第25話 ホスファミVS先輩
こんばんわ!
風邪も治り、完全復活です(笑)
よろしくです!
有希子先輩から予想外の告白を受けたり、その次の日に愛先輩と麗先輩から色々事情を聞かれたりと波乱だった今週を終え、何とか休日を迎えた。
「タクトー、こっちこっち! Hurry up!」
「待てよステイシー!嬉しいのは分かるけど、そんなに急ぐなよ。」
やけに上機嫌で俺の腕を引っ張るステイシー。今日は二人でお出かけである。
「ここが池袋ね!雑誌で見るよりもずっと立派じゃない!」
「そうだろ!お前、前から行きたがってたから今日は楽しもうぜ!」
俺達は今、池袋に遊びに来ている。今ではサンシャインや乙女ロードなど、すっかり観光スポットになっており、外国人旅行者も多いんだとか。ステイシーは前からに興味津々だったが、本日その念願の夢が叶ったのだ。
「まずはサンシャイン水族館だな!」
「OK!日本の水族館がどんな所か楽しみよ!」
池袋の駅から降りた俺達は、そのままサンシャイン水族館ヘ向かう。小学校の頃何度か来たことがあるが、その頃に比べると今はだいぶ改装されており、生き物の種類も増えている。中に入り、鰯の大群、でかい鮫、見たこともない深海生物等を順番に見ていく。
「タクト見て!ラッコよ!」
「おお、可愛いじゃん。」
そして俺達はラッコのブースヘ辿り着いた。巨大な水槽の中で、数匹のラッコたちが気持ち良さそうに泳いでいる。すると…。
「WOW、あの二匹手を繋いでいるわ!」
「ホントだ!微笑ましい光景だな。」
「じゃあ、私達も!」
ステイシーは俺の右手を握ってきて…。
「ギューッ!」
「イテテテ!ステイシー、力で入れ過ぎだって!」
「Sorry、見てたらなんかやりたくなっちゃって!」
「加減をしろ、加減を!」
「もう、ボラムの時は文句言わないくせに。」
「ま、まぁ…。それにしてもあいつ大丈夫なのか?」
寶藍は今週末の夕方辺りから少し体調が悪いと言っており、その夜に熱が出たらしく、今日は部屋で休んでいる。昔は病気知らずで元気だったのだが、一度来たことがあるとは言え久々の日本だ。異国の地で色々忙しければ疲れも出るだろう。でもあいつの事だから休み中にゆっくりしていれば来週の授業からは出てこれるはずだ。すると、後ろから声が聞こえてきた。
「ねぇ、ママ。ラッコと一緒にあそこのお兄ちゃんとお姉ちゃんも手を繋いでいるよ。夫婦なの?」
「こ、コラ!何変なこと言っているの!すみません、この子ったら…。ほら、早く行くわよ!」
後ろにいた男の子が、俺達を見ながらそんなことを行ったのでその子のお母さんが慌てた表情で俺達に謝り、恥ずかしそうにその場から男の子の手を引いて走り去っていった。俺も少し恥ずかしかったが、ステイシーはなぜかご機嫌だった。その後も俺達は淡水魚や爬虫類・両生類のコーナーや可愛い動物たちを見たりした後に昼休憩を取り、午後はアシカのショーを見ることにした。
「なんてキュートなの!アメリカの水族館でも見たことあるけど、どこの国でもアシカショーが1番グレートね!大好きよ!」
「そうだな!こう言うテンションが上がるイベントがあると一番嬉しいもんな。」
ステージのアシカたちは巧みにボールを操ったり、音楽に合わせて踊ったりと見事なパフォーマンスを披露していき、俺達も含めてお客さんからは拍手喝采だった。
『本日はご覧いただき、真にありがとうございました!またのお越しを心よりお待ちしております!』
ステージ上でアシカのトレーナーであるお姉さんが元気よく皆に挨拶し、ショーは最高の盛り上がりで幕を閉じた。その後、俺たち二人は少しブラブラしたあと、水族館を出て、オタクの聖地の一つ、乙女ロードヘ向かった。
「凄いわね!アニメやマンガのグッズがこんなに沢山あるなんて!」
「そうだろ!ステイシーここ来たら絶対喜ぶと思ってな!」
「Thank youタクト!これはご褒美のハグよ!」
「うわっ!あ、ありがと…。」
段々とステイシーにハグされるのが慣れてきたことはさておいて、俺達はここで買い物をする事にした。
「折角だし、シカゴの家族へ送るお土産が欲しいわ。何がいいかしら?」
「そーだな。服とかアクセサリーとかはどうだ?あと文房具とかよく使うものがいいんじゃないか?」
「それはNice Ideaね!これと、これと、これに決めたわ!」
ステイシーはタオルやらTシャツやらを選び、嬉しそうへレジへ向かう。因みにバーネット一家はみんな日本の文化に関心があり、勿論日本のアニメや時代劇もよく見ていた。俺も欲しかったフィギュアやクリアファイルを買い、二人で外に出たときだった。
「あら、森くんにステイシーちゃんじゃない。」
「ゆ、有希子先輩!」
出口でなんと有希子先輩とばったり会ったのである。この日もおしゃれをバッチリと決めており、その美貌は一際目立っていた。
「どうしてここに?」
「ちょっと買いたいものがあってね。私だって少しくらいアニメに興味あるわよ。」
俺が聞くと有希子先輩はそう答える。すると今度はステイシーが聞いた。
「先輩、イギリスに行くみたいですね。頑張って下さい。」
「ありがとう、ステイシーちゃん!今日も可愛いわね!」
屈託のない笑顔でステイシーに微笑む有希子先輩。この輝かしい笑顔が誰からも好かれる理由なのだろうか?
