65
21グラム
魂の重さ
ほら
ね
私、死んでるし
生きてなかったし
わけわかんなくてあたりまえだよ……
やっぱり整合性取れなかった
「………私……これからどうなるの?」
「知ってどうする?無意味よ」
九炎寺医師が鬱陶しそうに言葉を吐き捨てた。
「…………」
そうかもしれない、そうなのかもしれない
だんだん私の思考が奪われているのか、否定的な方向へ頭がまわらない。
考えようとすると、組み立てたはずの言葉が次々滑り落ちてゆく……
「私、わた、わたし……は、私、わ、わ、……い、い、………」
口を開いてみても、言葉にならない。
だめだ!
このままじゃ
くやしい……
唇を噛む。涙が目頭から一粒こぼれた。
ぎゅっと服の裾をつかむ。
身体はまだ私の支配下らしい。
藁をもつかむ勢いで立ち上がり、診察室を飛び出す。
手にはちゃんと仮面を持って。
九炎寺医師は追いかけてこなかった。
出口を探して走り回っていてもスタッフ達は見向きもしない。
きっと時間の問題なのだろう。
私が彼女の人形になるのは……
どうにか出口らしきドアを見つけ、出ていくと派手な壁紙に壺や絵画が飾られたフロアに唖然とする。
美術館という施設を歴史の講義で教わり、資料写真を見た以来の豪華さだった。
飾られている絵画のほとんどは風景画で、緑豊かな景色の中で人々が描かれていた。
平和というのにぴったりな、のどかで優しいタッチで描かれたその絵に、私はなぜか生まれ育ったK市を思い出し、伝書鳩の少年をそれに重ねた。
胸にじわりと熱さが沸き起こる。
伝書鳩の少年に助けられながら、私は自分の死期を悟っていたことを今さら納得した。
足掻いたって無駄なのだ。
それよりも、今はまだ存在している奇跡に感謝したほうがいい。
私にできること
探したいよ




