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ガンサバイブオンライン ~コミュ障の元箱入り娘。職業、キラーのおじさん~  作者: くろぬか
2章

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第48話 アライブ


「チィッ! 路上にスパイクベルト! すんません、ルート変更します!」


「プラン変更、ルートを南側に逸らす! ナインも聞えたな!? 少し大回りになるが、迂回する!」


『了解、しかし不味いな……そっちで張ってる連中が居る。誘われたぞ』


「うっひぃ~! 結構皆考えて攻めて来るねぇ!? 後ろからも追手が来てるよぉ!」


 街中どころか、住宅地みたいな所まで大きな車で爆走していた訳だが。

 想像以上に……プレイヤー側が、上手い。

 皆ちゃんと移動手段を用意して来ているし、車両同士で正面からぶつかっても勝てないと判断したのか。

 罠の様な物を仕掛けて、度々私達の進行を阻害してくるのだ。

 その為、此方はあっちこっちと道を変えながらどうにか進んでいくのだが……。


『南側、不味いな。大通りを完全に封鎖された。どうにか別ルートから攻めた方が良さそうだ』


「クソッ! こうなったら……シックス、セブン! こっちが囮になる、頼めるか!?」


 ある程度私達の端末がまとめてあるバッグを、4cardが此方に投げて来た。

 これはつまり。


「街中を、徒歩で突っ切る……って事ですよね。分かりました!」


「オッケィ! 私達は最短距離を突っ走るから、後で回収ヨロ~」


 此方が声を返してみれば、555の車が人目のない所へと滑り込んで行き。

 物凄い勢いで急停車。

 これと同時に住宅街へと飛び出した、私とseven。

 すぐさま車が急発進したのが見えたが、その後を何台もの車追っていくのが確認出来た。


「これで大半のチームはグルッと大回りで追跡する事になる! 私達は街中突っ切るよー!」


「了解っ!」


 彼女と一緒に街中を駆け抜け、なるべく人気の無い裏路地を選びながら休む間もなく足を動かした。

 しばらくは敵に見つかる事無く、このまま行けばこっそりゴール出来るのでは?

 なんて、甘い事を考えていれば。


「コンタクト! やっぱりチームを分けてるぞ! こっちだこっち!」


 正面から、誰かの叫び声が聞こえて来た。

 不味い、見つかった。

 すぐさま真正面に向けてショットガンを構えてみたが……。


「なっ!?」


 あろう事か、二人が正面に盾を構えているではないか。

 これはヤバイ、私の武器じゃアレを貫通させるのは無理だ。

 かといって攻撃しない訳にも、足を止める訳にもいかない。

 どうしようどうしようと慌ててしまったが。


「前に出るよ! シックスは続いて!」


 正面に飛び出したセブンが、彼等に向かってマシンガンを乱射。

 そっか、彼女が使っている武器は“P90”っていう不思議な形のヤツ。

 アレに使われている弾は少々特殊で、小さいけど凄く貫通力が高いって言っていたんだっけ。

 そのお陰か、盾に銃弾を受けた人達が怯んでいるのが分かった。

 けどその後ろでも他のメンバーが準備を整え始めているのか、向こう側が何やら騒がしいが……。


「任せて! そのまま止まるな~?」


 鋭い声を上げるsevenが……“跳んだ”。

 それはもうびっくりするくらいに、綺麗な動き。

 三角跳び? を使って壁を蹴り、住宅のベランダ部分の手すりに触れた瞬間に、身体がクルッと回転。

 なんかもうバレリーナとフィギュアスケーターを足して、更にはワイヤーアクションでもやっているのかって程に綺麗な動き。

 身体を斜めに回転させながら空中で上下を反転、手すりに触れたまま逆立ちするみたいにして、更には眼下に銃を構えてから。


「丸見えだよんっ」


 ズガガガッと凄い音を上げつつ、地上に弾丸の雨を降らせたではないか。

 いや、すっご!?

 元々動きがヤバイ人って印象あったんだけど、あんな事まで出来ちゃうの!?

 そして空から撃たれれば、いくら正面に盾を構えた所で無意味な訳で。

 相手の連携は見る見る内に崩れていく。


「スイッチ!」


「っ!」


 空中で撃ちまくったsevenが手すりから手を放し、着地する前に“交代”の指示を出して来た。

 つまり、全部は倒せてないって事だ。

 まだ盾持ちが完全に倒れていなくて、此方からだと向こうの状況が分からないが……。


「フンッ!」


 一旦ショットガンを仕舞ってからハンドガンに装備変更。

 その後フラ付いていた盾持ちに対して、思い切り飛び蹴りを叩き込んでみると。

 前面に居た防御のプレイヤーは総崩れを起こし、私が飛び込んだ先には慌てた様子の皆様が。

 この距離で、しかも乱戦。

 もっと言うのなら、相手はsevenの攻撃で負傷している状態。

 なら……私の得意分野だ!


