単よ!日本人が好きなものを入れればいいのよ!」

「何を入れるんだ?」

「うーん!アンコ!」

「やめろ、キムチじゃなくなるだろ!」

「案だけにあんを入れれば上手いと思ったのに…。」

「うまくねぇ!むしろマズいわ!」

ウケた。良かった。とりあえず、問題なさそうだ。次はステイシーの番だ。

「私は日本に来て変なことばかり感じるわ!」

「ん、そうか?」

「だって、日本はどうして左側通行なの?ややこしすぎて最初怖かったわ!」

「そりゃあ仕方ないだろ。昔、侍がすれ違う時左側通行の方が刀がぶつからないからそれが続いているだけだ。」

「侍なんてどこにも居ないじゃない!」

「当たり前だ!」

「落雷なんてどこにも起きてないじゃない!」

「しょっちゅう起こってたら怖いわ!」

「ここは傀儡じゃないじゃない!」

「やめろ危ねえだろ!もはや侍関係ねえじゃねぇか!」

ステイシーのボケも受けているぞ!良かった。ネタは俺が普段の二人とのやり取りを元に、外国人が疑問に思っていることを取り入れて書いてみたんだが…上手く行った。やってみるもんだな。こうして俺達の漫才は最後までしっかりと笑いを取り、一度も噛まずに最後までやり切った。

「とにかく日本は変わりすぎよ!」

「そんなことねぇよ!」

「あるわ!神秘の国とは言ってもこれじゃ神妙な国じゃない!」

「でも、お前らそんな国に留学してきたじゃねえじゃねぇか。」

「そうよ!」

「だって!」

「「日本の男は優しいから旦那にしたい!」」

「男目当てかーい!もういいよ!ありがとうございました!」

「アニョン!」

「See you!」

こうして俺達のステージイベントは大成功で終わった。

『面白かったですね!トリオ・ザ・インターナショナルの皆さん!ありがとうございました!』

MCのお姉さんに案内され、お客さんから拍手で迎えられて、俺達は笑顔でステージ裏へと退場していったのだった。

こんにちわ!

私はお笑いが好きですが、自分でネタを書くのって結構難しいですね。

さぁ、八王子祭もいよいよ佳境です!

次回もお楽しみに!

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