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皐月さんからは花のような香りがして、僕は頬が熱くなる。


「さっちゃんも遊んでるじゃないか、早くしろ」


観月さんが振り返り、皐月さんを咎める。

その目はまた茶色に変わっていた。


さっちゃんて、皐月さんのことだよね、きっと…


皐月さんは違う、と観月さんに言いながら慌てて僕の頭においていた手をのけた。


仲が良さそうでいいな…


「会長がお待ちかねだ」


「…わかってる…」


急に二人の空気が重くなった。


「さあ、行きましょう」


皐月さんが僕を促す。


「はい…」


廊下の突き当たりには大きな扉があって観月さんがノックをする。


「到着されました」


扉が内側から開く。


「観月、不審な点はなかったのか?」


扉の向こうから声だけが聞こえる。


「はい。依頼魔法が大量にかけられていますが本人自体はまだ純粋な子供です」


「会長に会った途端襲いかかったらどうする。死に方を間違えればクエンジーはおしまいだぞ」


「その時は皐月とわたくしで始末します。スミレ様の手は煩わせません」


始末って…僕を?


「大丈夫です。あなた様なら、きっと」


観月さんが僕を振り返り微笑む。

皐月さんも僕を見て目だけで笑う。


「……会って間もないのに、えらく肩を持つんだな…」


声の主が扉から姿を現した。

その人は僕と同じ年頃の少女だった。


黒い服を身につけ、黒い髪を三つ編みにしている。

全身黒いカラスみたいだが目は燃えるような夕焼け色だ。


「…ふっ…」


少女は僕を無遠慮に上から下まで見回すと鼻で笑った。

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