第15話 決戦、ファッションショー!
前回少し中途半端な形だったので、今回はバッチリと決めたいです。
各コスプレイヤー達の自信と緊張が入り交じる複雑な雰囲気の中、コスプレファッションショーがついに開幕した。このファッションショーは、レイヤー達が順番にステージを歩き、そのレイヤー達を五人の審査員が審査するシステムだ。その場で点数が発表されるので、出てきたあとの緊張感が半端なかった。去年俺は幹夫と今は卒業した先輩と出たのだが、入賞も出来なくて悔しかった。今年は違うぞ!こうしている間にも、次々とレイヤーが出てきて審査されており、俺達の出番が近づいてきた。どうしよう?ドキドキする。すると、俺達の前の出番の山口さんが話しかけてきた。
「兄ちゃん、緊張しとるようやな?」
「そりゃぁそうですよ。今年はみんなレベル高いですし。」
「そやな。でもまぁ頑張ろうや!」
「そうですね!ありがとうございます!」
声をかけてくれた山口さんにお礼を言った。すると、山口さん達の出番が来た。ドラゴンボールの格好の三人はステージに上がって早々すごい拍手で迎えられた。パフォーマンスもしっかり元のキャラを再現出来ており、審査員の表情も笑顔だ。結局三人は最高得点を記録し、笑顔で退場した。
「寶藍、ステイシー!出番だぞ!」
「ええ、思い切って行きましょう!」
「この時に全てをかけていくわ!」
そう言って俺達はステージに上がったのだ。
「さぁ、続いては…西東京国際大学からご参加の三人!おお、新世紀エヴァンゲリオンのコスプレです!どうぞ、ご登場下さい!」
MCのお兄さんに言われて、俺達は三人揃って舞台袖から出た。その時の周りの反応は…
「おお、素晴らしい!」
「きゃあ!シンジくんカッコイイー♡」
「レイちゃーん!こっち向いてくれ!」
「あの外人の女の子…まさにリアルアスカだ!女神だ!女神が降臨した!」
よし!お客さんからの評価はいいぞ!声援に応えて、俺達三人は客席に手を振りながら笑顔を振りまく。だが、本番はこれからだ!
「よし、二人共!行くぞ!」
「「了解!」」
俺の声を合図に、二人が長い道の入り口の両サイドに片膝と両手を着く。そして俺はその真ん中で同じようにセットした。端から見ると、陸上短距離のスタートみたいだ。
「おおっと、何が始まるのか?」
MCのお兄さん、審査員、そしてお客さん達も何が始まるんだろうと言う感じで俺達を見ている。フフフ…皆さん、お見せしましょうか!
「二人共、いいか?」
「うん!」
「オッケーよ!」
「よし、スタート!」
俺がそう言って、二人も同時に長い道の先端目指して走り出す。そして先端に到達した時に俺は思いっきり叫んだ。
「全開!」
俺が叫ぶと同時に三人は丸く並んで両手を上げ、手の平を広げた。まるで、空から降ってきた巨大な物を受け止めるように。
「おお、これはあの3体のエヴァンゲリオンが空から降ってきた使徒を受け止めるシーンの再現か!」
そう、見たことある人は分かるかも知れないが、これは宇宙から降ってきた使徒を三人で手で受け止める超迫力あるあの場面を再現したものだ。サークルの活動中に何度も練習して全然うまく行かなくて寶藍とステイシーが揉めたこともあったが、今日はうまく行ったぞ。
「素晴らしい!まるで本当に使徒と戦っているみたいだ!」
MCのお兄さんのテンションが上がり、観客も更にエキサイトしている。
「ステイシー!」
「今よ!」
俺と寶藍がステイシーに声をかける。ステイシーはレプリカのナイフを取り出して、実際には何もないが、使徒がいるつもりで思いっきりナイフを刺した。決まった。全て上手く行ったぞ!
