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第10話 勢揃い!

秩父でのハプニングの次の日の物語を書いてみました。

三峰山から無事帰宅できた次の日。この日は日曜日だったので、俺はゆっくり自宅でテレビを見ていた。俺は基本的に日曜日は早起きだ。なぜかと言うと、朝は結構面白い番組が多い。俺の日曜日はまず特撮を見てから始まる。昨日の今日でメッチャ眠かったが、俺はいつも通り7時半に起きてジュウオウジャーを見ていた。その後仮面ライダーを見て、サンデーモーニングを見る。この習慣はもう随分前から染み付いているので、今更変えることは出来ない。見終わってからは暫くゲームの空色ヘヴンを進めていた。そしてお昼が近づいたところでケータイが鳴った。

「もしもし?お、着いたか!了解!迎えに行くから待ってろ。」

俺は電話を切って立ち上がる。

「親父、お袋!友達迎えに行ってくるわ。」

そう言って俺は家を出た。


そしてここは俺の自宅の最寄り駅。

「ハーイ、タクト!」

「おはようステイシー!疲れてないか?」

「ノープロブレム!へっちゃらよ!」

「じゃあ行くか!」

そう、ステイシーを迎えに行っていた。本当は今日は秋葉原でも行こうと思っていたが、昨日の件でお互い疲れていたので、よかったら俺の家に来ないかとステイシーに話していた。ステイシーは二つ返事でOKを出し、今に至る。

「タクトの家かぁ!楽しみ!」

「せっかく日本に来たのにまだお前を紹介できてないからな。いい機会だ。」

そう話しているうちに自宅へ到着し、二人で中に入った。

「帰ったよー!」

「おう、お帰りタク!」

「親父!この子だよ。俺のホストファミリーでアメリカから来たステイシー!」

「初めまして!ステイシー・バーネットです!」

「おお、これまた綺麗なお嬢さんだ!さあ、入って!」

親父のあとに続き、俺とステイシーはリビングに入った。すると、丁度昼飯の準備をしていたお袋が驚いた表情でこっちを見ている。

「お袋、紹介するよ!俺がシカゴにいた時のホストファミリーで、今うちの大学に留学しているステイシーだ。」

「あらぁ!写真で見たことあるけど、実際会うとやっぱりすごく美人ね!ステイシーちゃん、ゆっくりしていってね!」

「はい、ありがとうございます!お母さん!」

俺とステイシーはそのままテーブルに腰掛け、丁度昼飯も出来上がったので4人で食べることにした。

「いやぁ、遠くからよく来てくれたね!ようこそ日本へ!」

「ありがとう、お父さん!」

「ステイシーちゃん、随分日本語が上手ね!どこで勉強したの?」

「高校時代に日本語の授業を取っていて、大学では日本語を専攻しているんです。」

「そういえば、俺がいた時から日本語の勉強頑張ってたもんな!アニメとか見ながら!」

ステイシーは元々日本のアニメが好きで、その影響で日本語の授業があり、日本人との交流もある高校に進学していた。まさか大学まで日本語学科だとは思わなかったが。

「タクの留学時代かぁ、懐かしいな!ステイシーちゃん、タクのやつ、迷惑かけなかったか?」

「おい、親父!」

「この子、留学中一度も連絡寄越さなかったから心配だったのよ。」

「仕方ねーだろお袋。国際電話とか金がかかるから、そう簡単に連絡できねぇって。」

「タクトがうちに来てくれたおかげで、とても賑やかで楽しい生活が出来ました!両親や弟もホストファミリーがタクトで良かったと言ってますし。」

そうか、良かった。ホストファミリーみんなからそう言ってもらえると嬉しい。お義父さんやお義母さん達、元気でやってるかなぁ?

「俺もステイシーの家族がホストファミリーで良かったと思っているぞ。お陰で楽しい3ヶ月間だったぜ!」

「ホント?!ありがとうタクトー♡」

そう言ってステイシーはやっぱり俺にハグしてきた。もはやお約束になっている。するとうちの両親が満面の笑みで言った。

「いやぁ、いいね!我がイケメン息子がこんな美人の方と仲睦まじいのは嬉しい!」

「私もよ、義和さん!まるで結婚前の私達みたい♡」

いや、父さん母さん。あなた達二人は今もかなりラブラブですよ。その後も暫く話していると…

ピンポーン♪

うちのインターホンが鳴った。

「あら、誰かしら?」

お袋は立ち上がって、そのまま玄関に向かったのであった。

………………


拓人達が昼ご飯を食べながら談笑している間、ある少女が彼の家に向かっていた。

「ふんふふふーん〜♪」

鼻歌を歌いながらごきげんな様子で歩いているのは、茶色く染めたセミショートの髪の毛、切れ長の目、モデル並みのスタイルにバッチリとオシャレを決めている美女。そう、拓人の幼馴染の尹寶藍だ。

