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面の向こうの目はとろけそうな黄色だ。
急に恥ずかしくなり、頬が熱くなる。
「あ…ありが…とう…」
傷が喋ると痛い。
保障魔法は死なないだけらしい。傷口に手を当てると斬られたとおりにぱっくり割れている。
「血は止めたから今から縫ってあげる。じっとしててね」
黄色い目の人がおもむろに針と糸を出した。
「痛くないからね」
キュルキュルと音が鳴り始める。
針と糸が魔法で光だした。
慣れた手つきで黄色い目の人が僕の服をたくしあげて傷口を縫いだす。
僕は怯えて身をよじる。
「大丈夫だよ!痛くないって言ったよ…ほら、ね?」
血で汚れた傷口が針が刺さると細かい塵みたいに浮き上がって消える。不思議なことに痛みも引いていっている。
怯えて強ばった僕の身体は、少しずつほぐれていった。
魔法ってすごい。
「私、魔法医師なんだよ。すごいでしょ。傷口縫い合わせるくらい簡単だもんね」
僕の心の中が分かったように黄色い目の人が面の下で笑う。
「すごいです」
もう縫い終わりそうな傷口を見ながら僕も微笑む。
「…仲間はみんな死んじゃったけどね…」
最後の仕上げを手際よくしながらも黄色い目の人の声が暗くなってしまう。
「………すみません…」
「伝書鳩くんが謝ることじゃないよ!ごめんね……抱えきれなくて…言っちゃった…私、ずるいよね…」




