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翳っていく黄色い目の人の身体を僕は見下ろす。
呼吸が浅くはやい。
背中の傷も血や膿がでたらめな縫い目から滴っていた。
誘われるように羽音のうるさい虫が何匹もこの人の周りを飛んでいる。
僕なんかが助けられるはずがない。
胸の中の空洞に風が吹き抜けた。
「っ……」
それでも…それでも、この人を助けたい、そう決心して背負ったんじゃないのか!
僕なんかって言わないで、と言ってくれた僕とは違う魔法使いのこの人を光のように感じたのに。
地面に座り込んで目の黄色い人の手を握る。
熱いのに乾いている。
やっぱり柔らかくて……生きてる。
悲しみに似た感情が胸にこみ上げ、僕の身体も熱くなる。
失いたくない。
闇の中、手探りで目の黄色い人の服を脱がしてゆく。
感触にいちいち動揺しないように気合いを入れながら…
何とか脱がせ終わると、
目が段々と闇に慣れてしまい、この人の身体の曲線がはっきりとわかった。
僕とは違う造りの身体…
頭を振り余計な考えを追いやって、この人の袋の中にあった清潔そうな布を傷にあてる。
毛布を敷いて、目の黄色い人を抱きかかえうつぶせに寝かせる。毛布の余った部分を折り、身体にかぶせた。
懐中電灯で僕の足元だけ照らす。
ランプ型の電灯も持っているのだが、もし僕らを襲った大男が追って来ていたら少しでも見つからない為の用心だ。
そして今一度、この人の袋の中を探す。
傷に効く薬がないか、一つ一つじっくり確認する。
自分が怪我をした時は特に何もしないうちに治っていた。
保障魔法のおかげだったのだろか?
塗り薬や液体が入った小瓶を並べてみて考え込む。
開けて匂いを確かめてみたりもする。
さっぱりわからない。
黄色い目の人の面を見るともなしに眺めた。
一瞬でも目を覚まさないだろうか…
僕のあてにならない勘で薬をぬったりして傷がひどくなったら…
「うぅ…」
面の下でくぐもった声がした。




