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ガンサバイブオンライン ~コミュ障の元箱入り娘。職業、キラーのおじさん~  作者: くろぬか
4章

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第96話 新しいオモチャ


「フッフッフ、シロもついにハンドガンの魅力に憑りつかれたか……実に結構! いくらでも教えてやるから何でも聞けぇい!」


「す、すみません……ありがとうございます。出っ歯さん」


 お兄ちゃんに教えてもらった“コンペンセイター”というパーツ。

 短い銃にアレをつけて、反動制御しながらよりコンパクトに戦うという方向。

 これをベースとした状態で私の……というか6keyの武器を作る、って事までは良いんだけど。

 皆が憧れてくれるような、格好良い武器を作れと言われてもやはり私には無理なので。

 ここはもういっそ、身近で一番詳しそうな人に聞いてみる事にしたのだ。

 その相手というのが、よくご一緒させていただいている出っ歯さん。

 彼は元々二丁拳銃だし、しかも結構カスタムにも拘っている。

 実用的なのかどうなのかって意味では、ちょっと良く分からないんだけど。

 でも、とにかく派手で凄い銃をいつも使っている印象があったので。


「こいつにばっかり汚染されて、シロさんまでやけに頭のおかしいカラーリングになっちゃうと怖いから……実用面って意味では、俺が説明するね。求めてる個所とかあったら、遠慮なく言って良いから。逆にいらないなって説明があったら、そっちも教えて」


「す、すみませんグレーさん。お二人共、ありがとうございます」


 本日もまた、ちょっとクロさんは遅れると言う事なので。

 それまでの間、三人で遊んでいても良いのだが……申し訳ない事に、私の相談に二人を付き合わせてしまっているという。

 もう何度も頭を下げながら、対照的とも呼べる印象のお二人から話を聞く事になった。


「まずはシロ! 貴様はハンドガンに何を求める!」


「つ、使いやすさ……?」


「ちがぁぁぁう! ハンドガンこそ“主人公武器”とも言える! ロマンを追い求めなければ始まらないだろうが!」


「す、すみません!」


 早速出っ歯さんから叱られてしまったが、このタイミングでグレーさんがバシッと彼の頭を引っ叩いた。

 普段機関銃を常にぶっ放しているグレーさんに関しては、結構筋力パラメータに数字を振っている筈なので。

 なかなかどうして、とても痛そうな音がした気がするのだが……。


「全部コイツに付き合わなくて良いからね……マジで。武器の使いやすさ、大事。ホント大事。ただそれだけだと、割と模範的な回答しか出来ないのも確かだから。実際今シロさんが使ってる銃だって、かなり扱いやすい部類になっちゃうし。ある意味、コイツの言う様にロマン……ではなく、自分の“好き”を織り交ぜた方が良い」


 だそうです。

 そういえば、私サブキャラであんまりハンドガン使ってないな。

 こっちばっかりだとそれこそ6keyと被ってしまうので、意図的に外しているのもあるけど。

 などと思いつつ、自らの拳銃を引っ張り出してみたのだが。

 あの……ですね。

 クロさんから貰ったこの拳銃にも、件のコンペンセイター……付いてました。

 なんかもう綺麗に一体化されているので、カスタムパーツって印象が全然無かったけど。

 うわ、自分で既に持ってたのに、全然知らずに使ってたのか。

 お兄ちゃんから渡された方の銃についてたヤツは、ものっ凄くごつかったので、追加部品って感じがしたんだけど……。


「え、えぇとですね。使いやすさ重視ではあるんですけど、こう……格好良くしたいというか、そう思ってもらえるような武器が良いなって。そもそも銃って、どうカスタムするのが格好良いって思うモノなんですか?」


 多分、私の場合はそこから。

 普通の人、というか銃とかが好きな人はどういう所に注目するんだろうっていう場所から知らないと、お話にならない。

 ということで、私がお話を聞ける人達からより多く情報を集めたいと思ったのだが。


「ゴツさ! いかにカスタムパーツが付いているか!」


「俺は威力と使った時の派手さだけど……こればっかりは、本当に人それぞれかなぁ。マジで色々方向性があるからねぇ……車が好きです、イコール全員好みが一緒か? って言われると、違うっしょ? マジでそんなレベル」


 二人からは、それぞれそんなアンサーを頂いてしまうのであった。

 お、おっとぉ? 早速つっかえた気がするぞ?


