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気持ち悪い表現があります。
苦手な方は読み飛ばして下さい。
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伯爵の話をまとめると・・・
元々薬学に興味があったそうだ。
学院を卒業してすぐ、領地を視察中に市場で古文書を見つけたのが切っ掛けだったそうだ。
材料集めには苦労したが、何度か試作品を作り身近な妹で試したそうだ。
ずっとうちのお父様を追いかけ、付き纏い、お父様が女性と会話をしただけで執拗に嫌がらせや、虐め、手を上げる妹に数々の苦情が寄せられ、ご両親も頭を悩ませていたらしい。
ただ、兄妹仲はあまり良くなくて顔を合わせても会話すらない他人のような関係だったそうだ。
その頃の妹(オルト嬢母)はうちのお父様がソルトレグス帝国に留学したことで更に荒れていたそうで、誰が止めても言うことを聞かず部屋は荒れ、使用人にも暴力を振るうようになったそうだ。
それほどお父様への執着が凄かったそうだ。
最初は香水を使って妹の問題行動でヨランダ伯爵家の信用や家格を落とさせない為に妹の中からお父様の存在を忘れさせようと思ったそうだが、香水を使用してから自分を慕い、時に誘うような目を向けられる様になると、年々美しく成長する妹を性の対象として見る様になり、異性への興味から"直接コレを飲ませたら?"と邪な考えを実行してしまったと・・・
結果、妹はあれほど執着していたお父様への気持ちが無くなったかのように従順で大人しくなったそうだ。
そして一度味わった禁忌の行為を忘れることが出来ず、その後も何度も、何度も媚薬入りの紅茶を飲ませ続け妹の学院卒業直前に妊娠が発覚するまで関係は続いたそうだ。
ご両親は兄妹で禁忌を犯したことに、激怒とショックでオルト嬢母が出産後に赤子を取り上げ、縁を切りオルト男爵に嫁がせたそうだ。
赤子はヨランダ伯爵の実子とし、二度と兄妹が会うことを禁じたそうだ。
数年後、オルト男爵との間に娘が生まれたと両親から聞かされて以来、妹とも姪にも会わせて貰えず十数年経った時、髪と瞳の色は違うが妹とそっくりな姪が訪ねてきたと・・・
あとは妹の時と同じ様に、紅茶に混ぜ飲ませたと・・・
因みに、香水で作った媚薬には毒のような成分は含まれていないそうだけれど・・・それ自体が毒ではないのか・・・
全てを話し終えた時、ジル兄様とレグルス兄様を除く皆が嫌悪感?拒絶?蔑み?そんな表情でヨランダ伯爵を見ていた。
ああ、オルト嬢はこの話を聞いても何がおかしいのか理解出来ていないようだ。
これが媚薬を与えられた者の反応なのだろう。
幸いなことはその媚薬をお金儲けや他の女性には使用していなかったこと。
静まり返る部屋に響いたのはジル兄様の声。
「お前の作った薬のせいで人生を狂わされ命を奪われた者が何人もいる・・・」
その時、一瞬だけ国王の肩が揺れた気がした。
ジル兄様はお父様とレグルス兄様へと目配せしてから話し出した。
「ユティは13歳の時行方不明になった・・・いや、死んだことにされて葬式まで行われた・・・」
この部屋にいる中でディオリス殿下だけが目を見開いて驚いている。
先程のヨランダ伯爵の告白だけでもショックだった筈なのに・・・これ以上話を聞かせても大丈夫なのだろうか?
「国王、王族にはその時に二度と同じ過ちを犯さないよう警告をしたはずだが・・・」
「その頃のディオリスは成人前だったこともあり真相を話すのを躊躇ってしまった・・・ディオリスには何も話していないのだ」
『ユティにもすべて話すよ』
耳元でジル兄様が優しく囁いてさらに強く抱きしめられた。
それにしてもずっとジル兄様の膝の上にいるのに、みんなこの光景に慣れたのかな?
そしてここからは私も知らされていなかった真実が明かされた。
それは、私だけでなくリアとエドも、そしてマキュリー公爵夫妻、オーラント公爵夫妻も意外な人物の名が出たことで顔色が変わった。
ディオリス殿下に至っては怒りを隠せていない。
まずオルト嬢の母親がお父様に執着し、我が家の執事長の家族を人質にして、お父様は外交で海外に、お兄様はソルトレグス帝国に留学中で私が1人で留守をしている間にラグーナ侯爵家に後妻として入り込んだこと。
私を約7ヶ月間地下に閉じ込め暴力を振るっていたこと。
娘のオルト嬢をお父様の娘だとラグーナ侯爵家の使用人たちに紹介し、私の部屋とドレスに宝飾品まで与えていたこと。
私の水死体を用意し、私が死んだことにし葬儀まで行われたこと。
そして留学中のお兄様が突然帰ってきたことで、赤の他人がラグーナ侯爵家に入り込み夫人のように振る舞っていたことが発覚し捕まったこと。
私を見つけたのはお兄様と一緒に我が家についてきていたジル兄様だったこと。
見つかった時、私が今にも死にそうな程痩せ細り衰弱し身体中に打撲のアザがあったこと。
オルト嬢の母親がラグーナ侯爵家に入り込めたのはラグーナ侯爵家の執事長の家族を人質に取り、脅して従えさせていたこと。
ここまでは皆が知っている。
これはディオリス殿下とオルト嬢、ヨランダ伯爵と子息のために話したのだろう。
そして、ここからは私も知らされていなかったことだ。




