ナーロッパの不思議な貴族社会
所謂ナーロッパ世界への突っ込みです。
お約束だろうが!
テンプレに文句言うな!
そもそも話が成立しなくなる!
みたいな方には合わないかと思われますので、ご了承ください。
よくあるナーロッパ世界の貴族の力関係。
一般的に貴族階級と言えば五爵で、そこに騎士爵や辺境伯が追加される程度。
王族が頂点なのだとしたら
・公爵
・侯爵
・伯爵
・子爵
・男爵
の順で力関係や領地の広さが違う、というものです。
ちなみに元になっている現実の中世ヨーロッパでは大雑把に言えばイギリスかそうじゃないかで貴族階級及び爵位保持やらは大きく変わります。
イギリスは乱暴な言い方をすると貴族なのは当主だけで家族は平民です。
それ以外のフランス等では家族も貴族として扱われます。
ナーロッパ的には大多数がイギリスじゃなくフランス等のヨーロッパの爵位の世界観だと思われます。
領地についても概ねこの爵位の順。
日本に無理矢理当てはめるのならですが、
公爵は重要地、要は東京や大阪といった国の要所です。
侯爵は大体県複数規模。
伯爵で一県。
子爵になると区市や町村複数。
男爵となると町村規模。もしくは市の中の一地域クラス。
騎士爵となると町会規模。
辺境伯となると、北海道や沖縄といった国境に接する重要拠点。
かなり乱暴で大雑把なイメージだとこうなります。
ちなみに現実の日本の広さを国に当てはめてはいけません。
現在のヨーロッパでも、広さは日本の関東地方程度の広さの国もあります。
なので広さは考えず、あくまでその国単体として見た地方区分の規模を想定してもらえればいいかと思います。
ちなみにたまに男爵でも広い領地のがあったりしたぞ、みたいなことを見かけたりするかと思いますが、それもまた正しいです。
ただ、それは所謂例外パターンというものです。基本何にでも存在する例外パターンまで考慮してたら理解がややこしくなってしまうので、ここでは考えないものとします。
なんでこんなことを書いたかといいますと…。
ぶっちゃけてしまえば「辺境伯や公爵家をやけに簡単に取り潰す人多くない…?」と感じます。
公爵家は国の重要拠点地、経済の要でもあって独自の軍も所持しています。
辺境伯は国境に接する重要な地で、それ故に任せるのは信頼できる者、そして特性上強力な軍も所持しています。
例えばなんか公爵家が問題起こしたから王家が取り潰す!と王命を出したとします。
……それ、素直に公爵家が従うと思いますか?
要地で独自の強い戦力を持ち、経済の中心であって王都の軍と戦ってもいい勝負どころか勝てる可能性すらある戦力を持っているところが。
独立すら可能な規模と戦力があって、降爵やら取り潰しを素直に受け入れるわけがないでしょうという。
むしろ抗戦するなりしてそれこそ所謂逆ざまあ展開にすることもできます。
ちなみに現実のヨーロッパでは降爵というのは滅多になく、基本的にはお家取り潰しです。
じゃあ素直に受け入れるパターンはあるのか?というともちろんもあります。
それこそが今語った封建制ではなく中央集権制の場合です。
先程の例は王がその領地を貴族に任せるとして、受けた貴族は土地を守る代わりに王家や国のために忠誠を誓います。
国はもちろんその忠誠をもってその家を保護します。という相互でwinwinな関係というわけです。
ただ、これは必然的に王の権力は弱くなります。
国としてのある程度の統一方針はともかく、逆に言えばある程度は地方が好きにできるからです。
その結果、よくある王命みたいなものを無理矢理相手に呑ませることはかなり厳しいです。
要は、主を信頼しているから忠誠を誓ってるわけであって、それが信頼できない主になったなら主を変えてしまうということが起きるからです。
こちらについては現実の日本でも見られた光景ですね。
御恩と奉公で成り立ってる関係性が崩れればどうなるか、というのはきちんと義務教育を済ませた人ならご存知かと思います。
ではそうじゃない、王の権力や中央貴族の権力が強い中央集権制ならどうか。
こちらだと、公爵家クラスでも中央の意向は絶対です。王命を出されれば公爵家といえども簡単に跳ねのけることができません。
中央の方針に従って地方を治める形になるので、中央の意見が絶対になります。
軍備についても基本的には領地独自の軍はあれど、国としての正式な軍の方が力はあります。
簡単に言ってしまえば、両者の違いはクーデター起こしやすいか起こしにくいかみたいなものですね。
中央集権だと国が他の地方に命令を下せばそれら全てが敵となりますので、さすがに一地方レベルの力があっても周囲全体が敵となると跳ねのけるは困難です。
反対に封建制だと国の命令が絶対ではないので、公爵家に付いて王家打倒して新王国作っちゃうかーみたいなことをするのはまず出てきます。信用ならない主には忠誠を誓う理由はないというものですね。
物凄く長くなりましたが、ここからが本題です。
中央集権制と封建制で王の権力も貴族の力も大きく変わってきます。
けれど、ナーロッパ世界って封建制のようなのに王命は絶対みたいな、不思議な世界が多いんですよね…
話を読んでいる限り、所謂地方である程度の裁量を持って領地を取りまとめてるのに、突然王家からなんやかんや言われてそれに従わないと…みたいなのがありますが、これって同時に成立するわけがないんです。
