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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

しあわせだったんだ

作者: 曲尾 仁庵
掲載日:2026/06/08

 ぼんやりと


 ひとりでいたから


 寂しさの感じ方を忘れてしまったよ


 あまりにも


 当たり前で




 ぼんやりと


 すわっていたから


 悲しさの思い出し方を忘れてしまったよ


 あまりにも


 近すぎて




 ぼんやりと


 空を見ていたから


 苦しさの気付き方を忘れてしまったよ


 ちょっとだけ


 息がしづらい




 ぼんやりと


 月に触りたくなって


 涙の流し方を忘れてしまったよ


 少し


 遠いね




 寂しいが分からないよ


 悲しいが思い出せないよ


 苦しいなんて知らないよ


 泣くようなことは何もないよ




 ああ


 そうか


 わたしは


 幸せだったんだ


 寂しいも

 悲しいも

 苦しいも

 涙も


 ないのだから


 きっと


 わたしはしあわせだったんだ


 こんなにも空虚に


 わたしは


 しあわせだったんだ


 しあわせだったんだ




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