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あったかい身体、潰してしまいそうな柔らかい胸、うなじの匂い…
「凛さん……ずっと僕のそばに………」
「……伝書鳩くん……」
それは無理だよ、と凛さんが僕から少し離れる。
「あ、じゃあねぇ……呪ってあげる」
凛さんは無邪気な笑顔で僕にもう一度、唇を重ねてきた。
唇を離すと僕を抱きしめ耳元で囁いた。
「………ばいばい、伝書鳩くん……」
凛さんはそのまま脱力して僕の身体にもたれかかってきた。
「…凛さん、凛さん……凛さん…」
揺さぶっても力無く凛さんの身体は姿勢を保てなくて、ずるずると地面に突っ伏す。
「うわぁ……うわ……り、凛さん、凛さん、僕をおいていかないでください……」
鼻にツンと刺激が突き抜け、あっという間に視界が涙でにじむ。
「うう……うう…」
死んだなんて、嘘だ。
信じられない
よろめき、皐月さんの手に自分手がぶつかる。
あまりの冷たさに体温が下がった気がして思わず涙が止まった。
皐月さんの死体の横で僕らは何をやってたんだ……
ぼんやりと後悔しながら皐月さんの乱れた手足をまっすぐ整える。
固くなり始めていた関節がさらに僕へ死を見せつけた。
凛さんの突っ伏した身体もちゃんと地面に寝かせた。
「…………」
皐月さんも凛さんも穏やかな死に顔だった。