王の命令が絶対だと言うなら、それならそもそも領地に独自の裁量権なんて持てません。
中央の意向通りにやるしかないですし、なんなら中央の意向をきちんと履行しているかの監視の役人だっています。
何かがあればまず中央に意向を確かめないといけない、というのに独自判断で動いたりするのにでもう中央の言うことは絶対、ってどういう制度なんでしょうか。
これについては、人権意識の高いナーロッパみたいなのにも該当します。
平民の人権がしっかりしているけど貴族制で不敬罪もあります、って時点で人権がしっかりしてるわけないんですが…
貴族なんてのは基本的に日本で言う切り捨て御免なくらい、平民と貴族、下位貴族と上位貴族で大きな力関係があるのに、なんである程度の人権が保障されてるのに不敬罪もある貴族性が成立しているんでしょうか。
なんなら実際の中世ヨーロッパだと女性ですら人権なかったですからね。
話的にそれが主軸じゃないなら適当でもいいかなとは思いますけど、基本的にナーロッパ世界ってこの手の貴族の力関係、王の権力やらが話に大きく関わってくるんですよね。
なろうでも人気な悪役令嬢物等を想像してもらえればわかりますが、明らかに下位の貴族が喧嘩売ってきてたり、王家が強権を振るって…みたいなのが思い浮かぶかと思います。
しかし、王家が強権を振るうことができるから中央集権制かと思えば、その後その王家に対してまるで反旗を翻すような行為に出るという謎の行動が見られます。
王家に力がないから反旗を翻す、所謂クーデターで王朝すげ替えが発生するのは現実でもありました。
しかしそれは逆に言えば王家に力がないから可能だっただけで、強権を使えるくらい力があるなら無理です。
そこで力がある王家に対して反旗を翻すようなことをしたって、自分の領地以外の全てが今度は敵となります。当然軍事的なものもあれば経済を干上がらせる兵糧攻めもありますし、そもそも中央集権制では公爵家ですら経済的に圧倒的な力があるというケースはほぼありません。
これは現実の中世じゃない、独自の世界だから!みたいな反論は当然あると思います。
じゃあ独自の世界だから現実の中世に関することは一切関係ないと仮定したとして…
王が強権を使える、臣下の家を取り潰すことができる、王命は絶対で他の領主達も追従する、という状況下の中、そこで孤立無援で奮闘して王家に逆らう行動をとる、ってどういう世界なんでしょうか。
いやその家だけ力があるだけだから!となれば、そもそも王命なんか始めから聞くわけがないんです。
そして一つの家が圧倒的力がある時点で中央集権制というのは厳しくなります。
言う事をあんまり聞いてくれないところがあれば王の威光というのは飾りになります。
何より、じゃあ王家じゃなくてそっちの家を主にしてしまえば…みたいな国が割れるようなことに発展する可能性もあります。
その家だけじゃなくて他の家とかも結託して王家に抵抗した、とかならそれはもう中央集権制は崩壊してますし、王が絶対の力を持つというのも成立しません。
このあたり、もし矛盾が無い状況下はこんなのがあるっていう事をご存知の方が居たら、ぜひ教えてください。
浅慮な自分では何年考えてもわかりませんでした。
で、どうしてこんな不思議な世界になってしまうのか。
恐らく作者様方の中で、中世ヨーロッパと近世ヨーロッパがごっちゃになってしまってるんじゃないか、と思いました。
物凄く乱暴に言うなら中世ヨーロッパは封建制と中央集権制、どちらもありました。そして近世ヨーロッパというのが所謂絶対王政である中央集権制です。
中世ヨーロッパの中央集権制というのは本当に末期くらいの話なので、期間だけで見たら封建制の方が遥かに長い時代です。
なので大雑把に分けるならよくある王が強いのは近世。そうじゃないのは中世。みたいな感じです。
恐らくあくまで現実にあったヨーロッパを参考にしてるだけで独自の社会性があるとかになるんでしょうけれど、個人的には読んでいて違和感しかないのでせめて多少でも背景くらい書いてくれないかなー…と思います。
あくまで読んでるのは神の視点である読者です。
その読者は知ってる言葉があれば基本的に自分の知ってるものを思い浮かべるはずです。
作中に「馬車」というのが出てきたら読者は現実の馬車を想像するかと思うのですが、もし描写されてないだけで馬車という名だけど現実世界における鹿が引くもので、その鹿は8本足で、しかも魔導ジェットみたいなのがついていてとても速いです、みたいなものだったらどう思うでしょうか。
作者の脳内ではそうなんだと言われても納得する人はそんなにいないと思います。
かなり極端な例にはなりましたが、個人的にはそんな気分になるのでバックグラウンドはもう少し描写してほしいと思ってしまいます。
上記の貴族社会とかもそうですが、矛盾を見つけるともうそれが気になってしまって作品を楽しめない。
「え?なんでこうなるの?話としておかしくない?」
みたいに思ってしまって、一度そう思ってしまえば突っ込みどころばかり目がつくようになったり…
作者様にとってはこういう自分みたいな読者は本当に嫌なんだろうなという自覚はあります。
自慢にもなりませんが、結構売れた某アニメの原作における矛盾を原作者様にDMしたら即ブロックされたりもした経験があります。
いちいち細かい粗を探すな!ってこともわかるんですが、気になってしまう人もいるんですよ。




