第24話 分かってちょーだい
こんにちわ。
風邪でダウンしてましたが、頑張って書きます!
俺が有希子先輩から告白されて、それを振ってから1日経ち、特に何の変哲も無くその日は過ぎていく。今日も普段通りに授業を受け、寶藍やステイシー達と楽しくお喋りしたりといつもと何も変わりない。有希子先輩とは今日はまだ一回も会ってないし、連絡先も知らないので何もなければこの日は平和に終了だ。
「じゃあ、またな~!」
「バイバーイ!」
この日もすべての授業を終えた俺達は5月の木漏れ日とそよ風を受けながら家路へと向かった。寮に済む寶藍、ステイシーや一人暮らしの翔太と別れ、電車通学の俺と幹夫はバスに乗り込み、駅を目指す。
「モリタク殿!」
「ん、どうした幹夫?」
バスの座席に座った時、幹夫が俺に話しかけてきた。
「告白された時、有希子先輩は諦めてないと言ったでござるな?」
「うん、言ってたよ。」
「でも、本日は何もしてこなかったでござる。真にモリタク殿のことが好きだと信じて良いのだろうか?」
確かにアニメやドラマだと、好きな人に振られて、それでも諦められない場合は次の日から好かれようとアプローチかけたりするシーンあるもんな。
「まぁ、別にそれでいいんじゃないの?これで何もなければ無事に終わるし。」
諦めてくれるならそれでいいし、本気だとしてもストーカーみたいなことされたらたまったもんじゃない。大人しくしてくれたほうがこちらとしてはありがたかった。そう考えていると…。
「あ、森君だ!」
「安西君も一緒にいるわ!」
女性二人が乗ってきて俺達に気づいた。知ってる人なので俺も挨拶する。
「どうも。愛先輩、麗先輩。」
その二人とは、黒いポニーテールにジーパンを履いている片倉愛先輩と、赤っぽく染めたセミロングにスカートを履いた北野麗先輩。そう、寶藍やステイシーが来た初日に俺と一緒に留学生アシスタントをやった人だ。言い忘れたが、この二人は俺と同じ学科の1学年先輩、つまり有希子先輩とは同級生である。
「ねぇ、森君。今日このあと時間ある?」
「今日ですか?まぁ、バイト無いですし平気ですけど。」
麗先輩の質問にそう答える俺。すると今度は愛先輩が言った。
「そう、よかった。ちょっと話したい事あるから、駅前の店行こうと思ってね。」
「そうですか。別にいいですよ。」
なんの話かは…もしかしたらあのことかもしれないけどとりあえず断る理由もなかったので行くことにした。
「安西君もね。」
「お供しても良いでござるか?」
「いいわよ。」
麗先輩が幹夫も誘う。そして俺達を乗せたバスは駅に到着し、バスから降りた俺達は駅前にあるビルに入った。この中にはスーパーの他、上の階にフードコートがあり、うちの大学の学生がよく利用している。俺達は階段を上がり、少し歩いたところにあるインド料理店ヘ入った。
「イラッシャイマセ!何名様デスカ?」
「4人です。」
「カシコマリマシタ!コチラドーゾ!」
インド人の店員が俺達を奥の席に案内する。ここのカレーはかなり本格的でメニューも多く、どれを食べても結構美味い。俺もお気に入りの店の一つである。
「ゴ注文ハ決マリマシタカ?」
「えっと、シーフードカレー。辛さマックスでお願いします。」
俺は辛いものが好きだ。だからここに来ると必ずカレーの辛さをマックスにしてもらう。よくみんなから胃に悪いんじゃないのかと言われるが、これで体を壊したことはない。みんな注文を終えて店員が奥に下がると、愛先輩が口を開いた。
「ねぇ、森君。」
「はい。」
「昨日有希子から告白受けたでしょ?」
うわぁ、やっぱりだ。いきなり来ちゃったよこの話題。
「ええ、手紙渡されて書かれてた場所に行ったらいきなり…。」
俺はその時の状況を正直に話した。すると今度は麗先輩が聞いてきた。
「断ったんだよね?」
「はい、今は恋愛するつもりは無いので。」
俺がそう言うと、二人は難しい顔をしてため息をついた。何か悪い事言っただろうか?
