第14話 拓人、襲来
お待たせしました。
イベント本番です!
俺達は部屋でコスプレ衣装に着替えた後、エレベーターホールに集合し、一度フロントで鍵を預けた後、会場に向けて出発した。
「みんな、気合入ってるな!忘れ物は無いか?」
「大丈夫です、先輩!準備は万端です!」
「そうか、よし!モリタク、初日はお前達にかかってるからな!」
「はい!」
健介先輩もやる気いっぱいだ。俺達はそのままバスに乗り、会場であるやすらぎの森ヘ向かったのだ。
「タクちゃん、似合ってるわ!カッコイイよ!」
「ありがとう!お前もすごく似合うぞ!」
「ホント?コマウォヨ!」
衣装を着込んだ寶藍もごきげんなようだ。それにしても本当に似合っていて可愛い。
「タクト!アタシはどう?」
今度はステイシーが笑顔で聞いてきた。
「お前もメッチャ似合ってんじゃん!惚れ惚れするくらい!」
「ありがとう、嬉しい!」
ステイシーもにっこり笑いながら俺にハグしてきた。こいつもマジで似合う。健介先輩のチョイスはドンピシャだった。俺達を乗せたバスはそのままやすらぎの森に到着。そして受付を済ませ、会場に入った。会場内は既に大勢のコスプレイヤーで溢れかえっている。見回してみると、どのコスプレイヤーも気合の入れようが半端なく、完成度の高いコスプレが沢山見受けられた。すると…
「おい、見ろよあの三人!」
「どれどれ?え、すごくない?」
「完成度高い!それにすごく美形だ!」
「まるで今にもエヴァに乗って出撃しそうね!」
なんて声が聞こえてきた。そう、健介先輩が俺、寶藍、ステイシーに指定してきた衣装。それは往年の人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のプラグスーツだった。俺は碇シンジ君の青いプラグスーツ、寶藍は綾波レイの白いスーツを着て、青いかつらと赤いカラーコンタクトを入れており、まるで本当にレイちゃんが画面から飛び出してきたようだった。ステイシーは惣流・アスカ・ラングレーの赤いスーツを着ている。元々金髪碧眼な上、スタイル抜群のステイシーはアスカのコスプレがぴったりだった。
「モリタク、どうだ俺のチョイスは?間違ってなかっただろ?」
「はい、他のレイヤーの方々に褒めてもらって嬉しいです。」
「先輩ありがとうございます!私、レイちゃん好きなんで、最高です!」
寶藍も嬉しそうだ。
「アスカ派の私も、こんなグレートな衣装をチョイスしてくれて本当に嬉しいです!ありがとう先輩!」
赤いスーツを着てツインテールを決めているステイシーもご機嫌だった。
「流石はモリタク殿!去年のルルーシュよりもハイクオリティでござる!」
「幹夫、お前もそれ似合いすぎるぞ!」
因みに幹夫のコスプレはアクセル・ワールドのハルユキだった。コンタクトを着け、学生服をバッチリと着込んでいる。今にもバーストリンクしそうだ。夏美先輩はマクロスFのシェリルだった。そこは俺達と同じ、エヴァのマリにして欲しいと思ったが、似合っているので文句は言わない。春菜ちゃんはイカ娘で、下川ツインズはタッチの拓也と和也だったが、どちらもよく似合っている。健介先輩は、全巻持っているというワンピースのサンジのコスプレをしていた。
「すみません!エヴァの三人、写真取らせてください!」
「サンジ様ー!こっち向いてー!」
「シェリルちゃーん!後で歌を聞かせてくださーぃ!」
俺達のコスプレは結構好評だったのか、入場早々他のレイヤーのみんなから写真を取らせてほしいとリクエストが殺到していた。よし、受けはいいぞ!すると、会場内の特設ステージからMCのお兄さんが出てきた。
「レイヤーの皆さん!おはようございます!今年もこの大イベントにご参加いただき、ありがとうございます!」
会場内から拍手が沸き起こる。