「お見事です!コスプレ、パフォーマンスの完成度も文句無しです!これは得点が楽しみですが、いかがでしょう?審査員の方々、得点の方をお願いします!」
お兄さんがそう言い、五人の審査員は得点を入れる。因みに一人10点なので50店満点だ。現在トップは山口さん達の47点である。これを抜くのは相当運がなきゃ無理だろう。そう思ったが…。
「さぁ得点が出ました!どうぞ!」
俺達三人は目をつぶり、祈り続けた。目を開けるのは怖かったが、そうもいかない。恐る恐る目を開けてみると…。
「な、なんという事だ!満点、満点です!これは大会始まって以来の快挙だ!」
なんと満点を取ってしまった!し、信じられない。
「やった!やったよタクちゃん!」
「どうしようタクト!嬉しくて涙出そう!」
寶藍とステイシーは俺の隣で感激している。俺は何が起こったか分からず、呆然としていた。予想外過ぎてびっくりだよ。その後も別のグループがアピールしたが、満点の俺たちを抜くことができるはずがなく、なんと優勝してしまった。
「優勝おめでとうございます!ご感想はいかがですか?」
お兄さんからトロフィーを受け取りながら、俺は答えた。
「すごくうれしいです。去年は入賞もできなかったので、まさか優勝できるとは思いませんでした。」
「いやぁ、素晴らしかったです!今回は衣装もそうですが、パフォーマンスも文句無しです!相当練習したんですか?」
「しましたね。中々上手く出来なかったんですけど、本番でできて良かったです。あと、この衣装は先輩が選んでくれたんですけど、大当たりでした!健介先輩ありがとー!」
俺はマイク越しに健介先輩に感謝した。その後、締めの挨拶が終わり、俺達三人はステージから降りた。
「ヨッシャ!モリタク、ボラムちゃん、ステイシーちゃん!素晴らしかったよ!」
「ありがとうございます!先輩のお陰です!」
健介先輩が満面の笑顔で俺達を迎えてくれた。
「あんなに練習したもんね!成果が出てよかったわね。」
夏美先輩も嬉しそうに近寄って、寶藍とステイシーを同時にハグした。二人共笑顔で先輩を見ている!
「モリタク殿ー!素晴らしかったでござる!某、嬉しくてたまらんでござる!」
「落ち着けよ幹夫!目が凄いことになっているぞ!」
ハイテンションの幹夫を落ち着かせる俺。すると寶藍が…
「タクちゃーん!私嬉しかったよー!タクちゃんと一緒で良かったぁ!」
カラコンで赤くなっている目を更に赤くして、涙を流しながら俺の腕にしがみついてきた。するとステイシーが…
「ちょっとボラム!どさくさに紛れてアンタってやつは!タクト!アタシも最高に嬉しいわ!もう、なんて言ったらいいのかしら!」
ステイシーも俺にギューッとハグしてきた。く、苦しい!
「ま、まぁとにかく終わりよけれ全てよしだ!とにかく俺からもありがとう!」
「でも、先輩達、本当にすごかったです!惚れ惚れしちゃいました!」
春菜ちゃんが目を輝かせながら俺達を祝福してくれた。
「「先輩達、おめでとうございます!先輩達とこのサークルに出会えて良かったと改めて思いました!」」
「おう、ありがとうな!下川ツインズ!」
双子も祝福してくれたので俺は二人にお礼を言った。すると…
「さぁ、次のイベントと行きましょうか!プログラムNo.2です!」
お兄さんがステージからマイクで呼びかけた。
「出番だぞ!幹夫、下川ツインズ!」
「頑張ってくるでござる!」
俺が幹夫と双子にエールを送る。
「頑張ってください、幹夫先輩!下川ツインズ!」
「かしこまったでござる、春菜殿!」
「「僕達の初陣ですが、全力で頑張ってきます!応援して下さい!」」
みんならエールを送られた幹夫と双子は、ステージ裏の受付に向かい、次のイベントに備えるのだった。
こんばんわ!
最近仕事が忙しくて、中々書けなくて更新が遅くなりがちですが許してください!
次回、幹夫くんと下川ツインズが大活躍する予定です!
お楽しみに!