 ◆


「う~む……?」


 ログアウトしてから、ネットを使ってひたすら銃の事を調べていたのだが。

 だぁめだコレ、全然分からない。

 というか、銃と一括りにしても全く違うという事だけは分かった。

 そういうのが好きな“ジャンル”であって、明確な答えは無いって事だ。

 今私に課せられている? 条件は、コンパクト&カスタムパーツ。

 で、良いと思うんだけど。


「出っ歯さんから見せてもらった銃、どれも格好良かったしなぁ……」


 元々のスタイルの為か、彼は数多くのハンドガンを所持していた。

 なので、アレコレと見せてもらっている間に黒沢君も合流。

 皆揃ってハンドガン講座となってしまった訳だが。

 出っ歯さんに関しては、とにかくパーツをつけて大きくゴツく。

 見ただけでも迫力がある様な物が好きみたいで。

 あと、派手な色にした方が格好良いって言ってた。

 グレーさんに関しては、どちらかというと威力重視。

 大きな弾が発射出来て、尚且つ補助武器としてちゃんと役に立つデメリットの少ないモノ。

 自分で使うならそういったモノを選ぶけど、単純に好きって意味では……リボルバー拳銃みたいなのも好きみたいだ。

 流石にアレは無理、総弾数6発とかじゃなかったっけ?

 アレを振り回しても、多分6keyの戦闘スタイルと合わない。

 いやでも数字とか被ってるし、ちょっと面白いのかもしれないけど……とか考えてみたが、やっぱり普段使いするには向いてないと思う。

 そして最後に、クロさん。

 こちらに関しては以前聞いた通り、やっぱり“誰がどんな時に使っていたか”で好みが大きく分かれるらしい。

 しかしながら純正とは違う、明らかに“手が加えられている”というデザインは好きみたいだが。

 だがここにも大きな落とし穴があり、とにかくパーツを組み合わせれば良いという訳ではないらしい。

 元々の物と取り換える、というか。

 追加するのではなく交換する形で、より性能を上げてある部品とか。

 見ただけでもソレと分かるパーツを見ると、凄く気になるんだそうだ。

 あと、全体的にまとまりのあるデザインが好きだって言ってた。


「た、たった三人に聞いただけで……この結果。え、何、どうすれば良いの? この状況で、オリジナルを作れって……地獄?」


 もはや、頭を抱える他無かった。

 いや分かるよ? 私が思う“一番格好良い”を作れよ、って話なのは。

 でも分かんないんですよ。

 これまで、コレを使って下さい、分かりました。

 で、やって来た人間なので。

 クリエイトは、本当に私に向いてないんですって。

 ぐぉぉぉぉ……と、グネングネンと身体を捻じりながらも悩んでいると。


「夢月、起きてるか?」


 そんな兄の声と共に、コンコンッとノックする音が聞えて来た。


「起きてる~、大丈夫ですー」


 情けない声で返事をしつつ、扉の方を向き直ってみると。

 兄はその手に……何やら、段ボール箱を持っておられる。

 なんだ、アレは。


「これ、お前にやるから。しばらく弄って、気に入るかどうか教えてくれ」


「気に入るか、どうか?」


 何やら不思議な事を言い始めた兄から件の箱を渡され、これを開封してみれば。

 段ボール箱の中からは、緩衝材に包まれて……これまた、随分と綺麗な黒いパッケージ。

 何処からどう見ても、何か新しい商品を通販で買ったって雰囲気なのだが。

 表紙に描かれているソレは。


「新しいモデルガン!」


「そ、言葉通り“新しいヤツ”。お前にとっても、販売元にとっても」


 つまり発売されてから、あんまり経過していないって事なのだろうか?

