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第20話 イケメンオタクは辛すぎる!

おはようございます!

箱根編が終わったので、またいつもの感じに戻ります!

コスプレイベントが無事終了し、俺は地元の日野に戻ってきた。終わったあともまたあの祝賀会で盛り上がり、夏美先輩が酔って暴走したり、寶藍とステイシーがいつものようにあーだこーだ言い合ったりしたが、まぁこれはこれで平和だと思い、楽しめたから良かった。帰った次の日は一日中ゆっくりしてテレビ見たりして過ごしていた。疲れを溜めちゃ駄目だからな。遊び過ぎて5月病にならないよう、ゴールデンウィーク最終日までのんびりしたかった俺だが、今日はそうもいかない。因みに俺が今どこで何してるかというと、新宿のとある飲食店にいた。時刻は夜六時、店が混み始める時間帯だ。

「今日はありがとな、モリタク!」

「いいえ、大丈夫です。」

俺に話しかけたのは、川本省吾かわもとしょうごさん。高校の時の1学年上の先輩で、俺が2年生の時野球部で4番でキャプテンだった人だ。それ以外にも、省吾さんの大学の友達が二人来ていた。しばらく待っていると…。

「こんばんわ!遅くなりました!」

外から声が聞こえてきて、やけにお洒落を決めている今時風の若い女性が4人入ってきた。おそらく全員女子大生だろう。そう、今日は人生初の合コンという物に参加することになった。はぁ、どうしてこうなったんだろう?


ことの発端はその日の午前まで遡る。俺は部屋で漫画を読んでいたが、突然電話が掛かってきた。

「もしもし?」

「よぉ、モリタク!俺だ、川本だ!」

「あ、省吾さん!お久しぶりです、どうしたんですか?」

「実はお前に頼みたいことがあってな。」

「何でしょう。俺にできることなら協力しますが。」

俺がそう言うと、省吾さんは理由を説明し始めた。

「実は、今日友達と合コン行くんだけど、一人来られなくなっちまってな。人数足りないからお前に来てほしいんだ。」

俺は最初変な冗談だと思ったが、いつも堂々としている省吾さんの声が少し焦り気味に聞こえるので、嘘ではないと察知した。

「でも俺、合コンなんて行ったことないですし、トークも自信ないんですけど。まだ未成年なんで酒も飲めないですし。」

「大丈夫。もし好みの娘がいなかったら食べ続けていればいいし、その辺は気にするな。」

「はぁ…。」

「とにかく、向こうも時間を作ってくれたんだし今更断れない。他のやつ誘ったらみんな都合悪くて断られちまったんだ。だからお願い!」 

「分かりました。とりあえず、形だけの参加ですね。」

「ありがとな!お前の代金は俺が奢るから。」

そう言って俺は電話を切った。合コンか。たまにテレビで合コンとか言ってるけど、実際はどうなんだろう?そう思いながら俺は漫画の続きを読み始めた。


そしてその夜。俺達四人は席につき、入ってきた四人の女の子を出迎えた。それにしても、どこから連れてきたんだろう?

「よし、全員揃ったみたいだし、自己紹介するか!」

そう言って省吾さんが口を開く。

「改めまして。俺は川本省吾!明教めいきょう大学の三年生です!ヨロシク!」

「同じく高橋次郎たかはしじろうです。」

小林靖こばやしやすしです。二人とは同級生です。」

三人はノリノリ且つ随分大雑把な自己紹介を終えた。

「おい、モリタク!お前も自己紹介しろ!」

「え、ああ。すいません!」

ぼーっとしてた俺を先輩が促し、俺も自己紹介した。

「どうも、川本さんの高校の後輩で西東京国際大学2年の森拓人です。」

初めてで結構恥ずかしかったが、まぁ噛まなかったしいいだろ。そして女性陣の自己紹介が始まる。

「初めまして!私は石橋咲いしばしさき!緑山学院みどりやまがくいん大学三年生です!そして右から順番に同級生の…」

大友友梨おおともゆりです!」

本田美佳ほんだみかです!」

野口結衣のぐちゆいです、ヨロシク!」

さっきの先輩達以上に大雑把な自己紹介を終え、いよいよ合コンスタート!みんな大学の話、ファッションの話などでワイワイ盛り上がっている。しかし、恥ずかしがり屋で口下手な俺は当たり前のように会話に入っていけなかった。まぁ、でも俺、人数合わせのサクラだし、いいか!そう思うと気が楽になり、出て来る料理のもじっくり味わえた。うん、美味い!また別の機会にこの店使おうかな。すると、前の女の子達が俺の方を見ながら何やらヒソヒソ話し始めた。

「ねぇ、あの子ってモデルか何か?」

「私も思った。すごいイケメンだよね!」

「しかも西東京国際だっけ?あそこ公立大学だから頭いいってこと?」

「あんた話しかけなさいよ!」

「そんなぁ、変なこと言って引かれたらやだし。」

なんて感じで聞こえてきた。大丈夫です。引いたりしません。むしろ話しかけてくれないと、俺はこのまま黙って飯を味わう事しかできませんよ。すると、俺の向かいの女の子が話しかけてきた。大友友梨さんだっけか?

「ねぇ、森くんだっけ?」

「はいそうです。」

「森くんって趣味はどんな感じなの?」

「趣味ですか?まぁ、アニメ見たり漫画読んだりゲームしたり…。あ、好きなキャラのコスプレとかもしますよ!」

と自信満々に言ったが、なぜか女性四人は黙ってしまった?何かまずかったのか?

「ヘへぇ、そうなんだ…。アニメとか以外は?」

今度は本田さんが聞いてきた。

「あとは…。プロ野球好きでよく神宮球場に行きますね!他には家電量販店巡りとか、カラオケとか。」

「そうなんだ。ごめん、私Jリーグしか見ないから分かんない。」

本田さんが少し残念そうに言う。すみません、俺はJリーグあまり詳しくないので。

「結構意外だね。もっとバーベキューとかアウトドア派でお洒落な趣味があると思ったわ。」

石橋さんがそう言った。ごめんなさいね。インドアマニアックで。その後も俺は女の子達と話が弾むことがないまま合コンは終わった。でもサクラとしての役割は果たせたつもりだ。先輩達は仲良くなって連絡先も交換できたみたいだし。

「モリタク、急に呼び出して悪かったな。」

「いえ。ご飯美味しかったので良かったです!」

「そうか、女の子と仲良くなれたか?」 

「全然ですね。むしろドン引かれました。」

「そうか。まぁお前イケメンだし頭いいし、いずれ素敵な出会いがあるさ!」

「はぁ、ありがとうございます。」

省吾さんは上手いこと女の子と仲良くなれたらしくご機嫌だった。その後お会計を済ませ、俺達は帰宅することになった。駅へ向かう途中、女の子の会話が聞こえてきたのだが…。

「ねぇ、あのイケメンの子ちょっと残念だったね。」

「あそこまでガチヲタだったとは。」

「期待してただけにねぇ…。」

「なんか…ギャップありすぎてちょっとごめんなさいって感じ。」

「見た目が抜群にいいのに勿体無いと思ったわ。」

どうも女性にはオタク趣味というかインドア派は受けが悪いみたいだな。人は見てくれじゃないとは言うが。結局俺は女性陣に残念な印象を植え付けただけで終わった。まぁいいか。考えても仕方ない、これが俺なんだし。

どうも。

今回は合コンでしたが、作者は合コンに一度も行ったことがないので書けるか不安でした。

次回からまた舞台を学校に戻します。

お楽しみに!

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