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私の護衛だもんね。
同じクラスになって当然だよね。
ゼガードは編入生として朝のホームルームで紹介された。
しかも、このタイミングで席替えをする事になり、
窓際の一番後ろの席が私、その隣がゼガード、私の前がリア、さらにその隣がエド。
何やらプンプン怪しい匂いがするわ。
先生やりましたね?
ジル兄様~!もしかして、こんなところで権力使いましたか?
・・・いや、まさかね。
従兄妹設定だし、不安そうにはまったく見えないゼガードだけど、早くこの学園に慣れるという意味では私の隣が一番よね?
ゼガードはやっぱり私の知っているミロワおじ様の息子さんだった。
ソルトレグス帝国のミロワ侯爵家。
大きな体も、鋭い目も確かに似ている。
ミロワおじ様は私が幼い頃、高い高いをよくしてくれた。
あまりにも高い位置まで上に投げてくれるから、鳥になったようで楽しくて何度もせがんでいたんだよね。
その後、他のおじ様たちにミロワおじ様が怒られていたけど、いま思えば申し訳ないことをしたな。
ああ懐かしい。
私はゼガードの兄であるラザードとは顔見知りなんだよね。
いつも、ジル兄様の後ろに控えていた真面目な人。
ラザードは寡黙なんだけど、気配りの出来る優しい人なんだ。
今日からゼガードも入れて4人で行動する事になる。
ソルトレグス帝国で護衛を任されるということは、かなりの腕があるという事。
だからゼガードが私の傍に付いてくれるのは私の身の安全は保証されたようなものだと思っている。
「ゼガード、これからよろしくね」
「はい、ユ、ユティ」
「早く慣れてね。いろいろと!ふふっ」
クラスメイト達も途中編入のゼガードが気になるようでチラチラとこっちを見ている。
たぶんゼガードはこの学園の地図は頭に入っていると思うから案内は必要ないと思う。
何だかんだと時間が過ぎ今から昼休憩。
4人でいつもの丸テーブルに着いて、各自が選んだ料理を会話をしながら食べる。
ちなみに私は『今日の日替わりランチ』を頼んだ。
サラダに季節の野菜のパスタ、スープに丸パン、それにプリンのデザートが付いている。
ゼガードは・・・一体それは何人分なの?
トレーの上には山のように料理が盛り付けられている。
私の視線に気付いたのか「調理の方に大盛りを頼んだらこうなりました・・・なった」
な、なるほど・・・
「ゼガードが男前だからサービスしてくれたのね」
「そうだろうな」
リアとエドに"男前"だと言われたゼガードの耳が赤くなっているのは照れているからよね?
ゼガードは大きな体だし鋭い目付きで近寄り難い感じだけれど、意外と中身は素直な性格なのかもしれない。
その時、突然ゼガードが立ち上がったと思ったら私の後ろから「キャッ」と言う悲鳴が・・・
振り向くとトレーを持ったブリジック嬢の手をゼガードが掴んでいる。
「今、何をやろうとした?」
うおー、ゼガードってそんな低い声も出るのね。
まさかブリジック嬢は昨日と同じように私に料理を掛けようとしたの?
え?昨日の今日だよ?
いくら何でも同じ手を使うって・・・ちょっと頭が足りな・・・こんな事思ったら失礼かも?
「離しなさい!わたくしを誰だと思っていますの?」
「ブリジック嬢だと認識しておりますが?」
「分かっているなら離しなさい!無礼よ!名を名乗りなさい!」
ブリジック嬢の大きな声と、存在感のある背の高いゼガードのやり取りに食堂中から注目を集めている。
「ソルトレグス帝国、ミロワ侯爵家のゼガードだ」
ゼガードが名を名乗った瞬間、食堂内がざわめく。
そうだよね。
ソルトレグス帝国の侯爵家といえば、この国での公爵家と同等だもんね。
「もう一度聞く。俺の、い、従兄妹に何をしようとした?お前が昨日ワザとユ、ユティに料理を落としたところを見ていたぞ」
ゼガード!そこは詰まらないで~
それを聞いた周りからもブリジック嬢は冷たい目を向けられている。
『昨日もワザとだったよな』『同じ侯爵家といえブリジック侯爵家よりもラグーナ侯爵家の方が上だろ?』『やり過ぎなのよ』『恥ずかしくないのかしら?』『彼女、性格が悪すぎるよな』
あっちこっちからブリジック嬢への批判の声が聞こえる。
「き、昨日だってワザとじゃないわ!」
「・・・」
ゼガードに無言で見下ろされ、ブリジック嬢も勢いがなくなったみたい。
「・・・次はないと思え」
「わ、分かったわよ!だから手を離しなさい!」
ゼガードが手を離すとブリジック嬢は急いでその場を去っていった。
ふ~う。
これで二度と絡まれなくなればいいのだけど。
「ゼガードありがとう」
「いえ、・・・ああ」
「これでブリジック嬢も大人しくなるんじゃないかしら?」
「だといいがな」
そうだよね。
2日続けて人目のあるところで騒ぎを起こしたんだもの暫くは静かになるでしょう?
~ハリスンとオルト嬢の会話~
「あの子昨日も絡まれていましたよね。何が原因なんでしょうね。オルト嬢は何か理由をご存知ですか?」
「・・・ここでは話せませんわ。バロアー様と2人きりになれれば・・・教えられますのに」
(何を勿体ぶっているんだか)
「そうですか。あの子は赤の他人だし僕には関係ないから聞かなくてもいいかな」
(君の期待通りの返事はしないよ)
「え?」
「あの子ってすごく可愛いから妬まれてたのでしょうね」
「あの子が可愛い?」
(誰が見ても君よりユティフローラちゃんの方が可愛いじゃん)
「はい。とても可愛らしい子ですよね。はっきり言って僕の好みです」
「で、でも、あの子は庶子ですのよ」
(この子バカなのかな?ソルトレグス帝国の侯爵家子息のゼガードが従兄妹だって言ってたの聞いてなかったのかな?設定だけど)
「そうなのですか?」
(あ~あ、こんな勘違い女の相手するの嫌だな。ゼガードじゃなく僕がユティフローラちゃんの従兄妹を演じたかったな)