「嘘だろ!? いや速っ――」


 誰かが何か言っている間に、短く構えたハンドガンを乱射。

 常に動き続け、集団の間を掻い潜る様にしながら発砲しつつ突き抜けてみれば。

 少し離れた所に、三人。

 しかも、その手には銃ではなく端末を持っているではないか。

 そして急に反転して走り出したのが二人、もう一人も何やら手間取りながらも此方に背を向けた。

 あれは、間違いない。

 これまで練習で何度も見た光景だったからこそ、ショットガンを抜き放ってからすぐさま発砲。

 敵の背中にヒットしたらしく、向こうはバランスを崩して転んだけど、どうにか起き上がって未だ逃げようとしているのが見えた。


「セブンは前を! こっちは私が!」


「了っ解!」


 動きの速いsevenは、着地と同時に地面に伏せる程低く姿勢を落とし。

 まるで猫みたいに素早く走り始める。

 あっちは大丈夫、彼女が追ったからには逃げられる筈がない。

 だからこそ、私の仕事は。


「でやぁっ!」


 周りのプレイヤーが起き上がったと同時に、手にしていたショットガンの銃身で顔面を殴りつけた。

 そのまま手を放し、再びハンドガンを抜いて残っている面々の額を順番に撃ち抜いて行く。

 この場の全員が動かなくなった事を確認してから、ショットガンを拾ってすぐさまsevenの後を追ってみると。


「よしっ! データ取り返した! コイツで間違いな――」


「後ろ!」


 逃げていったプレイヤーを全て狩り終わって、端末を本当にチラッと確認したタイミングで。

 大通りに抜けた先、その反対車線からマズルフラッシュが見えた。

 すぐさまsevenは身を屈めて物陰に隠れようとしたのだが。


「うっそ!? この距離で綺麗に当てて来る訳!?」


 どうやら脚に数発貰ったらしく、その場で転倒してしまったではないか。

 不味い不味い不味い。

 まだ次の相手とは距離があるとは言え、機動力が売りのsevenが脚に負傷。

 本来ならこのまま端末だけ投げ渡して貰い、私だけでも合流地点を目指すのが正解なのだろうけど……。


「クッソ!」


「ちょいちょい! シックス!? それは流石に無理が無い!?」


 防弾スーツのジャケット思いっ切り広げて、盾の様に構えながらショットガンを二発。

 当然弾切れを起こしたが、リロードしている暇などある筈もなく。

 そのまま倒れているsevenの元へとしゃがみ込んで、スーツを可能な限り引っ張りながら広げた。


「マジで主人公かぃ! シックス、銃をこっちに!」


「お願いします!」


 倒れている相手にショットガン投げ渡してから、空いた片手を彼女の腰に回し。

 そのままグイッと持ち上げて、無理矢理物陰に引っ張っていく。

 痛い痛い痛い! スーツの上からめっちゃ弾貰ってる!

 しかもでっかい弾を使っているのか、HPの減り具合が半端じゃない!

 とはいえ運が良い事に、頭には当たらなかった為何とか退避……したは良いんだけど。

 不味い。

 ここ……隠れた先に、逃げ道が無い。

 向こうの連中をどうにかしないと、逃亡すら不可能だ。


「ごめんごめんごめん! シックス本当にゴメン! ミスった!」


「良いから、回復! 脚のど真ん中に貰ってるから、すぐには全力で動けないですよ!?」


 珍しく慌てた様子でひたすら謝って来るsevenを庇いながら、どうにか此方もハンドガンで威嚇射撃をしていくが……駄目だ、コレ。

 焼け石に水も良い所だ。

 向こうは三人くらい? 居るみたいだし、後ろには車が止まってる。

 つまり、弾切れを狙って牽制を続けるのは愚策。

 間違い無くこっちの方が先に弾が無くなる。

 とはいえ撃たない訳にもいかず、物陰から銃だけ出していい加減だとしても引き金を引いていれば。


『待たせたな、二人共。位置に着いた、援護する』


「「待ってました!」」


 急に無線から9Kの声が聞こえて来て、二人揃って元気な声で返事してしまった。

 これに応える様にして、遠くから数発の発砲音が響くと同時に段々と戦場が静かになっていく。

 そして道路の先が騒がしくなり、ギャリギャリと側面を擦りながら此方に向かって来る二台の車。

 その片方がガツンと派手にぶつけ、コントロールを失った方の車両が……此方が戦っていた彼等の後ろに止まっていた車に、盛大に追突した。

 そして、無事な方のもう一台は。


「待たせた! 乗れ!」


「バチクソかっ飛ばして回り道してきたっすよー!?」


 目の前に555の車が止まり、扉を開けた瞬間飛び出して来た4cardが、残っていた敵に向かって威嚇射撃。

 その間にどうにかsevenを抱えたまま車へと乗り込んでみれば。


『行け、お前等。追手はこっちでどうにかする、それが終わってからの移動になるから……次の合流ポイント、俺を待たなくて良い』


 頼もしいスナイパーの言葉と、このチームの指揮官が車に戻ったところで再び急発進。

 ガンガンかっ飛ばしていく運転手の影響で、物凄く揺れるけど。

 とはいえ。


「「い、生き残ったぁ……」」


「お疲れ様、二人共。よくやったな」


「そっちに端末預けてなかったらヤバかったっすね。え~らいゴリゴリくっ付けられたんで、多分車の中でも皆のデータ奪われてましたよ」


 そんな会話と共に、イベントは続行。

 やっぱこれ、というか賞金首イベント全般。

 かなりキツイってぇ……。

 世界中の全員が敵になった気分で、正直気が休まる暇がないというモノだ。

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