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僕は誰もいない森の中を歩く。
サクサク、サクサク、降り積もった落ち葉が僕の足に踏まれ音をたてる。
木漏れ日が時々目に刺さり、煩わしい。
鳥の鳴き声も変に甲高く、耳障りだ。
神様は僕のそんな文句を聞いて、かわいそうに、と微笑んでいた。
目をぎゅっと閉じる。
記憶を振り払うように頭を自分の拳で数回叩く。
その時、遠くで轟音が響き、木々に隠ていた鳥たちが一斉に飛び立った。
僕は走り出した。
とにかく音のした方の反対へと行かなければ。
しかし、僕の意思とは関係なく、僕の足は音の方へ向かう。
次の目的地はその方向にあるからだ。
僕の身体には魔法がかけられていて、僕が目的地が分からなくても、魔法が連れて行くのだ。
かけた人間によってはある程度あそびをつけているのだが、こんどの魔法は進行方向を逸れることを許してくれないらしい。
轟音がどんどん近くなる。
僕は立ち止まり、大きな木の陰に身をひそめた。