「タクちゃんたち、喜んでくれるかな?」

彼女が持っている大きめの袋の中にはタッパーに詰められた大量のキムチが入っている。このキムチは彼女の母が作った自家製だ。幼稚園時代は家が近く、親同士も仲が良かった森家と寶藍の家族。寶藍の母はよくキムチを作っては拓人の家族におすそ分けしていた。今回、母は韓国から寶藍にキムチを送ってくれたので、折角だから拓人の家まで持っていこうと思った寶藍だった。拓人の家に到着した寶藍はインターホンを押す。するとすぐに京子が出てきた。

「あら、ボラムちゃん!いらっしゃい!」

「おばさんこんにちは!ママが韓国からキムチを送ってくれたので、よかったら是非みんなで!」

「あらぁ、嬉しい!ボラムちゃん家のあの美味しいキムチがまた食べられるなんて!さぁ、上がって上がって!拓人達いるから!」

「はい!お邪魔します!」

寶藍はそのまま家に上がり、リビングに入る。

「やっほー!タクちゃん!キムチ持ってきたわよー!」

「おう、寶藍!いらっしゃい!」

しかしさっきまで笑顔だった寶藍の表情は険しくなる。なぜなら…

「な、何でステイシーがいるのよぉ!」

「あら、ボラム。来たのね。」

その状況を見て、がっくりと項垂れた寶藍だった。

……………


「寶藍、キムチありがとうな!早速今夜のおかずにするぜ!」

俺はもらったキムチを冷蔵庫にしまいながら感謝した。寶藍のお母さんが作るキムチは結構辛いが、スーパーのキムチとは比べ物にならない位美味い。またこの味が楽しめるのはとても嬉しい。

「そう言えば寶藍、昨日動物園行ったんだよな?どうだった?」

「うん、とても楽しかったわ!可愛い動物いっぱい見れたし!」

寶藍は笑顔でそう答える。良かった。いい一日過ごせたようで。

「タクちゃんは昨日何してたの?」

「俺か?俺は昨日…」

「あたしとタクトは昨日秩父でデートしてたの!すっごく楽しかったわ!」

俺の言葉を遮ってステイシーが答える。

「な、ちょっと!二人でデート?!聞いてないわよ!」

焦った顔で寶藍が叫ぶ。どうしたんだろう?

「いやぁ、でも大変だったよ。山から下りるときにイノシシに追いかけられるし、斜面から落ちて道に迷うし…とにかく疲れた。」

本当に昨日はどうなるかと思った。無事帰れたから良かったけど。

「ボラムだって私に隠れてこっそりタクトとデートした上に夜はお泊りしてたわよね。おあいこよ!」

「なんですってぇ!?この抜け駆けスケベ女!枯れ木でも抱いてろ!」

「何よ!あなたも人の事言えないじゃない!このデレデレ娘!そんなに擦り寄るのが好きなら壁にでもスリスリしてたら?」

やれやれ、俺の家でも揉めているよこの二人。何とかならないかな。

「いやぁ、いいねぇ!こんな美女二人がタクに積極的になってくれて…父さん嬉しいぞ!」

「私もよ!モテナイうちの息子についに春が来たのね!」

「親父、お袋、そんな事言ってる場合かよ…」

俺が呆れていると…

「ボラム、一度あなたと勝負する必要があるわね。」

「望むところよ!」

「じゃあコレで勝負しましょう!」

そう言ってステイシーが取り出したのはニンテンドー3DS。そしてポケットモンスターオメガルビーだった。

「いいわよ。あたしポケモン強いから!」

寶藍も3DSとアルファサファイアを取り出し、二人は対戦を始めた。まず、ステイシーのガブリアスが寶藍のハピナスを秒殺。その後寶藍はミロカロスを繰り出し、あっさりとガブリアスを倒した。だがそのミロカロスもステイシーのジャローダに破れ、ジャローダはその後繰り出されたニンフィアに敗れる。なんだろう?すごくいい対戦してる。だがコレでお互い残り一体。ステイシーが最後に繰り出したのは…

