19
「伝書鳩くん……」
その声が後ろからした瞬間、神様も美しい景色も吹き飛んで、僕は洞穴の中へ駆け込む。
「だッ!大丈夫ですか!?」
黄色い目の人は上半身をわずかに起こして、僕を見上げた。
「……うん…」
声がとてもつらそうだ。
毛布がかけてあるので背中の傷の具合は確認できない。
「背中、縫ってくれたんだね、自分で縫えないもんね…きみがいてくれてよかった…」
「あの…他にできることがあれば言ってください」
「………」
面の向こうの目が戸惑うように揺れた。
「他に薬はないんですか?教えてください」
沈黙が怖くて僕は黄色い目の人の袋を差し出す。
「うん。大丈夫だから、伝書鳩くんはもう行っていいよ」
「………」
今度は僕が黙りこんでしまう。
大丈夫なんかじゃない気がする。
「もう少し休めば私も帰るよ。大丈夫だよ」
今すぐ面を取って顔色を確かめたい衝動にかられる。
僕は両手をぎゅっと握り締め拳をつくる。
「嫌です。僕はあなたをおいては行けません」
身体が震える。
「……だめだよ…行って」
黄色い目の人はつらそうな声で、でも、僕の申し出をしっかり断った。
「い、行きませんっ…あなたが治るまではここにいます。だって、あなたは僕を助けて斬られたんですよね?」
どうしてこんなに震えるのだろう。
寒くもないのに…




