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「はい…」
「ありがとうございます。魔法医師には逐一報告させますので、何かありましたらすぐに医務室へご案内させていただきます」
「お願いします。本当にお願いします」
僕ができることといえば、こうして頭を下げることだけだ。
背中の重みがなくなった今、黄色い目の人が助けてくれたことや、その彼女を必死で看病してここまで歩いてきたことが、もう遠い…
「では、お客様。ご案内させていただきます。こちらへ…」
観月さんが踵を返しながら階段の方へ僕をうながす。
階段をのぼると絨毯敷きの広い空間があった。
座り心地のよさそうなソファーが隅に並べられていたが、無人だった。
「こちらのエレベーターに乗っていただきます」
観月さんは取手のない扉の前で立ち止まり、上着の内ポケットから鍵を取り出した。
キュルキュル…
観月さんから魔法をチャージする音が聞こえる。
鍵が魔法にかけられて、淡く発光し始めた。




