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探したいのに……
意思と知識がちぐはぐに散らばって、思考にならない。
記憶がこぼれ落ちていた。
両親の顔や育った景色は白くぼやけてうまく像を結ばない。
覚えているのに思い出せないなんて……
確かなのは最新の記憶だけ。
欠片のように残っている私の唯一の記憶は、伝書鳩の少年との過ごした時間。
その時間だけはまだ温度を保っている。
だから、必然的に伝書鳩の少年にのみ、私というもうすでに消失しているはずの自我の余韻は私を私たらしめる。
伝書鳩の少年にできることを探して、私は完全に消え去りたい。
もう、それは、祈りで
もう、それは、願いで
私は死んだ後でも自分のことばかりな愚か者と認めるしかなかった。
それでも……それでも……
伝書鳩くんは笑ってくれるかな?




