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オルト嬢がずっと学園を休んでいることはハリスンから聞いて知っていた。
あの日、お父様から真実を教えられて真っ青な顔で震えていた彼女。
信じていた母親から騙されていたことだけが彼女を傷つけたのではないのだろう。
お父様は最初から最後まで冷たく真実を述べていた。
もしオルト嬢が幼子ならもっと言い方を変えていたのかもしれない。
だけど学生とはいえ成人した大人であるオルト嬢に、間違った希望を与えるよりもはっきりと告げ、これ以上私だけでなくラグーナ侯爵家に関わってこなければそれでよかった。
なのに・・・
いつもの食堂。いつものメンバー。いつものテーブルで食事をしていた。
「オルト嬢が登校してきたよ」
ポツリとハリスンらしくない困惑した顔で呟いた。
それを聞いても私たちの感想はそうなんだ~って思うだけ。
「別人のように変わっているよ」
別人??
「見た目の雰囲気はガラリと変わって妖艶で強かな令嬢に・・・元々か弱く庇護欲をそそる見た目ではあったけれど、それはその見た目を利用した彼女の演技だったと思う」
一体休んでいる間に何があったのか・・・
「今の彼女の方が本来の彼女じゃないかな?」
「別に彼女が変わろうが、ユティに絡んでこなければいい」
ゼガード・・・私もそう思う。
「そうね。それでも警戒を怠らないようにしましょう」
「ああ、ユティは絶対に1人にはなるなよ」
リアとエドにも心配をかけてる。
「ええ、気をつけるわ」
だから私も気をつけていた。
基本はリア、エド、ゼガードと。
昼休憩にはハリスンも合流して。
オルト嬢の情報は基本彼女と同じクラスのハリスンから。
彼女は登校してきてからはハリスンには近づかなくなったものの、目が合うと意味深な目を向けてくるようになったとか・・・
ソルトレグス帝国で散々令嬢に囲まれていたハリスンにそんな手が通用するはずもなく、ハリスンもニッコリ笑顔を見せて自分から接触することはないとか。
ただ最近ではオルト嬢の傍にはディオリス殿下がいるそうだ。
「もっと賢い人かと思っていただけに残念だよ。彼も欲には負けたんだね」
欲?
ハリスンの言葉に何となく二人の関係が分かってしまった。
リアなんて軽蔑した目になっているし。
そういえばディオリス殿下ともリアとエドは幼馴染みになるんだよね。
ディオリス殿下か~
何度か話しかけられたことはあったけれど、よく分からない人だったな・・・そんなに印象に残っていない。
男爵令嬢のオルト嬢がディオリス殿下に嫁ぐのは無理だろうし、学生の間だけのお付き合いかな?
二人の関係がどうであろうと私には関係ない。
ソルトレグス帝国の学院は4年で卒業だけれど、この学園は3年で卒業する。
春休みが終わると、私も2年に上がるし、オルト嬢はあと1年で卒業する。
彼女と関わることのない1年を望んだけれど、それが叶うことはなかった・・・
まさか彼女に踊らされる人があんなにいたなんて・・・




