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血でぬめって指から針が何度も離れる。

魔法が使えたら…

魔法が使えたら…

傷口を左手でふさぎながら右手で縫う。

ひどくもたついて、きっとこの人ならもうとっくに終わっている。

絶え間なく溢れる血に、猶予のなさが現実味を帯びてきた。

この人は僕を襲った大男に斬られたのだ。

それでもどうにかして木にくくりつけ、自分は応急処置しかせず、僕を助けてくれたのだろう。

魔法なんてなければ、この人はこんな目に合わなかった。

僕なんかを助けずにすんだ。

そもそも、僕だって斬られなかった。

僕の両手が目の黄色い人の血にすっかり染まった頃、最後の一針をやっと縫い終える。


この人は助かるのだろうか?

座り込んで膝を抱えた。

手についたままの血が乾きはじめて粘りけをだす。

目の黄色い人は荒い呼吸を木の面の下で繰り返す。

のけてあげたほうがいいのかな…

今まで見かけた魔法使いは皆、面や顔のほとんどを隠す布をつけていた。

僕の知らない決まりでもあるのだろう。

僕はそんなのつけたことないし、神様だってつけろと言わない。

僕は目の黄色い人の面に触れる。

熱い息が顔と面の隙間から漏れていた。

苦しいだろうな…

面を少しだけ持ち上げた。

小さな顎があらわれ、半開きの唇が見えた。

唇の表面は乾燥してささくれだっている。

出しっぱなしの水筒を取ってハンカチを濡らす。

絞らずにそのまま目の黄色い人の唇を湿らした。

「あ…」

手の血が濡れたハンカチに滲む。


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