「今年も様々なプログラムを通して、皆さんの交流を深めていきたいと思います!皆さん、準備はいいですかー?」
「「うぉぉぉぉ!」」
お兄さんの掛け声に、会場のボルテージはますます上昇していった。
「ありがとうございます!それでは早速プログラム第一番といきましょう、どうぞ!」
お兄さんがそう言うと、後ろにあるスクリーンに文字が浮かび上がった。
「さぁ、まずは【一番美しいのは誰か?コスプレファッションショー!】エントリーされている方はステージ裏の受付までお願いします!」
コスプレファッションショーはモデルのファッションショーのように、ステージの真ん中をモデルの様に歩き、自身のコスプレを観客に披露するイベントだ。審査員が判定し、一番似合っているグループを決める。
「先輩達、出番ですよ!」
春菜ちゃんがそう言う。
「あ、ああ。行ってくる!行くぞ、寶藍、ステイシー!」
そう言って俺達三人はステージ裏ヘ向かったのだ。
「タクちゃんどうしよう?自信あったけど、他のみんなもすごく似合ってて不安だわ。」
「気にするな寶藍。お前も十分似合っている!俺達は俺達の様にやればいいさ!」
「そうよ、タクトの言うとおりだわ!アタシたちのコスプレが他の人に負けるわけないじゃない!」
寶藍は少し不安がっているが、ステイシーは自信満々だった。すると…
「なぁ、そこのエヴァの兄ちゃん達!」
後ろから声がした。振り向くと、ドラゴンボールの悟空、クリリン、ピッコロのコスプレをした三人組の若い男性がいた。
「はい、何でしょう?」
「いやぁ、そのシンジくんのコスプレよう似合っとるなぁ!どっから来たん?」
「僕達は東京の大学生です!」
「ホンマなん?ウチラは大阪から来たんや!」
「オオサカ…?ああ、たこ焼きが美味しいところね!」
ステイシーがそう答える。
「そうや!姉ちゃん外国の人やろ?日本語メッチャ上手いやん!」
「ありがとう!アタシはアメリカ出身のステイシーよ!」
「綾波もメッチャ似合ってるとるで!」
「ありがとう、私は尹寶藍!韓国出身です!」
「申し遅れました!僕は森拓人。生まれも育ちも東京日野市です!」
俺達は簡単にドラゴンボール三人組に自己紹介をした。すると悟空のコスプレをしたお兄さんが答えた。
「へぇ、国際色豊やん!ワシは山口雄二。東大阪の工務店勤務や!この二人はワシの可愛い後輩でクリリンが田口陽太郎で、ピッコロが小松正。」
「まいど!」
「よろしく!」
三人が自己紹介をする。そうか、大工さんだったのか。どうりで体格がいいわけだ。マッチョな体型にこのチョイスはピッタリだと思うぞ。
「よろしくお願いします!いやぁ、皆さんよくお似合いですね!でも、グランプリは渡しませんよ!」
俺が悟空の山口さんにそう言う。
「それはお互い様や!まぁ、こっちも譲る気は無いけどな!」
山口さんも自信があるのか、簡単には勝たせてもらえないようだった。望むところだ!
「皆さん!準備はよろしいですか?番号を呼ばれた方から順にステージに出てもらいますんで、スタンバイお願いします!」
スタッフのお姉さんがそう言うと、みんな真剣な表情になって舞台袖に並び始めた。
「寶藍、ステイシー!全力で行くぞ!」
「アラッソ!」
「オーライ!」
俺が二人に声をかける。良かった。さっきまで緊張していた寶藍も少しほぐれたようだ。
「じゃあ行くぞ!俺達の!」
「「「フルパワー全開!」」」
その掛け声で更に結束が高まった気がした。さぁ、行くぞ!審査員もお客さんもみんな見てくれ!俺達の本気のコスプレを!
こんばんわ!
拓人くんのコスプレはエヴァのシンジくんでした。
作者も一度本気でコスプレをしたいのですが、中々時間がありません(泣)
次回はファッションショーの他に、楽しいイベントがまだまだ続くので、お楽しみに!
それではまた次回!