表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/34

第4話:西の森の巨人

ギルドへ戻った剣士を、チノは呆れと驚きが混ざった表情で迎えた。


「はい、これが報酬。……ねえ、今日一日で何件解決するつもりなの?」


「他に討伐はないか?」


「緊急じゃないけど、西の森に巨人が出てるの。本当は正式な登録がないと受けられないんだけど……」


チノは少し考え、不敵に微笑んだ。


「そうだ。その巨人を倒せたら、文句なしに登録を認めてあげる! 特例の実績ありってことで、どう?」


「わかった」


「あ、あの!」


背後から、レノアが慌てて呼び止めた。


「魔力を補給したら、次は私も連れて行ってくれませんか? お願いです!」


「考えておく」


剣士はそれだけ残すと、西の森へと足を向けた。



西の森に辿り着くと、そこは不気味なほど静まり返っていた。人影はもちろん、魔物や動物の気配すら皆無だ。


標的はすぐに見つかった。周囲の巨木を遥かに凌ぐ、圧倒的な質量。魔法生物なのか、その肌には古代の紋様が刻まれ、脈動するように鈍く光っている。


巨人は剣士の接近に気づくと、大樹を一瞬で引き抜き、それを棍棒代わりに振り回した。


――ドォォォォォン!!


耳を劈くような衝突音。


剣士の身体は、なぎ倒される木々を突き破りながら、遥か後方へと吹き飛ばされた。


「ぐっ……!」


鎧が軋み、衝撃が全身を貫く。立ち上がろうとしたが、足に力が入らない。


巨人が地響きを立ててゆっくりと近づく。


奴は手にした大樹を高く掲げ、地面の上の「小虫」を潰さんと、容赦なく振り下ろした。


剣士は死に物狂いで横へと跳んだ。


一瞬前まで彼がいた場所が粉砕され、凄まじい振動が地面を揺らす。


驚愕に揺らぎそうになる意識を無理やり繋ぎ止め、剣士は思考を切り替えた。


——倒す。それだけを考える。

「魂よこせ」


剣士は地を這うような姿勢で巨人の懐へ加速した。


巨人が再び大樹を振り下ろすが、今度は紙一重でかわし、地面にめり込んだ腕を足場に駆け上がる。一気に肩まで到達すると、剣士は渾身の力でその首筋を切り裂いた。


噴水のような鮮血が噴き出す。だが、巨体ゆえに致命傷には程遠い。


「……ガァァァァッ!」


巨人は吠え、肩の上の不快な存在を鷲掴みにした。

抗う間もなく、剣士の身体は遥か上空へと放り投げられる。


木の枝や葉がクッションとなり、かろうじて即死は免れた。だが、地面に叩きつけられた衝撃は重い。視界が点滅し、意識が遠のきかける。


フラフラと立ち上がる剣士の視界の先、巨人の巨大な影が、一歩、また一歩と死を運ぶように近づいていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