「ところで森君とステイシーちゃんはどうしてここへ!二人でデート?」
「まぁ、二人でサンシャイン水族館行って、それから乙女ロードで買い物でもしようかと!」
「タクトのお陰で楽しいデートができました♡さすが私のファミリーね!」
ちょっと俺達をからかうように聞いてきた先輩。俺は少し恥ずかしそうに答え、ステイシーは相変わらずハイテンションだった。
「そう。楽しい一日を過ごせて良かったわね。ところで森君、あれから考えは変わった?」
「えっ…?」
俺は先輩に聞かれ、言葉が詰まってしまった。どうしよう、いきなり聞かれても…。
「二人何かあったの?」
「い、いやぁこれはだな。」
俺は事情を説明しようとしたが、先輩の言葉がそれを遮った。
「私、森くんに告白したの!だって森くんのことが大好きだし、どうしても森くんの彼女になりたい!振られたけどこの思いは変わらないわ!」
有希子先輩がそういった瞬間、ステイシー変わらないわ顔を真っ赤にして慌てた。
「ちょっとタクトどういう事?告白したのって有希子先輩なの?でもこの間断ったって言ったじゃない!」
「落ち着け、とりあえず落ち着いてくれステイシー!」
取り乱すステイシーを宥める俺の横で、有希子先輩は更に言葉を重ねる。
「私だったらあなたを敬遠したりしない!オタク趣味や野球好きだって平気!顔だけで選んだりもしてないし、森くんの中身だって大好きよ!だからもう一度言うわ!私を森くんの彼女にして下さい!」
「お断りします!タクトには私がいるのでそんな勝手はさせません!」
なんと俺が返事を言う前に、ステイシーが断りの返事をした。一体どうしたんだ、ステイシー?すると先輩は少し怒った目でステイシーを睨みつけて言った。
「勝手なのはどっちかしら?ステイシーちゃん、あなたは森くんの何?」
「大切な家族よ!だから私にも意見する権利があるわ!」
「じゃあ、何?ちゃんと付き合っているとでも言えるの?」
「そ、それは…。」
「想いも伝えられないのに、そっちこそ身勝手な事言わないでくれる?」
今まで見たことがない位の有希子先輩が出す威圧感に、俺もステイシーも黙り込んでしまった。先輩、怖えよ…。
「じゃあ、そういうことだから私はこれで帰るわね!それと森くんはちゃんと考えておいてね!SEE YOU,Boys and girls!」
先輩はそれだけ言い残して、その場から去っていった。
「タクト!」
「ん、どうしたステイシー?」
「私負けないから!」
「え?は、はぁ…。」
ステイシーが何と勝負しているのかよくわからない俺は、生返事しか出来なかった。
「それと、もし有希子先輩と付き合ったら許さないわ。」
「んなこと言われても…はぁ。」
穏便に解決どころか事態はどんどんややこしくなっている気がする。まじでどうすればいいんだろう。正直彼女作る気にはまだ慣れないし。そう考えつつ、俺はステイシーのご機嫌を取りながら別の店に行き、買い物を続けた。そうだ、寶藍への御見舞の品も買っておかないとな。
こんばんは!
いつにもまして今回はバチバチしましたね。
それにしても有希子の宣戦布告、これは凄まじい威力だと思いました。
まだ今後の展開についてまとまっていませんが、しっかり整理して書こうと思います!
次回もお楽しみに!




