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第31話 春菜ちゃん頑張る!

こんにちわ!

今回は春菜ちゃんにスポットを当ててみました!

激動だった5月が終わり、ついに6月になった。ここでようやく一息つける…というわけではなく、俺達サブカルチャー研究会一同は朝から慌しく動いていた。

「よし、重い器具などは俺達男性陣、材料や装飾は女性陣が運んでくれ!」

健介先輩が元気一杯に指示を出す。そう、今日は待ちに待った八王子祭り当日だ。先輩に言われた通り、俺達は重い調理器具や、屋台用のテント一式を目的の場所まで運ぶ。

「重いでござる。某も材料係が良かったでござる。」

「文句言うな幹夫。こういうのは俺達男子の仕事だぞ!」

見た目に似合わず非力な幹夫に俺はそう言う。でも確かに重い。去年もテントを運んだ俺だったが、なにせ今年は駅から遠い所に屋台を構えなきゃいけないので、歩く距離も長く、結構な重労働だった。何とか目的地に必要なものを運び込んた俺達だったが、また次の準備が待ち受けていた。

「よし、テントを組み立てよう。それが終わったら装飾と仕込みだ。」

健介先輩に言われて俺達はテントを組み立てる。それが終わると、今度は女性陣の出番だ。皆で作った屋台装飾を綺麗に飾り付けていくのだ。

「わぁ、綺麗!」

「私達にかかればこんなの楽勝よ!」

寶藍とステイシーが目を輝かせながらそう言う。うん、確かに洒落ている。去年のも良かったが、今年のも結構いいぞ。

「わぁ、すごいですね!じゃあ、ここからは私の出番ですね!」

そう言ったのは春菜ちゃんだ。いつになく気合が入っている春菜ちゃんは、そのままテントの中に入り、材料を取り出して仕込みを始めた。

「それにしても楽しそうね、春菜ちゃん。」

「はい!私、こういうイベント大好きなんです!楽しみすぎて昨日は中々眠れないくらいでした!」

夏美先輩に対し、そう言った春菜ちゃん。そして、春菜ちゃんは慣れた手つきで順調に仕込みを済ませていったのだった。


「いらっしゃいませ!」

「まいど、ありがとうございました!」

ついに今年も八王子祭りがスタートした。土曜日で尚且つ天気も快晴だったので、沢山の人で賑わっていた。因みに俺達が屋台で出したものはクレープと大判焼きだった。

「すみません、クレープ一つ下さい!」

「はい、お味はどうされますか?」

「うーん。じゃあバナナで!」

「かしこまりました!バナナクレープ一丁!」

「はい、了解です!」

俺は注文を取りながら後ろで調理担当の春菜ちゃんに伝えた。そして春菜ちゃんはあっという間にクレープを焼き上げ、素早く綺麗に盛り付けをした。

「お待たせしました!ありがとうございます!」

出来上がったクレープを俺はお客さんに渡した。しかし、いつ見ても見事な出来だな。春菜ちゃん、将来お菓子屋さんに向いているかも。

「しかし、駅から遠いと言うのに予想以上に好評ですね。」

「ふん!そうだろう!春菜ちゃんがここまで頑張ってくれたからな!」

感心している俺に健介先輩がそう返す。今回クレープと大判焼きを提案したのは実は春菜ちゃんだった。元々お菓子作りが好きな春菜ちゃんは、屋台でやるなら絶対にクレープと大判焼きがウケるし、自分には上手く作れると自信満々だった。実際、よくお菓子を作っては俺達に振る舞っていたが、とにかく上手い!だからみんな春菜ちゃんの案に反対する人はいなかった。

「先輩方!クレープの売上がどんどん伸びてきてます!今度はもっと大判焼きを売り込みましょう!」

春菜ちゃんが目にも止まらぬ速さで大判焼きを美味しそうに焼き上げながらそう言った。それにしても本当に器用だな、春菜ちゃん。今は丁度昼前なのだが、クレープも大判焼きも中々のペースで売れている。普通、素人が出す屋台は作るのが間に合わずお客さんを待たせてしまうことがよくあるのだが、春菜ちゃん方あっという間に大量に作り上げてくれるおかげで、すぐに出すことができる。それに伴って俺達の屋台の評判が上がっているのか、お客さんの数も増えてきた。

「にしてもどんどん勢いが増してきたな。」

「そうでござろう!なにせ寶藍殿とステイシー殿があそこまで頑張っておるからのう。」

俺の呟きに幹夫がそう言った。そう、屋台の前では寶藍とステイシーが奮闘していたからだ。

「いらっしゃいませ!大判焼きいかがですか!」

「美味しいクレープもありますよ!」

具体的に寶藍とステイシーがどう頑張っているかと言うと、セクシーなメイド服を着て屋台前でお客さんを呼び込んでいた。二人共綺麗だし、スタイル抜群なのでメイド服がとても似合う。男性客が多いのはそのせいだろうか!

「いいぞ!寶藍、ステイシー!似合ってるぞ!その調子でもっと呼び込め!」

俺が屋台から二人に声をかけると、二人は笑顔で振り返り…。

「タクちゃん!任せておいて!」

「私の力があればどんな人でも呼び込めるわ!あ、でもタクトが好きなのは変わらないから安心しなさい!」

「あんたこんな時に何言ってんのよ!」

「何よ!ボラムだって本当はタクトに見てほしくてメイド服着たんでしょ!」

「うっさいわね!あんたみたいな肉食獣と一緒にしないでよ!」

「ちょっと!ボラム先輩、ステイシー先輩!喧嘩してないでもっと呼びこんで下さいよ!」

「「ごめん…。」」

口喧嘩を始めた二人に春菜ちゃんがクレープを薄く伸ばしながら一喝した。ごめんね春菜ちゃん。あとで叱っておくから。二人はしょんぼりしたあと、また元気に呼び込みを始めた。

「なぁ、優太!」

「いえ、僕は蒼太です。」

「ごめん、間違えた!」

隣にいた双子をまた間違えてしまった。やれやれ、いつ覚えられるんだろう?

「蒼太、どうだ!こういうイベントは?」

「楽しいです!」

「そうか?良かった!」

「高校の時の学園祭以来ですけど、やっぱりいいですよね!」

「だろ。俺も去年初めて参加したときは色々面倒なこともあったけど楽しいよな!」

「はい!」

「結構売れてますし、最高の気分です!」

双子のもう片方がそう言う。初めは駅から遠くてどうなるかと思ったが、幹夫とステイシーが言った通り、良い物を出せば近い遠いなんて関係なかったのだ。

「とにかくまだ一日は長いから、頑張ろうな!蒼太!」

「いえ、僕が優太です!」

「早く僕達の区別ができるようになって下さいよ、モリタク先輩!」

「ごめん!」

やっぱりまだ双子の顔を覚えられない俺だったが、皆の頑張りもあり、午前の売上は予想を遥かに上回った。

「わーい嬉しいです!作った甲斐がありました!」

嬉しそうにはしゃぐ春菜ちゃん。良かった。後輩の君のいい思い出作りに貢献できそうで。

「次は先輩方、頑張ってください!」

「そうだぞモリタク!午後はお前達に掛かってるんだからな。」

春菜ちゃんと健介先輩がそう言う。そうだった。午後にはステージでのイベントに出ることになってるんだった。果たして大丈夫かな。そう思いながら、俺達は時間まで仕事に打ち込むのだった。

こんにちわ!

学校で出し物をするのっていいですね!

私も随分前にやりました(笑)

さあ、次回はステージイベントです。

拓人君たちは一体何をやるのか?

次回もお楽しみに!

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