 などと考えつつ、せっせとパッケージを開いて行く。

 普段銃には詳しくないです、なんて感覚ではあるんだけど、やっぱり手に取れる形で真新しい物が来ると嬉しい。

 プレゼントとかそういうのって、昔から殆ど貰った事が無いので多分何を貰っても嬉しんだけど。

 前に兄から貰った賞金首のハンドガンも嬉しかったし、黒沢君から借りたショットガンだって物凄くテンションが上がった程だ。

 そしてそして、リアルの私所有の二丁目のハンドガンを貰ってしまったとなれば……それはもう、クリスマスプレゼントを貰った子供みたいな勢いで開けてしまったのだが。


「ぇ……凄い。これって、何かのカスタムモデルなんだよね? 純正じゃ、こんな形してないもんね?」


 今日ゲーム内で色々見せてもらったし、解説まで頂いた。

 だからこそ分かるけど、間違いなく“純正”ではないと思う。

 それこそ出っ歯さんが、純正とカスタム品を並べて説明してくれた程。

 なのでパッと見の印象というか、何も手を加えていない銃って……こう、凄くスマートだって事が分かったのだ。

 必要以外の物は除外した、みたいな。

 形が違っても、それこそ遠目から見ると一緒……というか。

 こんな事を言ったら多分怒られるんだろうけど、とにかく純正っていうのはそういう物だっていうのは理解した。

 だがしかし、目の前にあるハンドガンは。

 なんていうか、凄く……カスタム拳銃って見た目をしているのだ。


「ある意味間違ってないな。前6keyで試しに使ってもらった、コンパクトなヤツ。アレのカスタムだと思って良い。ただし……それは間違いなく“純正”だ。新規格オリジナルとして発売されて、何も部品は取り替えてない。つまりはまぁ、次世代機みたいな扱いだな」


「この見た目で!?」


 本日兄から受け取った銃は……なんというか、凄かった。

 スライドとか、何処を触っても指が滑らないんじゃないかって程派手なセレーションが入っているし。

 それこそ追加パーツが付いていないのに、銃口上部には穴《ポート》が空いているし。

 他の部分だって何だか凄い、私では言葉にするのが難しいが。

 箱から取り出して握った感触として、凄く“しっくり来る”というか。

 これが、純正なの? え、物凄く格好良いけど。


「サブキャラの方では、トイガン限定の銃を使ってるんだろ? だったら“シックス”の方でも、そういうのを使って販促してみても面白いんじゃないかって思ってな」


「え、え? これも、実際には存在しない銃?」


「その通り、だがお前が使ってたいつものハンドガンと同系統。そしてこの前試して貰ったヤツの改良版だ。トイガン限定ではあるけども、その分話題に乗せやすい上に、そっちの会社を巻き込めば更に話題性も上がる。なんたって、他のゲームでは登場してない“新商品”だからな?」


 何やら良く分からないけど、今手にしているハンドガンがとても凄いのは分かった。

 クロさんから貰った銃の時もそうだったけど、日本のトイガンメーカー……。

 ほんっとうに、デザインから何から凄い人が揃っているんだろう。

 だってもうコレで本物があるって言われたら信じるし、むしろ無いとおかしいでしょって思うくらいに整った形をしているのだ。

 いや、凄い。ソレしか言えない。

 だって、えぇ? これ、本当に実銃が無いの?

 つまり銃社会じゃない国で、新しい銃を作ったって事だよね?

 世の中は、私の知らない天才が数多く溢れているんだ……。

 そんな事を思いつつ、兄に説明を受けながらモデルガンを弄り回すのであった。

 新しい銃、楽しい。


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