「コレで決めるわ!」

ラムパルドだった。攻撃がものすごく高いが防御はイマイチの化石ポケモンだ。

「そんなんで私を倒せると思うの?」

お互い、相手に効果が抜群の技を覚えていないので、両者は一進一退。そして…

「覚悟しなさい!これで終わりよ!」

ステイシーのラムパルドが岩タイプ最強の技、諸刃の頭突きを繰り出す。

「ああっ!ニンフィア!」

ボラムのニンフィアはあっさりとやられてしまったが…

「あ!しまった!」

ステイシーのラムパルドもHPがゼロになった。諸刃の頭突きは、相手に与えた分の半分のダメージも受けてしまうため、残りHPが少なかったラムパルドも戦闘不能に。

「お前ら、ポケモンでドローってめったに起きない現象だぞ…」

俺が呆れてそう言う。しかし二人は…

「こんなの納得できない!」

「もう一度ケリがつくまで勝負よ!」

そう言ってパーティーを変え、また勝負を始める。その後、暫くポケモンバトルに明け暮れる二人だった。


「はぁ、はぁ…あんたやるわね…ステイシー…」

「そっちこそ…なんてしぶといの…ボラム。」

「お前ら…本気出しすぎだろ。いくらなんでも。」

結局その後10回戦ったところで二人は力尽きた。戦績は最初のも含めて5勝5敗1分。なんつーか、二人共多分俺より強い。

「みんなー!そろそろ夕飯にしない?ボラムちゃんもステイシーちゃんも!」

母親が俺達を呼びかける。そうか、もんそんな時間か。気がつくといつの間にか母親が夕飯のおかずを作り終えていた。いつの間に作ったんだ?とりあえず、俺達は食卓につき、夕飯を食べる。もちろん寶藍のキムチも食卓に並んでいる。一人っ子の俺にとって、5人でうちの食卓を囲む光景は結構新鮮だ。

「いただきます!」

みんな食べ始めたところで親父が口を開いた。

「なぁ、タク!」

「何だよ親父?」

「お前、ボラムちゃんとステイシーちゃん、どっちがタイプだ?」

「「「ブブーッ!」」」

親父のその言葉に俺達三人は一斉に吹き出した。

「な、何だよいきなり!」

「いやぁ、お前…あんまり女っ気ないからどういうのがタイプか知りたくて。」

「あ、あのなぁ…」

俺が呆れる横で寶藍とステイシーが顔を真っ赤にして俯いている。

「俺は…そんなの決められないよ。二人共大切だし、どっちがいいとか悪いとかそういうので言い表せないと思う。」

その言葉に、二人は何とも言えない表情をしていた。すると今度はお袋が言った。

「ねぇ二人共!」

「はい!」

「なんでしょう?」

寶藍とステイシーがお袋の方へ向く。

「タクは魅力的だと思う?」

「はい!」

「もちろんです!」

二人は即答した。ちょっと恥ずかしかったが、魅力的だと思われているのには嬉しく感じた。

「ありがとう!ちょっと恥ずかしがり屋な所もあるけど、私もすごく魅力的な息子だと思うわ!だから…これからも仲良くしてあげてね!」

「「はい!」」

二人の声が珍しくシンクロした。そしてその顔はとても活き活きしているようにも見えた。

今日二人を見て思ったのが、確かに一見仲悪いようにも見えるが、俺を大切に思っていること、自分の気持ちに素直なことは変わらないんだということが改めてわかった気がする。俺にとって、女性としても人間としても非常に魅力的なんだと言うことがよく分かったのかも。

その後も俺達は楽しく談笑しながら夕飯を食べた。そして、楽しい時間はあっという間に過ぎ、夜の9時近くになっていた。

「じゃあ、俺は二人を駅まで送るから。」

「「お邪魔しました!」」

俺達三人は家を出て、駅へと向かう。こんな暗い夜道を女の子だけで歩かせるのは危険だからな。駅が近づいた時、俺は二人にどうしても言いたいことがあったので言った。

「寶藍、ステイシー!」

「何、タクちゃん?」

「どうしたの、タクト?」

「今日は楽しかったぜ。ありがとう!それと、俺はここでお前たちと再開できたことを心から嬉しく思う!だから、これからも仲良く頑張ろう!」

こんなモテない俺なのに、二人は俺と仲良くしてくれている。それだけで感謝でいっぱいだ。

「何言ってんのよ!幼馴染だから当然でしょ!」

「私達は家族なんだから、これからも一緒に頑張るわよ!」

「ありがとう!」

二人に感謝の言葉を伝え、駅についたのでそのまま二人を見送った。昨日、今日と色々あったが、なんだかんだでいい日々を過ごしていると思う。これもあいつらのお陰かな?

そう思いながら、俺は1人夜道の中家へと帰った。

ステイシーと拓人君のご両親、ついに対面でした。

本当はもう少し早く会わせたかったんですけどねぇ。

次回は再び学校を舞台に戻します!

お楽しみに!

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