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で、私はソルトレグス帝国の学院に通いだした。
この件で、初めてジル兄様と喧嘩になった。
必要がない!というジル兄様と、次代を担う子息子女と交流があった方がジル兄様が皇帝を引き継いだ時に助けになる!という私の意見が別れたからだ。
だけど、皇帝の伯父様が私の味方をしてくれて学院に通えることになったんだけど・・・毎朝皇太子のジル兄様が学院まで送ってくれるのだが・・・
初日から注目を集め騒ぎになりそうなところでジル兄様がひと睨み・・・それからは生徒たちにとって朝は緊張する時間となった。
まあ、それも最初だけで2週間も経てば慣れたもので、私にも挨拶や少しの会話をするクラスメイトもできた頃、編入生が来た。
朝のホームルームに担任に紹介されたのは・・・
まさかのリアとエド。
私に向かってウインクするリアに、驚いたか?と自慢げなエド。
当然驚くわ~!
うんうん、美人さんと美男子の編入生だもんね。クラスメイト達は大騒ぎ。
このことジル兄様も知っていたのかな?
「ふふふっ驚いた?」
「何も聞いていなかったもの驚くわよ!」
「まっ、こっちに留学するって決めたのも1ヶ月ほど前だしな」
「・・・何かあったの?」
二人の顔を見る限り変なことではなさそうだけれど。
「気になる?ふふふ~それは昼休みに話すわ」
意味深な言い方をするリアに、何か企んでいそうな顔のエド。
それと、何か知ってそうなゼガード。
ちなみにゼガードも同じクラスだ。
~エミリア・マキュリー公爵令嬢視点~
ユティがソルトレグス帝国に帰ってしまって、せっかくの夏期休暇だというのに退屈な日々を過ごしていた。
ユティがいた頃は楽しかったな~
ユティ元気かな~
今頃、皇太子とイチャイチャしてるのかな~
とか、ユティと過ごした一年と少しの間のことを思い出してばかりいた。
そんなある日、レグルス様から先触れがきた。
『エミリア嬢の時間がある時にお会い出来ませんか?』
これは・・・夢かしら?
レグルス様が好き過ぎて、文字まで願望の言葉に読めるのかしら?
「なんて書いてあった?なるべく早く返事しろよ」
はあ?
目の前には生意気なわたくしの弟。
幼い頃は取っ組み合いの喧嘩は日常茶飯事だったわね。
レグルス様の綺麗な文字を何度も読み直したけれど、夢じゃなかった。
『何も予定がございませんので、レグルス様のご都合に合わせます』
そう、返事を返すのがやっとだった。
その2日後の約束の時間にレグルス様が我が家に迎えに・・・
素敵!ラフな格好も似合っているわ!
「こんにちは、今日もリア嬢は綺麗だね」
はぅ~レグルス様にそんなこと言われたら・・・
ダ、ダメよ!ここで気を失ったらダメ!
カチンコチンと緊張で上手く動かないわたくしの手を握って馬車に乗せてくれた。
あら?今抱き上げられたの?
いやいや、またもや願望か!
いつの間にか馬車は動いているし、前には今日も素敵なレグルス様。
やっぱり夢?
「はははっそんなに緊張しなくても」
いや~ん!困った顔も素敵!
「う~~っ、レ、レグルス様が素敵過ぎるから緊張するんです!」
「ははっ、でも早く慣れてもらわないとね」
キャー今日一番のニッコリいただきました~!
・・・ダメだってば!
舞い上がってはダメなのよ!
落ち着くのよ!わたくし!
これでも17年間公爵令嬢として、恥ずかしくない教育を受けてきたはずなのに・・・
きっと今のわたくしは、上手く笑顔を作ることも出来ない。
せっかくお誘いしてくれたレグルス様にも申し訳がなくて・・・そう思ったら泣きたくなってきた。
いつの間にか馬車が止まっていたようで、レグルス様が手を差し出してくれた。
そこは小高い丘になっていて先にはおおきな木があるだけで何もない所だった。
レグルス様はそのおおきな木の下まで手を繋いで歩くから、さっきまでの落ち込みは緊張と焦りでどこかに行っちゃった。
「・・・ユティと仲良くしてくれてありがとう」
「そ、そんなの当然ですわ!わたくしはユティが大好きですから!」
「本当にありがとう」
まるでお別れの言葉のようで・・・
「私と父上も帝国に行くんだ。これはユティが生まれた時から決まっていた事なんだ」
「で、でも帰ってきますよね?だって・・・レグルス様はラグーナ侯爵家の跡継ぎですもの」
「ラグーナ侯爵家は遠縁のルーカス・ウォッチに任せる事を何年も前に決めて、ラグーナ侯爵家当主としての教育をしてきたんだ」
「・・・」
「一応、私も皇位継承権を持っているからね、向こうでは公爵位を既に授かっている」
もう会うことも、見かけることも・・・出来なくなるの?
ここで、レグルス様との縁も切れてしまうの?
「まだ半年近くはこっちにいるけど、帝国に行くとこっちに来ることは殆どなくなると思う」
ダメよ・・・ここで泣いたりしたらレグルス様を困らせてしまう。
笑わなきゃ、笑顔でお別れしなきゃ・・・
「だからね。・・・リア嬢が卒業してからでいいんだ。家族と引き離してしまうけれど、ソルトレグス帝国にいる私のところに嫁いで来てくれないかな?」
え?
聞き間違い?
また夢を見ているの?
だって嫁いで来てって・・・
「最初からリア嬢をいい子だと思っていたよ。ユティはいつも君の自慢話ばかり私に聞かせていてね、迫力ある美人さんで近寄り難い雰囲気だけど、責任感があって、しっかり者で、すごく優しい子だとね。
その通りだったよ、私もリア嬢を見てきたからね。それに泣きたい時も我慢しちゃう可愛い子。私はリア嬢が好きだよ」
夢にまで見た一番欲しかった言葉を言われたら、我慢していたのに・・・
「必ずリア嬢を幸せにするよ。私じゃあダメかな?」
「レ、レグルス・・様がいいです。レグルス様が大好きなんです」
はぁ~とレグルス様の大きな溜息が前からしたと思ったらいきなり抱きしめられた。
「緊張した~初めて好きになった子への告白だし、初めてのプロポーズだし」
それって・・・わたくしが初恋の相手ってこと?
そ、それよりも、抱きしめられた後はどうすればいいの~
抱きしめられ慣れているユティ~教えて~
たぶん・・・わたくしはここで気絶したのね。
気がついた時はベッドの上だったし、あの告白は夢だったのだと落ち込んでいたら、お父様が呼んでいると侍女が伝えにきた。
夢じゃなかった。
わたくしが気絶している間に、わたくしのサインを待つだけの婚約の書類が出来上がっていた。
わたくしの気持ちを知っていた、お父様は寂しそうに、お母様は喜んでくれて、生意気な弟は何も言わずツンとしていた。
もちろん手は震えていたけれど、しっかりサインしたわ。
こうして、わたくしはレグルス様の婚約者になったの!
新しく『君を守るのは俺の役目・・・2度は繰り返さない』を投稿しています。
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