「某もモリタク殿もどういう事かチンプンカンプンでござる。何かご存知なのであれは、教えて下され。」
幹夫がそう言う。二人は有希子先輩と同じ学科の同級生だから、もしかしたら何か知っているかもしれない。すると愛先輩が口を開いた。
「実はね、前から相談受けてたの。有希子が森くんのことが好きなこと。そして昨日告白して振られたことも今朝聞いたわ。」
「有希子先輩、何か言ってましたか?」
俺は愛先輩に聞いた。
「がっかりしてたけど、これで諦める気は無いってさ。有希子らしいわね。」
愛先輩はそう答えた。そして今度は麗先輩が残念そうに話し始めた。
「はぁ、なんか勿体無いわね。有希子が本気で森君の事が好きって聞いたときは嬉しかったんだけど、撃沈かぁ。」
がっかりした様子で水を飲む麗先輩の横で、今度は愛先輩が話し始めた。
「私も森君と有希子のカップルはお似合いだと思ったんだけどなぁ。有希子、美人で性格いいのに中々の男運無くって…。あの子の初彼氏が森君なら全力で応援したのに。」
どうやら有希子先輩は二人に俺が振ったことを話したみたいだな。まぁ、同じ学科の仲いい友達ならこの位は相談するか。でもまだ本心が見えてこない。
「それで、話したいことって何なんですか?」
俺は二人に聞いた。すると麗先輩は真剣な顔で話し始めた。
「森君ってさ。今後の人生でも恋愛する気はないの?」
「いえ、無いことはないですけど。」
「有希子は嫌?いじられてばかりだから苦手?」
「有希子先輩は素敵な人だと思いますよ。イジられるのはちょっと面倒臭いけど嫌いじゃないです。」
「じゃあなんで断ったの?」
う…麗先輩、少し顔が怖い。でも答えなきゃ。
「いやぁ、あの。確かに有希子先輩は美人で頭良くていい人だってことは知ってます。でも俺は遊びの恋愛はしたくないだけです。恋愛するなら社会人になってからでも遅くないですし、将来的に1番愛せる人と結婚できたらなって思ってまして。」
俺は本音を話す。付き合って、別れてを繰り返した所で一つもカッコいいと思わないし、一人っ子である俺は両親を心配させたくないからしっかり働いて、独立して、それから好きな人と出会って結婚していきたいと考えている。
「そう、私はてっきり男が好きなんじゃないかって思ってたわ!」
「違いますから!」
愛先輩に全力で突っ込む俺。全く、なんて事考えているんだ。
「でもこの間、イケメンの先輩達に告白されて掘られる夢を見たと言っていたから少しはそっちの気があるのでござ…。」
「うるせえ!余計なこと言うな!」
幹夫がまた変なことを言い始めた。全く、あんな悪夢を思い出させるなよ。そもそも掘られてないし。すると、今度は麗先輩が言った。
「最初私はボラムちゃんとステイシーちゃんのどっちかと付き合ってるんだとばっかり思ってたわ。でも違うみたいね。」
「なんであいつらの名前が出てくるんですか?あいつらは腐れ縁ですよ。」
俺がそう言うと、二人は更に深い溜め息をついて言った。
「全く、有希子も言ってたけど本当に鈍感よね。」
「森君、もう少し女心というのを理解しなよ。こんなにイケメンで頭いいのにそれじゃあいつまでも彼女できないわよ。」
説教された。でも、女心って本当にわからないな。因みに先輩二人には彼氏がいるのだが、その彼氏はどうやって女心を理解したのだろうか?
「まぁ、でも俺…さっきも言いましたけど学生のうちは恋愛するつもりは無いので。」
「またそんなこと言って。大学ならデートする時間も女の子と出会う機会も社会人より恵まれてるのに勿体無いよ!」
俺の言葉に麗先輩がきついツッコミを入れる。そして愛先輩も…。
「そうよ、大学で出会って結婚した人もいるわ。だから学生時代の出会いも大事よ!」
とツッコんだ。んなこと言われても実感が沸かない。
「とにかく、私達は有希子の親友としてあの子に好きな人がいるなら全力で応援したいし、森君も期待の後輩だから勉強も恋愛も頑張ってほしいの!」
麗先輩は大声で俺に言い放つ。恋愛はともかく…勉強は頑張ってますよ。
「有希子は確かにおちゃらけてて、森君もしょっちゅうイジられて疲れてると思うけど、あの子はホントにいい子よ。だからもし気が変わったなら森くんがあの子の彼氏になって欲しいな。私的には。」
愛先輩がそう言うけど、俺が先輩の彼氏になるなんて…全く想像できない。
「先輩達の言いたい事はよく分かりました。でも俺は、自分が心から好きになった人と一緒になりたいです。だから半端な気持ちで付き合うのは嫌です。」
俺は皆にそう言った。うちの両親の様に人前でずーっといちゃつける関係までとは行かないが、相思相愛になれる関係に憧れるな、俺。
「そう、頑張んなさい。でも有希子のことも頭に入れておいてね。」
愛先輩はそう言った。まぁ多分卒業しても有希子先輩この事は忘れないだろう。インパクト強いし。
「あ、料理が来たでござる。」
幹夫が言う。俺達が話している間に全員分の料理ができ、運ばれてきた。俺も自分が頼んだシーフードカレー、辛さマックス(ナン付き)を受け取った。
「わぁ、美味しそう!」
「じゃあ、食べよ!」
愛先輩と麗先輩は目を輝かせながら言った。因みに愛先輩はマトンカレー、麗先輩はほうれん草カレー、幹夫はチキンカレーだ(みんな辛さは普通)。お腹減ったし早く食べたい。
「じゃあ、頂きます。」
俺達は運ばれてきたカレーを食べ始めた。美味い!やっぱりカレーは激辛だな。色々あって疲れたけど、カレーの旨さはその疲れを忘れさせてくれそうだった。
こんにちわ!
病み上がりで頭が上手く回らず、ちゃんとかけた自信がありません。
最近やり取り中心の話が多く、何かアクションを入れられたらと思っております!
次回あたりは何か入れようかと模索中です。
お楽しみに!




