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第6話:ドワーフの両手剣

ボロボロになり、鎧の隙間から灰を零しながらギルドへ戻った男を見て、チノは椅子から落ちんばかりに驚いた。


「もしかして……また倒してきたの!? どれも初心者がやるような依頼じゃないよ」


「これで、登録を認めてくれるな?」


「文句なしだよ! はい、これが報酬ね」

チノは手際よく金貨を袋に詰めて差し出した。


「討伐の依頼はないか?」


「今日はもうないよ。それに……剣を持ってないようだけど、折れたの?」


「ああ。じゃあ、また来る」

剣士は短く答えると、ギルドを後にして鍛冶屋へと向かった。



鍛冶屋の暖簾をくぐると、熱気の中に頑固そうなドワーフが一人、無言で鎚を振るっていた。


「剣が欲しい」


「……どんな剣だ?」

ドワーフは鎚を止めることなく、低い声で問い返す。


「なるべく折れにくいものを」


「そこの壁に立てかけてある。好きなのを選べ」


剣士は指示された壁際から一本の両手剣を手に取り、一振りした。


空気を切り裂く鋭い音。その身のこなしを見たドワーフの眉が、僅かに動いた。


「……少し待て。お前に似合う剣を持ってこよう」


ドワーフは奥の工房へと消え、やがて一振りの重厚な両手剣を携えて戻ってきた。その刀身は鈍く光り、並の鉄とは一線を画す頑強さを物語っている。


「これを使え。……餞別だ」


「金ならある」


「いらん。他の道具はきっちり貰うがな」


剣士はドワーフの好意を黙って受け取り、予備の投げナイフやショートソードを買い足した。


「また刃こぼれしたら来い」


職人はそれだけ聞くと、再び火床へと向き直った。



外に出ると、待ち構えていたようにレノアが駆け寄ってきた。


「剣士さん! 無事だったんですね!」


「ああ」


「次の依頼は何ですか?」


「今日はないらしい。また明日だ」


レノアは真っ直ぐに剣士の兜を見つめ、決然と言った。


「私も、連れて行ってください」


かつての無力感、玉座の間で膝をつくしかなかった自分。その記憶が剣士の脳裏を過る。


「……わかった。だが、自分の身は自分で守れ」


「はい!」


レノアの顔にぱっと明るい笑みが咲く。


「じゃあ、明日。ギルドでな」


剣士は宿屋の扉を潜り、泥のような眠りについた。

暗闇の中、失われた王宮の景色と、魔術師の冷徹な眼差しが、再び彼を呼んでいた。

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